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アペリティフのすすめ

フランスでは夕暮れとともに、アペリティフを楽しむ時間が訪れます。アペリティフとは直訳すると「食前酒」ですが、広義では食前酒を楽しむひとときそのものを意味します。
この風習は、18世紀末の貴族社会からはじまり、やがて階級を超えて国民全体に広がりました。いまやフランス人にとってアペリティフは単なる食前酒ではなく、会話を促す重要な〝儀式〟であり、友情を深める親交の場としての役割を担っています。

今夜は、幼なじみとの食事会。選んだアペリティフは、「ヴーヴ・フルニ・エ・フィス ブリュット プルミエ・クリュ グラン・レゼルヴ」です。このシャンパーニュは、木苺やラズベリーの微かな酸味と夏の完熟メロンを思わせる豊かな甘みを放ち、なぜか幼少期の通園路で感じた甘美な香りと重なり合います。20年ぶりに再会する互いの緊張を解きほぐし、懐かしい思い出話に花が咲いたのも、アペリティフのおかげでしょう。

久しぶりに再会する友人との食事には、わたしは必ずアペリティフを設けるようにしています。心の扉を開き、相手との距離を縮め、心理的な安心感をもたらすのがアペリティフの役割。みなさまも、旧友との再会を祝うために、夕食前にホテルのラウンジやリラックスできるバーなどでアペリティフを取り入れてみてはいかがでしょうか。


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