見出し画像

今はただ、幸せの香りを思いっきり嗅いでおく。

昨日、ダイエットの為にウォーキングをして
その帰り道でふと気づいた。

何度も引っ越して
何度も転職をして
結婚して離婚して

今の私には、仕事も貯金もない。
結婚もしていなければ子供もない。
37歳にもなって親孝行も出来ず
また仕事を辞めて
自分の人生についてばかり考えている。

情けなくて、惨め。


けれど、それでも
その代わりに味えたことが
たくさんあったとも思う。


外国の街角で
目があった女性に自分を重ねる時間や

ワクワクをぎゅっと詰めたスーツケースに
ひっくり返された価値観を持ち帰って
帰国した空港で飲むカフェラテの味

離婚後初めてのデートの為に買った
香水の香り。

引っ越し先のアパートの近くで
知らない街を散策し
コインランドリーで過ごす日曜の午後。

母がかけてくれた優しい言葉。
父が送ってくれた短いメール。


やり直そうとする自分を愛おしく思う気持ち。


これら全部
今、私が持っていないものと引き換えに
私が持っているもの。

そんなことを
日曜日の午後、散歩の途中で気づいた。

生まれた町で就職し
結婚して子育てをする姉を尊敬している。

職場での地位と貯金、年金と保険。
息子と旦那。
マイホーム。
間近に見える子供の成長。

積み上げてきたもの。
目で見えて、感触があるもの。

私はそれを望まなかった訳でも
望んだ訳でもないけれど


今の私には
目で見えて感触のあるものが
一つもない。


けれど。
目に見えなくても、手で触れられなくても
確実に存在する
これまでの人生で私が得たもの。

仕事を辞めて、こうして散歩でもしなかったら
一生気づかずに、嘆いていたかもしれない。


大寒さくらの花びらが散って
春の風が暖かかった。

ほのかな桜と若葉の匂い。

感触がなくても、香りを感じる。


きっと私の人生はこんな感じだ。と
無意識に思った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?