ヘッダー_2

ミラノダービーのマッチレビュー ( SerieA 19/20シーズン 第4節 )


はじめに

ここまでリーグ戦3連勝と勢いに乗るインテルに対し、ミランはプロビンチャ3チームに2勝1敗。しかも、その2勝ちとも辛勝と厳しい状況で臨んだこの一戦。メルカートでも有力選手をポンポンと獲得したインテルに比べ、この夏は選手が売れなかったこともありおとなしかったミラン。いろいろ対照的なチーム状態の2チームだがダービーになれば関係ない。絶対勝つんや!という気持ちは一応あったんです。試合前は(涙目)。それでは(?)、試合を振り返りましょう(強引)。

スタメン

スタメン

ミラン

・レオンがプライズでスタメン起用
・途中から4-3-3との併用になるがスタートはスソがトップ下の4-3-1-2

インテル

・CLでは格下と引き分けるもここまでリーグ戦全勝で好調
・ベスメン起用
・ダンブロージオの起用は個人的には意外。ラザロ、カンドレーヴァかと思っていた

ミランの基本布陣

攻撃時

スタートはスソがトップ下の4-3-1-2だったが、前半の途中から4-3-3のウィングとして振舞うような時間も増えてくる。中央左右でオーバーロードを作ろうとしていたが、中央ではなかなかうまくいっていなかった。左右ではどうにか。ただ、決定機や比較的良いカタチで行えた攻撃はカウンターの場合がほとんどだった。

左オーバーロード - 右でスソがアイソレーション

左オーバーロード

右オーバーロード - 見切れているが左でレオンがアイソレーション

右オーバーロード素材

普通に4-3-3 ( 前半にもあったカタチだが後半多かった )

画像9

守備時

守備ブロック

 守備時は4-3-3。相手のWBはSBが、IHはIHが、ゴディンはレオンが見て、アンカーとデ・フライは、4-3-1-2時はスソが、4-3-3になってからはピョンテクが見て、シュクリニアルもスソかピョンテクが見ていた。

インテルの基本布陣

攻撃時

インテルは攻撃時3-5-2。そして、この試合で最初から最後まで狙い続けたのはSBの裏である。サイドチェンジしながら、ワイドにいるWBが直接裏を狙ったり、裏を狙わずともWBにパスを出しSBを釣り出して、IHがSBの背後に侵入orCB-SB間のスペースをIHが活用する。

シンプルにSB裏にボールが出るパターン

SB裏シンプル

IHがSB裏を活用するパターン

IHがSB裏


CB/ブロゾビッチから降りてきたルカクの裏に走るラウタロにロングボール、もしくはシンプルに前線にロングボールも比較的よく見た。

ルカクが落ちてラウタロが裏を狙うパターン

ルカク落ち

インテルはこの試合、2得点、ポスト・バーが3回、ドンナルンマの神セーブにあった場面が3回あったが、その内訳は、セットプレーが2つ、長短のカウンターが3つ、サイトから崩されたシーンが2つ。残り1つは、神セーブの跳ね返りをダンブロージオがポストに当て押し込み損ねたやつだ。


守備時

インテル守備ブロック

守備時には5-3-2のカタチ。前からくるが、プレスではめてボール奪取を狙ったりしてくるわけではなく、ボールが進めばそれに合わせて引いていくし、ボールが戻ればそれに合わせてラインを上げていく。画像は右から左にボールがスライドしてきたシーン。しっかりとインテル守備陣はついてきている。

試合の展開

前半序盤

ミランの攻撃
前半は20分過ぎまでスソがトップ下を務めるカタチで攻撃を行っていた。GKからスタートの場合もパスを繋いで攻撃を作ろうとしていた。この時間は中央からの突破を試みるシーンが多く見られたが、その方法でアタッキングサードまで進出することは稀で、なおかつ
・17分台の中央でのスソの落としのパスのズレからショートカウンターを受けルカクに決定的なシュートを打たれたシーン
・10分台のRRがGKへのバックパスを危うく奪われかけたシーン
に、代表されるようにカウンターからたびたび危ないシーンも作られていた。


インテルの攻撃
ミランのミスからのショートカウンターで決定機を迎えるも、決めきれず。時間からサイドバックやCBの裏にシンプルにロングボールを入れる場面が多かった。

前半の半ば以降

ミランの攻撃
ちょうど前半の半分を過ぎたぐらいから、スソが中央ではなく右でもプレーする時間が増える。ビルドアップも割と改善し、アタッキングサードまでボールが行くシーンも増えたが、決定的と呼べるシーンはスソのロングカウンターくらいだろう。ただ、32分台にレオンがレイオフしてきて自力で前を向き、そこからパスをつなぎながら左から右に展開し、最後コンティがクロスをあげたシーンは比較的うまくいったシーンではないだろうか。

インテルの攻撃
時間が経ってくると、ロングボールを入れるシーンの割合が減り、グラウンダーの早いパスでつなぎながらサイドチェンジが増えた。ボールをWBに預け、それぞれのサイドのIHがSB裏やHSを使って攻撃する機会が増える。ミランから見て右サイドではケシエが割と完封していたが、アサモアにケシエがつき、センシにコンティがつくような状態になった際には危なげなシーンも少なくはなかった。逆に左サイドでは、ダンブロージオはRRがほとんど抑えていたが、バレッラをチャルハノールが捕まえ切れていないことが多く、自由にプレーさせる時間も多かった。

後半の序盤

後半開始直後のコンティのファールからのFKで失点。しかも、FKはスローインからの低い位置でのボールロストでのショートカウンターで、サイドに流れたセンシをコンティがファールで止めてしまうというもの。防げた失点だろう。これで、インテルは比較的守備で落ち着いてしまい、なかなか崩せていなかったインテル守備陣を崩すのはさらに難しくなった。
この得点のあとも常にコンティのサイドは狙われていた。ミランが左サイドから攻撃することが多かったこともあるが、ゴディンやデフライ、ブロゾビッチから斜めにミランの右のワイドにアサモアやセンシ、交代があった後はバレッラやカンドレーヴァに向けてパスが何本も出ていた。後半ざっと見ても、52分台、58分台、59分台×2、60分台、65分台、76分台、78分の失点もこのパターンからであり、インテルは後半攻撃時にアタッキングサードへの侵入の多くというかほとんどをミランの右サイドから行っている。

後半の半ば以降

64分のパケタに加えて、テオ・エルナンデスが72分に投入される。テオが投入されたことで、左サイドの攻撃は活性化。レオン単騎ではゴディンに敵わなかったが、テオとレオン、もしくはレオンと交代で入ったレビッチの2枚を左サイドのゴディン、ダンブロージオでは止めきれないシーンが増えてくる。だいたいダンブロージオなのだが。それにより85分、テオのポストを叩く惜しいシュートも生まれる。しかし実際はテオが投入されて少し後、78分に右サイド側にいたブロゾビッチから斜めにコンティのさらに奥のスペースにボールが出て、それをバレッラがクロス。そのクロスにルカクが合わせて試合は決まってしまっていた。



総評

結局ミランは守備では、サイドバックの裏のスペースを使われ続け、攻撃でもカウンター以外に結局決定的なシーンは、終盤のテオ・エルナンデスのポストを叩いたシュートくらいである。完敗である。ただ、それでも個人的には事前の予想よりはそれなりにやれていた印象を受ける。もっと一方的になるかと思っていたが、前半の後ろ半分、後半の後ろ半分崩しまではいかないが去年に比べて強い相手だとてんでダメだったビルドアップをそれなりにできていた印象はある。これまでのリーグ戦3戦とくらべ攻撃時にスペースがあることが多く、ピョンテクのポストワークもうまくいく場面も多少あった。レオンはゴディンには止められることがほとんどだったが、ダンブロージオには結構な割合で勝っていたし、ポストワークも期待できる。前節のレビッチに続きポジ要素である。スソも右サイドに閉じこもることも減り、ポストワークはまだまだだし危ない場面の原因にもなっていたが、プレーの幅も徐々に広がりつつある。コンティの守備面での不安は現実のものとなったが、攻撃性能は相変わらず良い印象は受けた。テオも守備力よりも攻撃力が求められる相手には積極的に使って行って欲しいと思う。左サイドでパケタ、レオン、テオの面子も連携不足でパスミスが目立ったが、共にプレーする時間が増えれば、左サイドは強い攻撃力を備えるだろう。右サイドはいつメンでスソで殴っとけばいいし、トップ下の役割も少しずつこなせるようになってきている。あとは、ピョンテクがしっかりとチャンスが来たときに決めてくれさえすれば、上位陣に対してはわからないが中位・下位からミランが勝ち点を積み重ねていくのも難しいことではないのかもしれな。前向きすぎるな自分。まずは、直後のトリノ、ヴィオラ、ジェノアの3連戦で2勝できればチームを取り巻く雰囲気も良い方に変わるのではないか。以上。

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試合結果

SerieA 第4節 
ACミラン 0-2 インテル
サン・シーロ
2019年9月22日 3:45 KO(JST)
< 得点者 >
インテル : ブロゾビッチ 49' , ルカク 78' 
主審 : 


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ミラノダービー採点



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