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秋隣


ノースリーブもう着納きおさめの秋隣あきどなり


ずっと花魁草おいらんそうとばかり思っていた花、それが
風蝶草ふうちょうそうが本当の名前と知ったのはつい最近のことです。

幼い頃に近所の庭にこの風蝶草があり、あまりにも美しいので種をもらってきて、裏庭の物干し台の側に蒔きました。

花を見て、母が花魁草と教えてくれました。まるで花魁の髪飾りのような美しさ、だからすっかり信じておりました。

ところが、今回ググってみると勘違いだったことが判明しました。Googleは便利ですが、せっかくの思い出を一刀両断することもあるのですね。

でも、これからもこの花を見かけると花魁と声をかけそうです。

それにしても連日の猛暑日で、我が家の猫も居場所がないのか、フローリングの上を右へ左へとゴロゴロしています。

出来るだけ表面積を広くして、放熱しようとしているのか、伸びきっています。

どうやら猫の癖なのか、「ゴツン」と大きな音を立てて床に頭を置くので、痛くないのか気になります。

暑苦しいと人間は寝返りをうちますが、猫もゴツンゴツンと寝返りをうっています。

暑いねえ~

ノースリーブ嗚呼ああ見納めか秋隣


ところが、早くも稲が実り、近所は早朝から稲刈りです。昔のように人が鎌で刈ることはなく、でっかいコンバインです。

手作業ではないから楽そうですが、暑いのは変わりません。いや、昔の方がもっと季節にメリハリがあり、暑いけれど日陰は心地よい風が吹き抜け、みんなでわいわいとお茶した時間は労働のご褒美でした。

あの頃はまだ店が三軒もあって、母にお金を預かり、休憩の前にアイスクリームを買いに走りました。

いろんな種類をごちゃ混ぜに買って、好きなアイスを選んでもらいました。一番人気は、カップに入ったシンプルなかき氷で、イチゴ味の赤いかき氷がよく売れていました。

汗をかいた後はべたべた甘いアイスクリームよりもさっぱりするのでしょう。

田んぼの脇にはたいていお宮さんがあって、大きな木がいつくも植えられています。五穀豊穣ごこくほうじょうや安全など願ったものでしょう。

ネットで調べたら田んぼの脇にお地蔵さまが並んでいましたが、どうもお地蔵さん居たか覚えていません。小さなほこらはありましたので中に居たのかしら。

そんな鎮守ちんじゅのようなお宮さんに植えてあった木を罰あたりな祖父が勝手に切ってしまい、村八分にされそうになったことがあります。

自分の田んぼが陰るという理由だったようですが、神様のたたりを本気で恐れていた人間のいた、古きよき時代でした。

いやいや、今でもやっぱり神様はいらっしゃいます。お天道様が見ています。


「体験会一膳分いちぜんぶん稲穂いなほ刈る」