テレビを見なくなった。本当に見なくなった。ある日突然見るに堪えなくなった。真実を求めてネットに潜ったわけではない。それまで楽しめていたテレビ、ラジオ、本、音楽がことごとくダメになった。テレビ番組やラジオ番組に関しては毎週楽しみにしていたお笑い番組で素直に笑えなくなり、番組内容やCMの軽薄さに馴染めなくなった。その軽さがよかったのではないのか。読めるなら読めるだけ読みたいと思っていた小説もすべて同じ見方しかできなくなったし、好きなアーティストの音楽も自分が聞いていいのかと心から楽しめなくなった。
　そんな私が更新を楽しみにしているコンテンツがほんとに少数だがかろうじてまだあった。それを紹介したい。

浅野いにお / Inio Asano - YouTube

漫画家の浅野いにおがちょうどコロナ禍に入る直前に開いたチャンネルで配信は不定期だが、アシスタントの漫画家畳ゆかと一緒に雑談しながら作画配信やゲーム実況を行う。浅野いにおの私生活の変化の話や畳ゆかが初の単行本を出した話などが二人の粋なジョークを交えて、アナログシンセによるオリジナル音楽をBGMに聞くことができる。配信は夜中に数時間していることが多い。

海猫沢めろんと坂上秋成のユルっと文学トーク！

「ユルっと文学トーク！」は小説家の海猫沢めろんと坂上秋成がステイホームの期間に始めたシリーズである。毎回１冊の本をテーマに自分たちの近況を交えつつユルっとトークしていく。配信は不定期で次の配信までに数ヶ月空くこともある。

sleepover radio // スリープオーバー・ラジオ

ジョージさんとせしもさんが学生や20代の若者に身近なテーマを論理的にじっくり分析していく。ちなみにジョージさんは「ユルっと文学トーク！」の外伝「海猫沢めろんと坂上秋成とジョージ君のユルっと（限界）文学（オタク）トーク」に出演している。

サイコーの飲み会がしたい
こみやまよもさんによるポッドキャスト。小説やフェミニズムに興味ある人におすすめ。学生の頃の話や若手社員としての仕事の話などが聞ける。人生やっているという感じがして面白い。

忘れてみたい夜だから
サラリーマンの内海あささんが忘れてみたい夜を乗り越えて結婚にたどり着くまでのお話。ポッドキャストならではだろうが人の人生の話が詳しく聞けて面白い。

JUNK 伊集院光・深夜の馬鹿力
ん？　そんなこと言って大丈夫なのか？　と思うようなきつい下ネタが多いがさすが噺家伊集院光、話が本当に上手でそれで大笑いできる。

東京ポッド許可局
「屁理屈をエンタテインメントに！」をモットーに芸人のマキタスポーツ、プチ鹿島、サンキュータツオが世の事象をお笑いに変えていく。

　ユーチューブやポッドキャストや深夜ラジオはわりと閉鎖的な内輪向きのコミュニティになりやすい。広く大衆向けに商品を売るための薄まった広告ではなく、こういった番組しか楽しめない、今はそんな気分。