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廃家

家の近所には、たくさんの廃屋があります。昔、いっしょに小学校に通っていた子の家も廃屋となり、すすきが占領しています。

家って、住人が居なくなるとあっという間に廃屋になります。誰もいない方が、ミシミシ踏む人もいないし、家もストレスが無くて、気楽だろうに。

誰も住む人がいないことが、もしかしたら、家にとってはストレスなんだろうか。

今日の句は、そんな廃屋です。


廃屋のポストの底に年賀状

(はいおくの ぽすとのそこの ねんがじょう)

季語は「年賀状」です。

郵便ポストって、たいていの家庭は玄関先に置いてあります。

最近は防犯上、家族の名前を書かない家庭が増えている気がしますが、ポストや標札等に家族全員の名前を書いてある家もあります。

郵便局員さんも、標札の名前を便りに手紙を配っているのかもしれません。

何だかポストの名前や標札って、家族の縮図みたいです。狭いスペースに、家族の名前が並んで書かれているのを見ると、何だろう、幸せな気持ちになります。

でも、廃屋のポストや標札に残された名前の持ち主は、もうとっくに居ないんですよね。

それって、とても悲しいことです。


廃屋の庭で水浴び寒雀

(はいおくの 庭でみずあび かんすずめ)

季語は「寒雀」です。

何てことない雀の水浴びです。水溜りを見つけると、からだに付着した虫を落とすため、鳥たちは水浴びをします。

そんな微笑ましい光景を眺めていると、いつの日か、わたしが居なくなったログハウスに雀が来て、水浴びをしていたら、ログハウスだって寂しくないでしょう。


廃屋の水仙もらい草を引く

(はいおくの すいせんもらい  くさをひく)

季語は「水仙」です。

我が家にも水仙は咲いていますが、その廃屋には八重の水仙がありました。

水仙を貰ったお返しに、ぼうぼうの草を引いて来ました。


春を待つ廃家の梅よ猫眠る

(はるをまつ はいかのうめよ ねこねむる)

季語は「春待つ」、冬の季語です。

主が居なくても、剪定をされなくても、梅は咲くんです。ちょうど日も当たり、暖かいのでしょう、うちの猫が寝ています。


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馴染みの喫茶店です。どうも奥行きが描けてなくて、平坦な絵になってしまいました。

それに、消毒液を置いた机の脚が一本足りません。

それでも、店主のおばちゃん淹れた珈琲と、牛すじのカレーライスは美味しいです。