可愛らしいネコのイラストが付いているので、読みやすい本かと思い、手に取ったのですが、どうしてどうして歯ごたえ抜群です。感覚的には学術書です。
「はじめに」から、引き付けられました。
恥ずかしながら私自身少し前まで、アナキズム(無政府主義)は、漠然と「危険」な思想のように思っていました。しかしブレイディみかこさんの本を読んだことで、印象が変わり、だからこそこの『学校で育むアナキズム』にも興味を持ったのです。
この言葉に非常に魅力を感じたのですが、後述のように、池田さんが理想とする学校には、ちょっと同意しきれないものがあります。
本当に軽やかかつ、かっこいいです。かくありたいです。
これは『サピエンス全史』でも、アフリカのカラハリ砂漠の狩猟採集民の労働時間は先進国の人の労働時間より少ない、という形で指摘されていました。
「ゾミア」とは、「ベトナム中央高原からインド北東部にかけて、そして中国南部に囲まれ、いくつもの国家の「辺境」に位置し、どんな地域区分にも当てはまらないような」(p.21~22)地域のことです。これを読んで連想したのが、現在読み進めている最中の『11の国のアメリカ史 分断と相克の400年』です。この本でも、国境や州の境にとらわれない各地域の姿が描かれます。
規制緩和についての著者の考察には、ぞっとしました。
信号機を撤去し環状交差点にしたら、かえって事故が減ったというオランダの実験は興味深かったです。
ある学校に勤めていた時、その学校に行く途中に、時間帯によっては人も車もほぼ通らない横断歩道がありました。私はその横断歩道を、生徒がいない時間帯で、車が絶対に来ない状態であれば、赤信号であっても渡っていました。そうしたら、どこで誰が見ていたのか分かりませんが、ある時副校長に注意されたのです。しかも直接ではなく、遠回しな言い方で……。
私の行動が、教員として相応しかったかというと、もちろん疑問の余地はあります。でも絶対に安全な状況でも、赤信号であれば止まらねばならないというのは、思考停止だと思ったことを思い出しました。まぁさすがにその後は、赤信号で渡るのはやめましたが。
激しく同意します。
これは「ビッグイシュー日本版 VOL.466」で紹介されていたマヤの伝統農法「ミルパ」で実証されていることですね。
封建社会の終焉後、私たちは幸せになれたのか、考えてしまいます。もちろん、封建社会が良いわけではありませんが。
ロビンソン・クルーソーについての指摘も、興味深かったです。
確かに!
その通りです。
大切な指摘です。
アクティブ・ラーニングについての指摘も、膝を打つ思いでした。
私は個人的に、アクティブ・ラーニングには懐疑的です。うまくやっている先生方も、もちろんおいでだと思いますが、「見本」として映像で観た授業が、どれも結構「何だかな」という感じだったので。アクティブ・ラーニングについての私の思いについては、以下の記事をご覧ください。
ただ、池田さんが理想とする学校については、ちょっと同意しかねます。
別に机をきちんと揃えて、全員まっすぐ前を向いて、私語抜きで授業を聞けとは言いません。さすがにそれは気持ち悪いし、逆にやりにくいし。でも窓に向かって机を向けている子たちがいる教室は、嫌ですね。
チャイムがない学校というのが出てきているそうですが、それは「他者から時間を知らされなくとも、自分でしっかりと時間管理をする習慣を身に付けさせるため」です。
そういう風にしたいのなら、学校で授業を行う必要はありませんよね。池田さんは図書館や実験器具といった学校の設備は必要かつ、生徒が好きな時間に使えるべきだと思っているようですが、授業ばかりは時間を決めてやらないわけにはいかないでしょう。授業も生徒が好きな時間に受けるというのなら、オンデマンド授業しかないですね。
これは知らなかったので、ここに控えておきます。
ほんと、こういう状態になってほしいものです。
これは重要な指摘だと思います。
池田さんのおっしゃることに百パーセント同意できるわけではありませんが、いろいろ目を開かされる指摘があったので、読んで良かったです。
見出し画像は、歯ごたえ抜群ではもちろんありませんが、昔ながらの固めのプリンです。