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【エッセイ】カイロな猫たち

2月22日は「ニャン、ニャン、ニャン」で「ネコの日」。ニャンとも覚えやすい! 

ここエジプトは、5000年前からずっとずっと、毎日がネコの日。

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夫は毎朝、野良猫にエサをやっている。自分で勝手に名前をつけてかわいがっている。

一番のお気に入りは三毛猫の「のび太」。マンションの正面玄関で、夫を出待ちする姿がなんともかわいい。

のび太と夫がいつもの場所にやって来ると、いつもの野良猫メンバーがすでに集まっている。メンバーは日によって違うが、固定猫は3匹。彼らは、マンションを出た所の一段高くなったコンクリートブロックに、エサが置かれるのを待っている。

のび太が食べているときに、必ず横取りしようとするのが、ブチ猫の「ジャイアン」。のび太より二回りほど大きい。

しかし、のび太とかジャイアンとか、夫のネーミングセンスのなさに笑ってしまう。

夫がエサをやっていると、通りすがりの人によく声をかけられる。「猫にエサをやってくれてありがとう」と。

マンションの清掃員からは、「猫の餌皿は私が洗っておくからね。早く仕事に行きなさい」と言ってもらっている……たぶん。アラビア語なので、ちょっと脚色が入っている。

野良猫にエサをやる人、こちらでは多い。地域にいる猫は地域のみんなで世話をする、という文化がある。

ここで、夫に注意された。
「『野良猫』じゃないよ、『地域猫』だよ」

地域猫か、私の中にはなかった言葉。

日本では、野良猫によるふん尿被害が話題にのぼる。確かに私も日本にいるときは、野良猫をうとましく思うことが多かった。

あと、夫は日本では野良猫にエサをやったことはない。出張でカイロに来たときだけのこと。

しかし、夫がこんなに猫好きだったとは知らなかった。どうもカイロに来てからのようだ。カイロの猫には、夫を惑わす魅力がある。

という私も、道端に座っている猫や、お店に勝手に入って大きな顔をして休憩している猫を、しげしげと見てしまう。「カイロの猫は、かわいいぞ!」と思い始めている。

猫だって大事にされると、嬉しいだろうし、気分が良くなるだろう。だから、かわいくなるのか?

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 エジプト人は、どうして猫を大事にするのだろう。

多くの信仰を集めている古代エジプトの神々に、ネコの頭を持つ女神「バステト神」がいる。

エジプトと言えば「ミイラ」だが、猫のミイラも多く発掘されている。

壁画には、猫を擬人化したものも多い。

イスラム教徒の五義務の一つ、「ザカート(喜捨)」からきているのだろうか。

イスラム教の創始者ムハンマドの言行録には、「ネコを大切にするように」と書いてあるそうだ。

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先日、夫が政府関係の施設を訪れた。コロナ禍ということもあり、パスポートだけでなく、ワクチン接種の証明書も念入りに調べられた。やっと許可されて一息ついていると、チェックなしで、簡単に入っているVIPを目にした。

「猫たちは顔パスなんだよ」

そして、会議室に行くまでの間、猫たちがあちこちに座っているのを見た。

「まるでそこで働いている役人みたいなんだ」

人間の役人はというと、みんなでエサをあげたり、階段に子猫がいると、優しく抱きかかえ、安全な場所にそっと置いたりしている。

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エジプト人の猫に対する気持ちは、日本人とは随分違う。さすが「家猫」発祥の国。

(2022年2月28日に書きました)

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