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コロナ対策って何をすること? 「国民がすること」「国家がすること」二つの軸(動画文字起こし③)

※前回の記事の続きです(→前回記事Read)

先日のコロナに関する授業動画を文字起こししました。(動画はこちら→ 「ただの主婦がコロナについてしゃべる動画 」)

話の全体は、図にするとこんな感じ。

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①新型コロナとは何か
②私たちにとって怖いものは何か
③コロナ対策って何をすることか
「国民がすべきこと」「国がすべきこと」二つの軸がある
④新型コロナ封じ込めの代償として広がる
【人間関係づくりはリスクだという感覚】


今回は「③コロナ対策って何をすることか」という話を文字化します。

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前回の記事で、「自分は何について怖がっているのか」を確認してみようという提案をしました。今回はその次に話しを進めます。

新型コロナが自分にとってどの程度怖いのかは人それぞれです。それはそれとして自分で確認するとして。

感染症によって死者が出ている事実を考えると、「関係ないからなにもしなくていい」ということにはなりません。

社会で生きている人間として、コロナにどう対策すればよいのかということを考える必要が出てきます。

で、今、私たちは「STAY HOME」を頑張っている訳ですが(そろそろこの空気も終わりそうですね)。

じゃあこの「STAY HOME」は、本当に「コロナ対策(=自分や自分の大切な人を守るための対策)」になっているのかの確認をしてみたいと思います。

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今、みんな自粛を自主的に頑張っています。その一方、一部では自粛していない人やお店などもあります。

緊急事態宣言に法的拘束力はないため、自粛は自主性に任されています。

ということは、自粛しない人が出てくるのはおかしくはない。おかしくはないはずなんだけれど、「それはおかしい」「間違っている」といって、協力している市民が、協力していない市民を叩く風潮があります。日本人は「協力していないこと」を「悪」とする価値観が広く行き渡っていることが分かります。

自粛しない人が出てくるのにはそれなりに理由があるはずです。理由は大きく二つに分けることができると思っていて、「理由があって自粛できない人」と「特に理由はないけど自粛しない人」です。

前者は、保証などが不十分で自粛することで生活が困難に見舞われる場合。自粛しなきゃと思ってもできない状態。

後者は、国民が政治を信頼していない状態。国は本当に自分たちのためにやってくれている、という信頼があれば「協力しよう」となります。しかし、これまでの経験から政治を疑っている場合にはそうはなりません。「協力したところで…」「どうせ関係ないし」となってしまいます。

国民が政治を信頼するかどうかというのは、実際に政治家がきちんとした対策を考えて実行してくれているかどうかということはもちろん。加えて、国民にそれをちゃんと伝えることができるパフォーマンス力も必要になります。

やっていないのにパフォーマンス力だけある詐欺みたいなのはダメですが、やっていても伝える能力がないのなら、それも政治家としてはダメなんだろうと思います。(だから政治家ってすごいスキル高い人じゃないと務まらないと思う)

このように、それぞれ要因があって、自粛に協力できない人たちがいる。

となると、市民が市民を「協力してない!」と叩くことは、「コロナ対策(=自分と自分の大切な人を守る対策)」への効果的な手段にはならないだろうと思います。

「コロナ対策(=自分と自分の大切な人を守る対策)」にとってSTAY HOMEが重要であるとするならば、どうすれば自粛できない人が自粛できるようになるのかをみんなで考るほうが効果的ではないでしょうか。

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「STAY HOME」は国民が頑張ることです。では、国家は何をしているのでしょうか。

病院や検査施設といったインフラを整えたり、予算を組んだり。そういうことは国民にはできないので、国や行政にしてもらわないといけません。

国はしてくれているのでしょうか?

私の旦那はコロナにかかりました。コロナ患者の家族として、国や行政の対応を直に体感してきたわけですが、はっきりいってどの対応もむちゃくちゃ遅い。4月いっぱい保健所を通じて行政と色々やりとりしていましたが、4月末時点でも十分にインフラや検査の体制が整っているとは言えない状況でした。保健所、医師、行政の情報伝達も整えられておらず、言うことがみんなバラバラ。振り回されて疲れました。

ここで私が注目したいポイントは、こういう事態に対して「でも、未知のウイルスなんだから仕方ない。行政も色々なものが不足している中でよくやっているじゃないか」と言う意見が少なからずあるという点です。

確かに頑張っている政治家さんはいると思う。でも国レベルでそう擁護するのは、ちょっと待ってといいたい。そういう風に感じるのは、日本の状況しか知らないからでは?

例えば韓国。韓国は5月頭に新規感染者がゼロになったという報道が一部でありました。正確な情報なのかどうか慎重になる必要があるとは思いますが、新規感染者が限りなく少なくなったことは事実だと思います。(規制緩和後にまたクラスター感染があったようですね。諸外国の例に漏れず、ロックダウンは封じ込めにはならないということが分かります。)

感染拡大防止に成果を出すことができた韓国。一体何をしたのでしょうか。

まず、1月末に国内での初めての感染者が確認された1週間後、当局が製薬会社の代表を集め、大量生産のためのコロナ検査キッドの開発着手を促します。その二週間後、国内で確認された症例数が2桁の時点で、既に全国に数千個の検査キッドを配布。3月下旬の時点では、検査キッドが1日10万個生産されていたそうです。また、国内には600箇所の検査施設と、50箇所のドライブスルー検査場が作られました。感染者は徹底して行動を追跡され感染防止のために情報が活用されました。

例えばヨーロッパでは、ドイツがコロナ対策に成果を出しています。ドイツでは週に47万件の検査が行われていました。

では、同じ先進国である日本は?

4月時点でも日本の検査数は週に3万件ほど。今だに1日1万件にも及びません。ちなみに、私が2月末時点で保健所に問合せた時、大阪で検査ができる施設は1箇所しかないと聞かされています(だからむやみやたらに検査でいきないと)。大阪では陽性患者隔離用のホテルが用意されたのがやっとのことで4月後半。しかも、ただ施設を用意しただけで、隔離したもののどういう基準が満たされたらその隔離から解放されるのかの基準が決まっていなかった様です。「何日滞在になるか今は断言できない。」と隔離された後に言われたのは驚きました。隔離場所に行く前は2日で出れると言われてたのに、あんまりです。国民が一人一人「生活している」ということが理解できていないとしか思えない。

たくさんいる国民の生活や感情まで理解するのは難しい?けれど、ドイツのメルケル首相やNYのクオモ州知事は素晴らしくやってのけて、国民の支持をUPさせています。

こういったことを知ってから日本をみてみると、日本ってどうなのでしょうか。先進国で欧米諸国と肩を並べているという認識であった日本は、なぜこんなに他の国と違うのでしょうか。

「そんなこと言ったって、実際に設備も不足しているし、予算もない。しょうがないじゃないか」と言われそうです。でもじゃあ、なんで今、設備も不足しているし、予算もないのでしょうか。それを考えることが重要だと思います。

韓国が上記のように迅速に対応できたのは、2012年のMERSの時にたくさん死者を出したことを反省し、学んだからでした。感染症の流行による危機が起こった時にはこうします、といろんなことを決めた。市民も、その時にはプライバシーの権利を一度横に置いて協力することに賛同することになった。

ドイツでは、元々福祉の制度がしっかりしていたし、メルケルさんが国のトップとしてその手腕を発揮したということ。

日本は、SARS、MARSではそれほど痛手を被らなかったかもしれない。けれど東日本大震災とか、色々あった。そこから何も学んでこなかったということです。なぜ、学べなかったのでしょうか。準備できなかったのでしょうか。

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そのポイントの一つは、今の「STAY HOME状況」から読み取れます。

「STAY HOME」すると、当然だけどストレスが溜まります。そこで、「楽しく家にいられる工夫をしよう」「暗い雰囲気を吹き飛ばそう」「明るい未来にむけて協力しよう」みたいなことになります。みんなが「STAY HOME」に協力するのはいいことです。けれど、じゃあそれでこのコロナの騒動が過ぎ去ったとしたら?

「日常がもどってきた。あーよかった。」「みんな頑張ったね!」で終わってしまうのではないでしょうか。それが一番怖いです。(緊急事態宣言が一部で解除されますね。状況にも若干慣れてきた私たちは既にそうなりつつあると思います)

日本では、何かを批判したり、何かに文句を言ったり、周りの協力体制に同調しないことがタブーとされる雰囲気があります。でも、今の国家や行政の対策のあり様を見ないで、波風立てずにおさまるのを待っていたら…

国民の大部分は、国家の状況も知らず、政治は批判されることもなく、何も変わらずにまた同じことが繰り返されるのではないか。というか、その繰り返しが今の状況なんじゃないか。ということです。

国家や政治のことに目をむけたくないならそれでもいいです。でも、インフラなどが整わないまま、例えばこの自粛のムードが終わり、街に人が出ていくことになった時。ロックダウンを解除した各国がそうであったようにまた感染が広がる可能性は高いと思います。

そうなった時、自分の家族がもし重症化しても、すぐに運んでもらえるシステムもなければ、受け入れてもらえる病院もないということです。だから、いくらSTAY HOMEを頑張っていたって、国が何もやってくれていないなら、死にます。

コロナにかからなくったって、コロナ患者で病院がパンパンなら、いつもなら助かるかもしれない命が助けられません。

こういう状況であるというのが、私が怖いなと思っていることです。

でも、怖いと思っていても私の力で病院も検査数も医療関係者も増やすことができないので、もうどうしようもありません。(しかももはや、「検査数を増やす」とか「感染者数を抑える」という対策は日本では手遅れの対策なので、それをやればいいということでもない)

そういう国に住んでいるということを自覚して、自分で自分の家族をどう守るかを考える方にシフトしないといけないなと思います。

おおげさに聞こえるでしょうか。でも、今後も未知のウイルスは社会に放出されてきます(理由については動画で説明しています)。ウイルスだけが怖いんじゃなくて、どんな災害がいつ起こるか分かりません。

その時、おそらく日本という国はあてにならないので、自治やコミュニティを作ることができるかどうかが鍵になるのだろうと思います。

だから、VEREIN PROJECTを立ち上げました。小さくて強い自分たちのHOMEが必要だと思うから。


■VEREIN PROJECT■ 
子どもととりまくソーシャルデザインを考えるコミュニティ 
HP→ https://momocat223530.wixsite.com/verein


【blog主】「2歳4歳子育て中の母」であり「保育士」。ふたつの現場での経験を社会学・人類学・哲学・政治学・宗教学・アートなどボーダレスな分野の知から考察。これから子どもたちが大きくなって船を漕ぎ出していく社会に疑問が沢山。同じような疑問や不安を持つ子育て世代と、気付き・学び・疑問などをシェアして考えたい。大阪府にて“子育てハウス”を媒介にした共同体を作りたいと企画中。
友達申請・メッセージはこちら→ https://lin.ee/qK7pte


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