アマゾンのプライム・リーディングを利用して読んだ9冊目にあたります。8冊目のレビューより前に、こちらをアップしてしまいます。
↑kindle版
世界史の教員として、もちろんセネカの名前は知っていましたが、マンガ『プリニウス』にも登場したことで、その著作を読んでみたいと思った次第です。
以下、備忘録代わりに心に残った箇所をまとめておきます。
訳者の中澤務さんによる、「人生の短さについて」の前書きです。セネカの言いたいことはすでにここに集約されていますが、実際のセネカの言葉を見ていきます。
・「人生の短さについて」
強烈な言葉です。セネカは「自分の心の声を聞き、自分のために時間を使いなさい」と繰り返し言っています。
やりたいことを先延ばしにしているくせに、今に不満を持つのは愚かなこと、とセネカは言っているわけです。
過去を生きた優れた人々に学びなさい、というわけです。では私も、セネカから学びましょう。
なんて贅沢な話でしょう。しかも彼らは見返りは求めないのですから。
古代ローマ時代にも「親ガチャ」的なことを言う人がいたことにも、セネカがその主張を軽々と退けていることにも、びっくりです。
・「母ヘルウィアへのなぐさめ」
セネカがコルシカ島に島流しになったことを嘆いているお母さんを、セネカ自身がなぐさめようとしていることの例えですが、何だかおかしみを感じます。
・「心の安定について」
なるほど。
教員である私にとって、励みになる言葉です。
今年度は少し忙しくしているので、この言葉は心に留めておきたいです。
ひえー、今年度の仕事が私の力量を超えていないことを、切に祈ります。大丈夫だと思ったから、引き受けたのですが……。
私は計画が変わるのが嫌なタイプなので、心に留めておきたいです。
カヌス・ユリウスという人物について、セネカは書いています。この人物、注によれば「ここでの言及以外には知られていない」そうですが、ガイウス帝を怒らせ、死刑を命じられたものの、最後まで心の安定を保った人物として登場します。
セネカ自身がネロによって同じ運命をたどることを思うと、意味深です。
サルタチオをすると、金銭や食糧の援助などの便宜を図ってもらえたそうです。
・解説 中澤務
セネカが属したストア派について、まず説明しているのですが、これが興味深かったです。
この説明に、無為自然を説いた道家の教えとの共通点を感じました。ロゴスは「道」に通じるように思います。
アパテイアは、インド哲学でいう涅槃(ニルヴァーナ)でしょうか。悟りを開いた状態というか。
この後中澤さんは改めて作品解説で、個々の作品を振り返っています。復習になって、良いです。
今年度はオクパツィオになりがちなので、自分の心を戻すよう、心掛けたいと思います。
なるほど。
カルペ・ディエムは、映画「いまを生きる」のキーワードですね。
読了までにずいぶん時間がかかってしまいましたが、読んで良かったです。アマゾンプライムで光文社古典新訳文庫が読めるのは、大変ありがたいです。
見出し画像は、セネカも見たであろう、ローマのテヴェレ川です。
↑文庫版