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伊勢・志摩の旅 vol.3 〜蔵のまち「河崎」レトロさんぽ(前編)

かつて室町から江戸時代にかけて伊勢の問屋街として栄えた「河崎」。
川沿いにお伊勢参りの人をもてなすための物資を保存していた古い蔵が立ち並び、風情ある景観が今でも残されています。おかげ横丁とは一味違い、重厚感のある蔵と一般の人が住んでいる古い町屋が混在していて、観光地化されていないその土地本来の姿が見れる貴重な場所。今回はこの河崎で出会ったお店や伊勢の人たちの話を書きたいと思います。


◇伊勢のハンドメイド雑貨「月の魚」

vol.2末尾の看板の先を進むとさっそく蔵をリノベしたお店がありました。

ガレージ奥に重厚な二重扉のドアがあります。

店内は一転変わってファンシー雑貨がたくさん。着物の生地などをリメイクしたハンドメイド作家さんの商品が並びます。

その他既製品の面白そうな雑貨もありました。

店主さんおすすめ猫印ミルクの手拭い。広げて撮らせてもらった。

都内ではあまり見かけないレアなレトロ雑貨なんかもありこだわりがありそう。

蔵の中に入ると独特な世界観に引きこまれる不思議な雑貨屋さん。
置いてあるハンドメイド商品はほとんどが伊勢の作家さんによる一点もの。遊びに来たら自分だけのお気に入りに出会えるかも。

何点かお土産を購入したのでそれは次回以降に

月の魚 instaguram はコチラhttps://www.instagram.com/zougyo5/

◇地元民憩いの場 茶房河崎蔵

事前に調べて目的地として目指してきた「茶房 河崎蔵」。実物見るとまさに私好みの外観。棟が見やすい妻入りなのも、蔵の二重の扉で玄関入っても中の門閉まってて入りづらい感じも良い(しばらく待たされた;)口コミでは地元の方御用達と書いてありましたが、新参者いざ参る。

1Fスペースがカフェになっていて、蔵の中とは思えない広々した空間。
歴史を感じる大きな梁が何本も天井にあって迫力ある。おかげ横丁ではあまりお目にかかれなかった本物の古民家の風格。

先客にカウンターで店主と話すおじいちゃんと地元のおばさま方のグループが何組かいて、こちらが聞きなれないイントネーション(4月を”よんがつ”、7月を”なながつ”)というのは西の人はみんな同じ?)で井戸端会議で盛り上がっていた。

メニュー。伊勢で人気らしい中村さんの珈琲と山村さんのソフトアイスと
※山村さんについては下記詳細、伊勢の牛乳屋さん

↑お店の人がお菓子つけてくれた。嬉しい^^

と10種の和漢ソーダ(爽快無比)を頼んでみました。この時点でわかる人いるかな。

そう伊勢の薬「萬金丹」コーラシロップのソーダ(プラス河崎蔵オリジナルアレンジ)萬金丹は胃薬で有名ですね。
これ昔の薬だから元の出は富山なんだろうけど、伊勢路(マラソンじゃなくて、)のお土産として全国に発展した事がパンフレットに書いてありました。

中村さんの珈琲に関しては酸味と苦味2種類あって、私は苦味系を頼みましたがとても濃厚で美味しい珈琲でした。地元でも入手困難な焙煎なんだそう。

帰り間際に店主の橋本さん(なんと元CAさん)と父が入り口に置いてある古いオーディオ(真空管アンプあり)の話で盛り上がってだいぶ話込みました。なんでもこの前河崎の空き蔵を購入(👀!?)したオーストラリア人のウィリアムさんという方がいて、オーディオ技術者の弟子を探しているのだとか。私の父親は元々オーディオの仕事してたのですが、流石に移住は難しいと断ってましたが^^;河崎はやっと観光雑誌に載り始めたぐらいなのに目をつける外国人がいたり、観光客で私たちのように内宮の方からわざわざ歩いて河崎蔵のお店を目指してくる人なんていないと終始感心してました。

衝立の花菱マークがやっぱり伊勢神宮由来なのかなと思った件。

まだ2Fが改装中なのだそうで、今後は昔伊勢で使われていた古い食器などの販売もしていきたいのだとか。

帰りに橋本さんにお土産にいただいた伊勢の「蓮台寺柿」。完全に熟した柿のことを地元では「づくし」といい、ゼリー状になってから食べたりするそう。
なんかすっかり長居して地元民になった?気になるくらいほっこりできるカフェでした。
そうそう、オーディオに関心があってウィリアムさんの弟子入りにご興味おあり方いましたらぜひ河崎蔵の橋本さんまでご連絡を。

→河崎蔵についてはコチラ(食べログ)

◇伊勢の歴史を教えてくれる古本屋ぽらん

さっき見送られて店先でまだ話してわちゃわちゃしていたところ、近所のおじさまらしき人が向かいの家の軒下にいて、横浜から旅行に来て、わざわざ河崎まで歩いてきた(変な観光客)旅人として紹介していただくことに。なんとさっき通り過ぎてしまった古本屋の店主さんだそうで、早速遊びに。

コチラは蔵ではなく町屋。築200年経ってて雨漏りとかもするそう。本屋なのに^^;

古本の棚からのはみ出しさ加減って往々にして店主の知識量に比例すると思う。雑に積まれている方が尚良し。壁に貼り付けに処されている謎の飾り方も面白い👀

レコードもたくさんありました。聞けば店主の奥村さんは昔東京でレコードショップの社員をしていたんだそう。7インチものとかもあり、掘り出し物がないか父親が無言で漁りにあさってました。

私は玄関先で店長の奥村さんにしばらく河崎と伊勢の話をしてもらってました。
なんでも河崎に古い建物が残っているのは空襲から逃れた場所のためで、WW2で名古屋の空襲があった後、爆撃機が帰りのルートで外宮に投下しこの地域以外の伊勢市の60%が焼け野原になったんだとか。重要文化財、まして当時の天皇崇拝の象徴のようなものに落とされたなんて地元の人からしたら尋常じゃなかっただろうと思います。

もっと古代に遡って7世紀頃から伊勢には「御師(おんし)」という伊勢神宮の伝道師がいたそうで、本来神宮は皇(すめらぎ)の血の者しか参拝できないはずのところ、御師制度のおかげで全国から一般の参拝客が来るようになって、伊勢の財政が潤ったとのこと。

神宮の利権が強く侍の支配を受けず独自の文化を遂げている伊勢。日本の初めての紙幣は「山田紙幣」と言って江戸時代にこの伊勢の地域で手形として流通したもの。

そんな話を教えていただきました。
寺社仏閣に行くことはそこに神様がいるかどうかよりも、かつて人がそこにどんな願いや想いをこめて生活をしていたかを知る事に意味があると思っていて。やっぱり地元の人と話さないと得られない情報って多いなと感じました。

近くに「進富座」というミニシアターがあり、チラシが貼ってありました。

映画館にも河崎にも中々若い子が来ないと奥村さんと橋本さんが嘆いていたので、マイナーな場所って調べてくる子は来るのだけど、最近は動画倍速で見たり、まず長文を読まなくなってますしねーなんて話をした。

地元の方からして伊勢神宮の混み具合ってどうなんですかと橋本さんに聞いたら、あそこは伊勢ディズニーランド👀?!で本当に古い建物や一般市民の歴史があるのは河崎なんですとの回答。

昔から神様の名の元に観光で成り立っている地域ですが、地元の人からしたら、果たしてそれで商売をしてよいのかどうか矛盾の気持ちもあるのかなんて思いました。でもその代わり、伊勢ではあからさまな商売根性ある人少なくて正直に話してくれる人が多い印象。

その他ぽらんの店主奥村さんから、あれやこれやと神宮のオフレコ話についてもたくさん聞いてきたのですが、それは非公開(書きたいけど後が怖い、、)のため興味あればここに足を運んで生の話を聞いてみるのも面白いかと思います。

→古本屋ぽらんのinstagramについてはコチラhttps://www.instagram.com/huruhonyaporan/

お店を3つ回ってだいぶ満足したのですが、街並みの方を撮り忘れていたので、川沿いをてくてく。で、すみませんがそれこそ現代っ子が苦手な長文になってしまったので、半分に分けて後半に続きます。

→ vol.3(後編)へ続く 

→ 前回までの記事はこちら


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