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本格的な在宅勤務を続けて気づいた、新型コロナ後社会が変わるかもしれないと思う4点

ということで、前の記事では在宅勤務をどうすれば気持ちよくできるか、という個人の気づきをWork/ Lifeの面から書きました。

これまでも、阪神大震災、海外での勤務など、自分にとっての大事件とかライフスタイルの変化に晒されたことは色々あったんですけど、「家にいろ(家で仕事しろ)と半ば強制される」というのは非常に新しい体験で今もその新鮮な感覚を半分楽しみ、半分恨んでいる感じです。前回個人の働き方のチューンナップについて書きましたが、これが当たり前になると社会(というか、住宅とか街?)のあり方も少し変わるんじゃないかと思ったので、以下に個人的な妄想を書きます。

1. オフィスリソースの分散/企業と従業員の負担の仕方の変化

従来、「在宅ワーク用の机、椅子」「スキャナ付きプリンタ」「ヘッドセット」「高速インターネット」のような什器、設備、環境というのは、「企業がオフィスに準備して、従業員が無料で無制限に使用できる」という関係性が当たり前だったと思うんですね。そして「在宅勤務」は、「レアケース&希望に基づくもの」だから「オフィスに近い環境を作ること」は「希望者=在宅勤務受益者」の負担でよかったし、たまの在宅ならそこまで環境整備に投資しなくても仕事の生産性・働く人の健康ともに問題なかった。

一方で今回のような長期の在宅勤務になってしまった場合、個人が環境整備しないといけないレベルが一段上がったなと感じました。フルタイム毎日在宅なら体を壊さないために椅子は必須、効率よくオンラインで会話したいならヘッドセットも拘った方が良い、インターネット回線も最低限だとちょっと心許ない…というように。

逆に、いままでオフィスのキャパとして必要だった「構成員全員が出てきても収容できること」という条件は緩和される」かもしれないなと。これは1月末にいち早く社員の大半、4000人もの社員をリモートワーク化したGMOの熊谷正寿社長がGMOの発見②として「オフィス代を浮かす」と挙げています。

こう考えるとオフィスの家賃や整備投資を減らしつつ、その分「在宅勤務環境整備補助金」的な福利厚生パッケージを企業が従業員に出すようになるのかも、と考えています。家具メーカー、オフィス機器メーカーにとってはB2Cのサービス開発の契機になるかも?オフィス用椅子のサブスクとか、今出せば一瞬で広まるような気がします。

また、今はオフィスに集約されているオフィス設備が、街の中に分散していく、というようなこともあり得るのではないかなと思います。すでに存在するコワーキングスペースは、「オフィスをもつ必要がない人」のために、「既存のオフィス街とそう違わない立地に」存在していますが、例えば住宅街の中に、とか、マンションの一階などの「住居に近いところにコワーキングスペースができる」 or 海辺とか山の中とかの「バケーションできるところにコワーキングスペースができて、そこから仕事するのもあり」という風になっていくのではないかと。(ただ、これはコロナが収束しないと難しいんですけどね・・・。マンション1階のコワーキングスペースはぜひ欲しいなと思います。)

2. 理想的な住宅、街のあり方の変化

我が家の場合、主人も同じタイミングで在宅勤務日数が激増。個人的にはある程度の雑音とか、人の目とかがあった方が集中できるので、リビングで二人が勤務していることはあまり問題ありませんでした。(子供がいないということが大きいですが。)

一方で問題はどちらかが or 両方がオンライン会議に出るときや電話で込み入った話をするとき。オンライン会議だから声を張らなきゃいけないし、遠慮もあるし同じ部屋でやるのはなかなか厳しかったです。仕方なく電話会議がある方は寝室にあるドレッサー的なものを仮で使って対応。「二人暮らしで同時に部屋が2つ必要」ということを初めて経験しました。

リノベマンションの間取りなどを見ていると、「元々は和室だったリビングルームとリビングダイニングをぶち抜いて広々空間を実現」とか、「4LDKだったところ、2部屋ぶち抜いて広めの3LDKに」とか、少子化や生活スタイルの変化を反映して部屋数を抑えて1部屋を広くする傾向があるように思います。一方で、「仕事をする場はオフィス中心からオフィスと自宅半々に変化」となった場合、かつ共働き世帯が今後も中心であり続けると仮定すると、2畳くらいの「こもるスペース」✖︎2部屋が区切れる間取りが必要になるかも?間取りとしては変化がなくても、パーテーションやカーテンとかで区切れるような工夫が求められるようになるのでは、と感じています。

余談ですがモデルルームとかを見て回ってる際、そういう小部屋が2個くらい設けられている家もたまに見かけますが、ほぼ100%「こちらはご主人の書斎として使っていただけて・・・こちらは奥様の家事スペースとしてお使いいただけますよ」という説明。家族の中の女性の部屋は「家事用途に」と最初から決めつけられていて、かつ、家事スペースだからということなのか電源コンセントなし、窓も小さめで薄暗く・・・という始末。ハウスメーカーさんの中ではまだまだ働く女性というのは眼中にないのかなと思うと悲しくなります。

また、都心部への集約が緩和されるのか、やっぱり都心部への集約は止まらないのか、ということも非常に気になるポイントです。かつてインターネットが隆盛したとき、「これからは都会に出なくても田舎でもインターネットで同じようなことができる」と考えられたのに、結局は「イノベーションを起こすためには人と人との化学反応が大切」「イケてる人たちの周りにイケてる人たちが集まる」という側面が強く、都心部/中心部への集積が進んだ印象です。今回の新型コロナで新しいなと思うのが「人とFace to Faceで会うな」という今までにない強制力が働いていること。そのためZoomのユーザー数が新型コロナ前の300%を超えたように、「リアルで人に会わずにイノベーション・アイデアを生み出すために何ができるか」の試行錯誤が猛スピードで進んでいるように思います。ここでリアルで人に会わずにできることが増えれば、「都心に出やすい駅近が一番の価値」という不動産や街の価値観がひっくり返る可能性があるのではと想像しています。

同時に、今は商業スペースと住宅街とがある程度区分けされていますが、もう少し融合して行くのでは。外出自粛がかなりきびしく難しくなってしまいましたが、在宅が基本であれば、徒歩圏にカフェとか、公園とか、テイクアウトできる食べ物の店があることってすっごく魅力だと思うんですよね・・・。今はオフィス街がそういうレイアウトになっている(働くオフィス部分と、カフェ・コンビニ・公園などの商業スペースが入り混じっている)けれど、住宅街についてもそういう風になると街のあり方も変わるのでは、と感じています。

3. 「勤務中&オフサイトソーシャライズ」の習慣が出現

3週間在宅勤務をしてみてつくづく感じたのは「寂しいなあ・・・」ということ。メールやチャットでの文字のやり取りはある、オンライン会議時はそれなりに音声会話もある、それなのに実際に人と触れ合わない、雑談しないというのはこんなにも寂しいものかと感じました。いくつかの記事でも「寂しい」問題は取り上げられていますね。

前出の記事と同じですが、GMOの発見⑤として「リモートが『さみしい』人もいる」と挙げられています。私は完全にこっちのタイプです。「週3在宅、週2オフィス(かつその週2はたくさんの人がオフィスに出てきていて会える」というのが自分にとっては幸せバランスだなと感じています。

 100人100通りの働き方、で先行しているサイボウズさんでも「さみしい問題」というのは認知されているようです。

巷ではZoom飲み会が取り上げられていますが、オフィスでの「ちょっと雑談コーヒータイム」みたいなのをあえてオフサイトで &勤務中に再現する仕組みを作っても(もちろん任意参加で)いいんじゃないかなと個人的に思っています。やっぱり、事務連絡ではなく、会議でもなく、職場の人とランダムに話す時間は自分にとっては必要だな・・・と感じるので。

同時に、オフィス勤務時の「適正な息抜きタイム」ってなんとなく共通認識があるように思うのですが(コンビニいく、コーヒー買ってくる、タバコタイム、など。もちろん、喫煙者と喫煙しない人の間で不公平だ、みたいな議論もあったりするわけですが)在宅勤務だと「常にSkypeをオンラインにしておかなければ・・・・」「離席XX分以上って表示になるとサボってると思われちゃうかも・・・・」みたいな変なプレッシャーがかかって、結果オフィスにいる時よりも机に張り付いてしまいがちでした。ただ、在宅勤務しているからって四六時中張り付く必要はないはずだし、何より気分転換しづらいので、オフィス同様の息抜きタイム取りやすくなるといいな・・と。そのためにも上記の勤務中オフサイトソーシャライズは有効なのではないかと感じています。

あと、これは甘いもの好きな自分の超個人的な意見なんですが、今この状態って百貨店の1階に入っている系の洋菓子のお店にとってチャンスなんじゃないかと・・・・。コンビニのお菓子も大好きなのですが、せっかく在宅している=お皿・フォークなどの自宅リソースにアクセス可能!という状態、つまり手で食べられるお菓子以外にも、フォークじゃないと食べられないケーキ系、熱いお茶が欲しくなる和菓子系も休憩時間に食べられるということ・・・!百貨店1階のお菓子は進物用途で売られているケースがほとんどですが、たとえば在宅勤務者向けに週3回分の、1回食べきりサイズのちょっと良いお菓子をデリバリーしてくれるサービスがあったら・・・。めちゃくちゃ使いたいです。

4. 攻めの在宅勤務にどう変えられるか/ MOOCsへの注目高まるかも?

先日読んでたSmart Insight社の記事で挙げられていた「効果的な在宅勤務をするために求められること」を読んでいて、中に「スキルアップをどうやっていくか」が入っているのをみてハッとしました。

現時点では在宅勤務は「スローダウン」だと思われている節があります。在宅勤務 = 子育て中・介護中社員向けの選択肢というイメージで語られることが多かったり(これは今回の新型コロナの影響で大きく変わるのではと思っているけど)、身近なところでいうと実家の母に「在宅勤務になった」というと休業と勘違いして勤務中に電話をかけてくるなど、「在宅勤務 = オフィスに出勤している時よりはパワーダウンさせてアウトプットも下がって当然だよね」みたいな先入観がある人がまだまだ多いのではないでしょうか。(在宅勤務だから家で子供見れるでしょ、みたいな勘違いもまだまだ多いですしね・・)

今までは日本でも「この状態は暫定的なもの」という認識だったので、ある程度スローダウンしてやり過ごそう、という認識の企業も多かったのではないでしょうか。ですが、イギリスのように、半年といった長期スパンで現在の状況が続くと明言している国も出てきました。そうすると、スローダウンではなく、在宅勤務をしながらバリバリグローバルに戦ったり、家でバリバリ自分の能力アップに励んだりする「攻めの在宅勤務」の仕方を考える必要が出てくるのではないでしょうか。

能力開発の側面に着目すると、自分の場合は研修 = Face to Faceの研修や講習会参加、イベントでのインプットが中心的、一部簡単なことを学ぶor習熟度チェックのためのeラーニングがある、という状態だったのですが、Face to Faceでしか学べない、インプットできないという状況だとまずいことになるかもなと感じています。

自宅にいて、誰にも会わずに高度なスキルアップが求められる可能性が高まる、そうするとMOOCsへの注目が強まるのではないかと感じています。MOOCs (Massive Open Online Coursesの略)とは、オンラインで大学講義などを受けて学ぶこと。例えばこのページではアイビーリーグの大学の講座で学べるものが一覧化されています。

日本だとオンライン教育はまだまだ補助的なものと見られている側面がありますが、「人に会わずにスキルアップしなければいけない」という需要が出てきたことで、MOOCsへの関心が高まるのでは、あるいは、オンラインで教育をせざるを得なくなった供給側(=大学側)の変化により、良質なMOOCs講座が増えるのでは、といった期待を持っています。

ということで、4つの側面から未来に起こりうることを妄想してみました。後から見ればトンチンカンかもしれませんが、私は今大きな変化の渦中にいる、という感じがするので、まずは渦中にいる今見えているものを記録しておこうと思います。もしよければ前編もご覧ください。

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