CSAは本当に双方向の支え合いか

前回の記事でCSAの募集について書きました。

CSAは"Community Supported Agriculture"の略で「地域支援型農業」と訳されます。
前回、農研機構のCSAの紹介ページから引用した"生産者と消費者が連携し、前払いによる農産物の契約を通じて相互に支え合う仕組み"という言葉を用いました。

でも、その後、よく考えてみたんです。
CSAって相互に支え合う仕組みなのでしょうか。

農家は代金を前払いで受け取る事が出来ます。
それは野菜を一生懸命育てたのに、どれくらいの価格でどのくらい売れるか分からない、という不安から解消されます。
そもそも種を蒔く段階ではどれくらいの作物が収穫出来るか分からないリスクも共有してもらえるんです。
農家としてこんなありがたい仕組みはありません。

翻って、では消費者にはどんなメリットがあるんでしょう?

一次産業は自然環境に左右される不安定な面を持つ産業です。
支援する農家から必ずしも期待した作物が受け取れるとは限りません。これはリスクです。

消費者からすれば、欲しい野菜は収穫された時に欲しい分だけ買えば、余計なリスクを背負わなくて済みます。
天候や気候、病害虫などによる不測のリスクは農家だけに背負わせればいいはずです。
実際、CSAは日本ではほとんど広まっていません。
CSAの広がりは、アメリカを中心とした欧米が主です。
その理由として、欧米ではCSAへの支援組織が充実していることが大きいようです。

でも、支援組織があるからと言っても、その仕組みは前述した通りです。
基本的に、消費者も農家が背負うリスクを一緒に背負う、という図式は変わりません。

CSA、地域支援型農業の支援というのは、
消費者⇔農家 ではなく、
消費者⇒農家 という方向性なんです。

なぜ、欧米ではそこまでして農家が背負うリスクを一緒に背負おうとする意識が高いのか。

近年、日本でも◯◯年に一度、と言われるような自然災害が毎年のようにどこかで起こるようになってきましたが、アメリカなどではさらに苛烈な自然災害が起こるそうです。
ともすれば広大な農地が一瞬で壊滅することも珍しくないようです。

そうなると、農家はもちろん困り果ててしまいますが、消費者も毎日必要とする食材の調達に困るようになります。
その時その時に必要なだけ購入している場合だと、購入先から買えなくなるとどうにもならなくなります。

でもそんな時、繋がっている農家がいれば、そこから優先的に作物を供給してもらう事が出来ます。

これは消費者からすると、とても大きなメリットでしょう。

ただ日本ではそこまで深刻な食材不足になることは稀です。
どこかの地域が自然災害などを被っても、別の地域から食材は供給されていてスーパーなどのお店に行けばなんとかなってしまいます。
お金でなんとかなってしまうんです。
いつだって、お店に行けば大抵の野菜は安く売ってるんです。

だったら敢えて特定の農家を支援する必要性がありますか?

おそらくこれが日本でCSAがほとんど広まらない大きな理由だと感じます。

さらにCSAでは代金の前払い以外にも、農作業体験などで農園の労働支援も行ったりします。
お金を払って農作業もするんですよ?
これはなかなか理解してもらうのは難しいですよね。
書いていて私自身そう思います。

でも、毎日食べているその野菜や果物や肉や魚や卵などの食材は、"あって当たり前"のものではないんです。
各生産者が各地で一生懸命に育てたものなんです。
本来、お金を出せばいつでも買えるようなものではないんです。
その大切な部分をつい見失っていませんか。
農家が様々なリスクを背負いながら、どこかで被害が出たら別の産地が補う、そのリレーの末に今の日本の安定した(ように見える)食卓があるんです。

そんな日本で、敢えてリスクの共有をする意味とはなにか。

お金がほとんどの事を解決する、それもたしかにそうかも知れません。平時ならそうです。
別に目の前にある食材の向こう側、ここまで届いた食材のストーリーやその農家の想いがなくたって困らないかも知れない。

でも、食材たちの向こう側の世界、知ってみたいと思いません?
今までとは違った世界が見えて来るかも知れませんよ??

サポートしていただいた分は農園の整備・野菜作りに活用させていただきます。理想の農園に向けて一歩一歩頑張っていきますので、応援よろしくお願いします。