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スパーズ21-22財務レポートを読みたい②

こんにちは。少し時間が空きましたが、②を書きたいと思います。

最近のスパーズは、もやもやザワザワした空気に包まれています。
ピッチ上ではあまり勝てない。選手のせいともいえないのでは…という中で、コンテは体調不調。(本当にお大事にしてほしい)相次ぐ重要選手の怪我。ソンとクルゼフスキの不調。
そもそもみんな契約更新はするのか。いまだにポチェという元彼が定期的に記事にちらつく。
いやそれよりも、アメリカ資本への売却の話が出てきたり。

大きな過渡期なのでしょうか。いくらでも考察のし甲斐が合って、遊びきれないですね。
暗くならない程度に情報を追って考えていけたらいいなと思います。

決算については、先週に①を書きました。
②ではPLと利益を見てこうと思います。

①はこちら

まずは全体像を

今年も、Swiss rambleさんの表を拝借します。

税引き後で▲£50.1Mとなりました。
対前年で、どこが変わったのかを表したのがこちら。

対前年だと、Match DayとCommercialでプラス、BroadcastingとOther Expensesでマイナスになっている構造ですね。

比べるべきはもっと前

決算では対前年で比較するのがセオリーですが、私は対前年はあまり意味がないと思っています。なぜなら、昨年度と昨々年度はコロナ影響で凸凹が大きいからです。

昨年度(20-21)→無観客だったことを受けてMatch Dayの収益はほぼゼロ。ただしBroadcastingは、前年度(19-20)の一部がこちらの年度に乗っているので通常年度の1.5倍近くあります。

昨々年度(19-20)→上述の通り、Broadcastingの一部は翌年度に繰り延べられているので、やたら少ないです。

ちなみに、それ以前と比較するとこうなります。(対19年度にしています)

18年度と19年度は、素晴らしく黒字でした。
19年度はCL準優勝の年なので、それと比べるのは不利なのはわかりつつも、表では対19年度としています。軒並み収益が減・費用が増しているのがわかると思います。
EBITDA(本業で稼ぐ力。これが赤字の場合、基本的に会社として稼ぐ能力がない)も、ここ数年よりは改善したものの、すごかった19年度以前に戻ってはいません。

では、何が変わったのだろうか。

収益

税引き前利益に関わる項目を、ざっくり取ります。

収益は本当にわかりやすい。

<プラスになった項目>
・試合収益 ←新スタ完成・稼働でup
・スポンサー収益 ←新スポンサー等でup

<マイナスになった項目>
・Broadcasting収益
これは国内および欧州大会における結果の反映です。
なので、単純にCL準優勝と、ECLグループステージ敗退の差分です。

ECLの賞金は、CLやELに比べると本当に少ない。笑
でもそれでも£10Mくらいはあるので、絶対に無駄にはできないし出た方がいい大会になっております。

ピッチ内の成績が悪くとも、他項目でカバーできるようにして財務状況を安定させる!というのが長らくスパーズがめざす姿です。
実際、これはコロナで遅れたものの、少しずつ達成していっています。欧州大会の賞金当が▲£90Mも減っても、全体では▲£15M程度に抑えているのだから。
スポンサーのまだ手をつけていない部分(ネーミングライツやイベント)を進めたり、ピッチ上で良い順位を取ったりすれば、さらに収益は増える見込みがかなりあります。ただ、こんな収入増じゃ全然足りないんだよね、というのが次の費用の部分。

費用

何が増えているか?
・給料
・主に移籍金の無形固定資産減価償却
・有形固定資産減価償却
ですね。

まず、有形固定資産の減価償却は、スタジアムである。これは建ててからずーっと毎年、定額が立つ仕組みです。だからこれは建てることを決めた時点でわかっていた費用増で、今さら何かというものではありません。
そして、この費用はMatch Day・Commersialの収益とほぼトレードオフです。スタジアムを建てたから、それらの収益は上がったのですから。すごく簡易ではありますが、そこだけをそれぞれ抜き出して収支を比較すると合計でプラスになっていますので、スタジアムを建てたことによる当年度利益影響はプラスになっていると言えるでしょう。マイナスになってたら困るんだから、これは当たり前なんだけど。

それに対して、給料と無形固定資産の減価償却(移籍金)は、みんな大好きな移籍ビジネスや契約にまつわるものですね。
これらは、わかりやすくスタジアムができたタイミングで増えています。ここからギアを踏んだように見えます。

スタジアムと同じように考えたとき、この選手に関わる費用に対応する収入は、主にBroadcastingの収益(成績の表れ)です。
頑張って踏み込んで投資したのに成績は逆に下がっていっている…という現状は、なんて選手にかけるお金ってコスパ悪いんだ!という感想にもなりますし、なんて選手・チーム回りの運営が上手くいっていないんだ!という意見にもなると思います。私はどちらもあると思います。
結局、財務諸表から見ても、いつもの負けた後の「眠れないからスパーズの改善点を朝まで生討論」の内容に戻ってくるのは間違いないのです。

まとめ

EABITDAが結構プラスであることからも、スパーズには稼ぐ力はある。
ただ、それをキープ?向上?させるための選手関連の軍資金を考えると、全然ぜんっぜん足りない!というように見えます。

たとえば、移籍金は、人によってはあまり増えているようには見えないかもしれません。+£30M/年くらい。
わかりやすく言うとセセニョン一人分であり、もし移籍市場で30Mで交渉している選手がいたら「そのくらい出してよ!」と思う人もいるでしょう。
ただ、それを稼ぐのがどれだけ大変か…!

もっと稼いで穴を埋めろ!というのはまあ引き続きやりつつ、
選手獲得のコスパの悪さ(というかマイナス)を改善していかないと、規模的に抜本的対策にならないのも事実。

非常に難しい経営だと思いますが、この波を感じながら、今後のニュースなど見られたらなと思います。

今回は以上です!

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