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エラス・ヴェローナ戦マッチレビュー ( SerieA 19/20シーズン 第3節 )



前置き

勝たなければならなかった昇格組との一戦。前半の中頃に退場者を出し、優位になるかと思いきや、ドン引きで守備ブロックをガチガチに作られたことでかえって試合は難しくなった。前半はそのブロックを崩しきる手立てがなくただスソで殴っていたが、後半はレビッチが入り状況は好転。左サイドではジャンパオロ式4-3-3の片鱗が垣間見え、右サイドではジャンパオロっぽさもあるがだいぶリーノ式のままでスソで殴っていた。アタッキングサードでの決定力とプレー精度は欠いていたが、崩しのアイディアが皆無であった昨シーズンに比べ、こうやって崩したいんだろうなみたいなパターンはいくつも見て取れた。特に左サイド。ジャンパオロの修正力とレビッチにはそれなりに期待が持てると感じた一戦。(採点記事と同じ内容)(楽した)

マッチレビュー書いたの1年ぶりだから粗々なのは勘弁してねハート


スタメン

スタートは、ブレシア戦と同じカタチ。ただ、ベナセルが先発した位置にビリア、カスティジェホが先発した位置にパケタ、アンドレ・シウヴァが先発した位置にピョンテクが入った。後半になるとトップ下を勤めていたパケタに代わりレビッチが入るとフォーメーションも4-3-3へと変化した。


前半はブレシア戦と似たようなカタチであり、退場者を出した後は特に面白味を感じるシーンもなかったので後半を中心にレビューしていく。

後半ビルドアップの基本形

ミランのビルドアップの基本形は、2-3-2-3のカタチである。1番下が2CB、下から2番目がアンカーと2SB、3番目が2IH、そして最前列がCFと2WGである。これらが交互になるようにポジションとをっている。ポジションルなサッカーのオーソドックスなカタチである。しかし、3と3のラインを見てわかるように縦で見るとズレが生じている。おそらく、5レーンではなく7レーンでやっているのではないだろうか。詳しくないので断言できないが。センターにいるのがアンカーとCF、ワイドにいるのが両WG、2CBと2IHが内側のHS、SBが外側のHSというポジション取り。

とはいうものの、このカタチはそう多くは見られなかった。基本相手はドン引きであるので、前半開始直後、得点直後、試合終盤の相手が割と前がかありに来たタイミングでしか見ることはできなかった。

ビルドアップの亜種

また、今後見られるかもしれない4-3-3でのビルドアップのカタチが一度だけあったので紹介しておきたい。

端的に言うと先に紹介したカタチのWGとIHが入れ替わったバージョンである。IHがワイドに開き、両WGがセンターよりにポジションを取っている。ここでは、スソがレイオフしてボールを受けようとしている。


後半のヴェローナ守備の崩し方

崩しの基本となるカタチ

ミランは、ヴェローナの5-3-1ブロックを攻略するために、2-3-5のカタチから攻撃を作る。左右で崩し方が異なるので別々に見ていく。

左サイドの崩し

1. レビッチがレイオフしてくるパターン

レビッチがレイオフしてくる時に見られる傾向として、同時にRRがワイドの高い位置をとるというパターンがある。そして、降りてきたレビッチもしくはワイドに開いたRRにパスが出る。加えて、レビッチが空けたスペースにチャルハノールは移動してくることもある。

2. レビッチがワイドに開くパターン

HSに位置取るRRにボールが入ったタイミングで、ワイドにレビッチが開き、そこにパスが出るパターンと、レビッチが空けたスペースをパスコースとして中央にパスを出すパターンがある。レビッチが空けたスペースにチャルハノールが入ってくることもある。先に紹介したパターンに連続してこのパターンが展開されることもある。

3. チャルハノールがレイオフ

先にあげた2つのパターンの前段階としてよく行われていたのがチャルハノールのレイオフ。3CBの1枚を釣り出して、相手の最終ラインにギャップを作っていた。

右サイドの崩し

スソがボールを持ち、ケシエがスペースを開ける。主にこれ。今までもよく見たカタチ。


まとめ

この試合、後半は噂されていた4-3-3が採用された。割とオーソドックスなポジショナルプレーのカタチだったように思う。これがジャンパオロ式の4-3-3なのかの断定して良いのかの判断は正直難しいが、大きく異なることもないだろう。左サイドで見られたSBとIHとWGがポジションを変更したり入れ替わったりしながら、優位な局面を作り出すというのは今後まずは左サイド、のちに右サイドでも見られていくのではないだろうか。また、先に亜種として紹介した、前線の中央にCFと2IHが固まるカタチでない方の、CFと2WGが密集するカタチの方が本来のジャンパオロ式4-3-3ではないかという漠然とした勘がある。下の列のポジションでIHがワイドに開くのは以前の2試合のビルドアップで見られたカタチであるし、FWを中央に固めるのも4-3-1-2(2-1)でのカタチと大差があるわけではない。もちろん、スソがいる以上WGがワイドに開くカタチもよく使うだろうが、この密集させるパターンも今後よく見られるようになるのではないだろうか。まぁ勘でしかないが。ともかくこれからジャンパオロがどのような戦術を当てはめていくのか楽しみで楽しみで仕方がない(それはSO)

おまけ

ピョンテクに関して

ピョンテクはとにかくポストプレーがダメダメな印象を持っていたが、4-3-3において、主にレイオフしたりしてきてボールを受けるのは両WGと両IHである。その上、ピョンテクは基本中央の位置からほとんど動かない。周辺で動いてパスを細かく受けたりするのはIHがやっていたりすることが多く、ピョンテクにはよりフィニッシュワークに集中させる狙いがあるのではないかというのが1つの仮説。今後の試合で注目してみたい。

スソに関して

この試合も散々、批判を浴びていたスソであるが、ツイッターを見るかぎり批判の種類は2つに大分できるように思う(たぶん)。1つは、スソ依存度の高いサッカーを継続していること。もう1つは、こねてカットインからのシュートorクロスというプレーの質に関してだろう。完全な個人的見解になるが、この試合の前半はスソ頼みそのものであったが、後半に関しては全くその印象を持っていない。全然依存なく左右それなりにバランスよく攻撃していた。後者の点であるが、これは個人の好みの問題だろう。ピョンテクの頭への惜しいクロス、レビッチの決め損ねのクロスもあったし、シュートも幾つか枠に飛んでいたし、実際"現状"においては充分武器になると私個人は思っている。ただ、この単調さやコネすぎなどなどを嫌う人もいるだろうということは理解しているつもりだし、ジャンパオロに結局ハマらなそう感も感じているので、冬に高値で売れないかなーとは漠然と思っている。


前半のビルドアップのカタチ

気が向いたら書きます。

前半のヴェローナ守備の崩し方

気が向いたら書きます。


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