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四摂法

私たち夫婦も結婚して早、18年経ちました。お互い再婚同士、しかも私は二人の幼い子供を連れての再婚でしたが、お陰様でそんな子供達も親元を離れ社会人となり、今は夫婦二人で穏やかに暮らしています。
そのような中、最初の結婚での失敗と、現在の夫婦円満さのどこに違いがあるのか、と、冷静に振り返ってみました。

最初の結婚は、23歳の頃から9年間結婚生活がありまして、離婚の原因は元夫の浮気やDVなどがありましたけれども、私の方に全く落ち度がなかったかといえば、そうではなかったと思います。

私は当時、元夫に心を尽くし、愛していたか、と、問われれば、甚だ疑問を感じます。私はきっと、夫の内面ではなく、外側ばかりを見て(家柄、学歴、収入、容姿等)、肝心の内面を見ようとせず、また、大切に思えていなかったと思いますし、それはお互い様で、元夫も同じだったのでは、と感じます。バブル世代ということもあり、如何に周囲に自慢のできる男性か、自分にとって都合の良い男性か、ということを優先した結果、気持ちを動かされていたのでしょう。

ですが、そんな結婚が上手くいく筈ありませんよね。
いくら占いでの相性が良い、と出ても、相手を思い遣る気持ちがなければ、良いものも悪いものへと変わります。

そう、若い頃の私には、人として最も大事な「思い遣り」に欠けていたと反省しました。

タイトルの、四摂法(ししょうぼう)という言葉は、仏教の言葉で、私の好きな言葉であり、為す事は難しいですけれども、常に心に留めて置きたい言葉です。

四摂法とは、人が生きて行く上で、とても大切な四つの心の事をいいます。

一つ目は「布施」の心。布施といえば、僧侶へ金品を渡す事、と思いますが、布施の意味は、自分の事はさておき、相手の為に尽くす心の事をいいます。忘己利他(もうこりた)の心ですね。

二つ目は「愛語」の心。人に対し、慈しみ、愛情ある言葉を向ける、という意味です。言葉は言霊とも言われますが、相手に意味を伝えるだけではなく、心を乗せて伝えるものです。言葉一言で、相手を喜ばせることもでき、逆に一生忘れられないような傷をつけてしまうこともあります。ですから汚く乱暴な言葉を感情任せに吐いてしまわぬよう、相手を喜ばせ慈しむ言葉を使いましょう、という事なのですよね。

三つ目は「利行」の心。常に相手の為になる行いをする、という意味です。私たち人間は、どうしても自己中心的な面があり、相手の為、と思っても、それは自分の事を計算に入れて相手の為だと言っている場合が多いように思います。自分を計算に入れず、相手の事を第一に考える、という事は、とても難しいですが、そういう心になれるよう、近づきたいものですね。

最後の四つ目は「同事」の心。相手と同じ気持ちになって考える、という意味です。相手の気持ちと全く同じになる事は不可能ではありますが、できる限りの想像力を働かせ、相手の気持ちに寄り添う優しさが大事、という事ですね。

この、四摂法が当然のようにできる方の事を、仏様と呼びます。私たちが完全に、このような仏様の境地に到る事は難しいですが、この、四つを常に心に留めておく事こそ、夫婦円満に繋がるのでは、と、思い、心がけています。
また、今の夫はこの四摂法の心を持つ仏様のような人ですので、まだまだ未熟者の私にとって、大きな学びを与えて下さいます。とても難しい事ですが、とても尊い事、と思い、夫を心から尊敬しています。

先日、久しぶり父の家に帰省しましたら、父の再婚相手の奥さんが、冷たいおしぼりを出してくださいました。父曰く

「彼女は私がゴルフから帰ったら、必ず冷たいおしぼりを出してくれて、何も言わなくてもすぐに晩酌の準備をし、私が晩酌をしている間に夕飯の準備をしてくれるんだ。食後は旬のフルーツを出してくる。何も言わなくても私の気持ちを汲んでくれて、私には出来すぎた妻だよ。」

と、嬉しそうにニコニコ話していました。父の奥さんも、四摂法の心を持つ仏様のような人なのですね、と、お互い再婚で良い伴侶に恵まれた事を喜び合い、そんな素敵な立ち居振る舞いのできる奥さんを真似て、私も早速、夫が仕事から帰って来る際には冷たいおしぼりを用意するようになりました。夫は「とても気持ちが良い」と、喜んでくれまして、そんな夫の笑顔に私も嬉しくなります。(^^)


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