<陸自幹部の米陸軍留学体験記> その4
いざ、ジョージア州へ
Follow-on training への参加のため、ジョージア州のオーガスタへ行くことになった。
移動日は、日曜日。
必要な荷物は、事前に宿泊するホテルに送付し、身1つでオーガスタへ移動。
事前に現地でロジのアレンジや教育のアレンジをしてくれる担当者とコンタクトをとって、当日の行動等について確認をした。📱
しかし、電話越しでは、全然英語が聞き取れなかった。黒人ってラップ調で話して結構早口じゃないですか。それに方言も入っているため余計にわかりにくかった。😭
とりあえず、キャンプ内のホテルに来いとのことだったため、そのホテルの住所を目指せば何とかなるだろうと楽観的に考えていた。
ジョージア州オーガスタ到着✈️
テキサス州サンアントニオ空港から飛行機で数時間でオーガスタ空港に到着をした。
空港から、タクシーに乗って、教育を受けるオーガスタのキャンプへ向かう。
DLIのあったサンアントニオに比べてかなりのど田舎!
空港から1時間ほどタクシーで走ってやっと到着した。🚕
米軍のキャンプに入るためには入門・登録手続きが必要なため、入り口のところで手続きをして、タクシーでホテルまで送ってもらう。
初めての米陸軍キャンプ。やはり、想像以上に広大だった。確か、外周は30kmくらいあったかな。
指定されたホテルに到着!🏨
「さて、チェックインをするか」と思ってカウンターをあちこち探したけど、そんなものはどこにも無かった。
俺の部屋は何処だ??
チェックインは何処でやれば良いの?
チェックインカウンターが見当たらないけど…
ホテルに到着したものの、どの部屋に行けばいいのか、どこでチェックインすればいいのか全くわからなかった。
もう陽が落ちて暗くなり始めていた。🌙
これからどうすりゃあ良いんだろ?
段々不安になってきた。
「今日の寝床は確保できるんだろうか?」
黒人の担当者にもう一度電話をかけて、この後どうすればいいのか確認することにした。
電話に出ない・・・
何度電話しても出ない・・・
旅の疲労、寝床が確保できるかの不安、空腹でイライラがマックスに達した。
「あの野郎、何やってんだ😡」
かなりの鬼電話をかけてやっと繋がった。
「Welcome! welcome!」と相変わらず呑気だった。
例のごとく、英語はよくわからなかったが、到着したホテルの1階の角部屋にいる女性の部屋番号を示され、その女性にコンタクトをとってチェックインの手続きの要領について教えてもらうように伝えられた。
早速、その女性の部屋に行き、コンタクトを取った。
出てきたのは、足が悪いのか杖をつきながら歩いてきた65歳くらいの白人女性。
やたらとウインクをしてくる😉
彼女の英語はよく理解できた。
どうやら僕の事は事前に伝わっていたらしく、日本からよく来たねと歓迎してくれた。
そこで、ホテルのチェックイン要領を聞いたところ、チェックインする場所は、別の離れた場所にあって歩いていくにはかなり時間がかかると言うことだった。
そして場所もわからない。辺りはもう真っ暗。
「マジか・・・😨」
その女性は、ホテルの前でちょうどBBQ🍔の準備をしていたブラジルからの留学生に声をかけてくれて、「彼を車でホテルの場所まで送ってチェックインをサポートしてくれないか」と依頼をしてくれた。
車で10分くらい走ったところにホテルのチェックインロビーがあった。
確かにこの距離を歩いて夜道を往復するのはきつい。
そして何とかホテルにチェックインすることができ、やっと寝床が確保できた😌
サポートしてくれた留学生と1階に住んでいる女性にお礼を言ってホテルの部屋に入った。
Lackland空軍基地と違って、陸軍のキャンプ、ホテルの部屋は小汚い。
何処の軍も同じか…
その日は移動だけだったが、疲労困憊だった。
食事を取れるところも近くになかったので、自動販売機でポテチとスニッカーズを買って取り敢えず飢えを凌いだ。🍫
PREP(プレップ)始まる
次の日から、早速PREPが始まった。
PREPとは、本教育が始まる前に留学生が2週間ほど本教育に関する準備を行うための期間である。
PREP期間のインストラクターは、女性の元陸軍大佐。
職種はEODで不発弾処理の経歴を持っている、非常にストイックな女性であった。
自衛隊でも、このような高い階級の女性と接する事はなく教育のために、このような貴重な人材を当てていただいたことには非常にありがたかった。
そして、同じ教育に参加する他の留学生と初顔合わせ。
ハンガリー🇭🇺
クロアチア🇭🇷
ヨルダン🇯🇴
クウェート🇰🇼
台湾🇹🇼
からの留学生と一緒に学ぶことになった。
PREP期間は、キャンプ内の施設案内やオーガスタのField Trip、史跡研修等お遊びみたいなもの。
教育は9時に始まり、14時には終わる。
こんなにゆっくりしてていいのだろうか?
と罪悪感を覚えるほど、毎日、リラックスして生活することができた。
もちろん、自衛隊ではこんな経験は絶対にできない。
「最高じゃないか!!米軍」🇺🇸
DLIに引き続き、ここにも天国があった!🗽
でも、PREP期間に大きな課題が付与された。
『カントリーブリーフィング』🇯🇵
留学生が、それぞれの出身国についての1時間程度のブリーフィングを準備をする。
このカントリーブリーフィングは、留学をすればおそらくどの留学生も経験することになる科目である。
PREP期間に完成をさせて、最終的にはfollow-on training の中で米軍人のクラスメートの前で発表することになる。
ほぼ1からブリーフィング資料を作成したため非常に時間がかかった。
スライド作成から、英語でのブリーフィングの練習まで、この2週間のプレップ期間の集大成として完成しなければならなかった。
やはり、日本国の代表として、日本や自衛隊の事について米軍人に知って貰うために素晴らしいプレゼンテーションにしたいという思いがあったためだ。
そのため、日本から持ってきた、古くて今にも壊れそうだったパソコンを破棄して、PX(売店)で新しいMacのパソコンを新調した。💻
実はこの時、初めてMacのパソコンを使用したので使い方がイマイチよくわからず、非常に時間をロスして苦労した。
それでも、古いパソコンよりも動作がスムーズだったため非常に資料作成が楽になった。
カントリーブリーフィング1発目リハーサル
数日後、とりあえず、PREP期間の最大の課題であるカントリーブリーフィングの資料は完成できた。
しかし、一度プレゼンの内容をチェックすることになり、発表本番の1週間前に準備未完のまま、留学生のサポートをするスタッフ数人を集めてカントリーブリーフィングのリハーサルを行うことになった。
ヨーロッパからの留学生は英語はペラペラ。
中東からの留学生も英国留学の経験などがあり、英語は問題なし。
僕と台湾人の留学生は、それほど英語が喋れなかったのでかなり苦労した。
1時間という長時間の英語でのプレゼンは初めてだった。
結果「撃沈・・・😅」
出来は、ボロボロ・・・
苦痛でしかなかった。
更に自分の国や自衛隊のことが上手く表現できないのは屈辱的だった。
それ以降、1週間後に控えているPREPでの最終プレゼンに向けて毎日2時間睡眠でプレゼンの練習をした。
気合を入れるために、PXで1週間分のMonsterを調達し、毎日500mlのMonsterを飲みながら。
カントリーブリーフィング本番
PREP期間の集大成であるカントリーブリーフィングの発表当日。
この1週間は、これまでにないくらい真剣にプレゼンの準備をした。何度も資料を修正し、かなりの数のリハーサルも行った。
スムーズに説明ができるほど何度も練習をして、何とか本番までに完成させることができた。
そして、無事にプレゼンが終了。
自分でも結構出来たという実感があった。
プレゼンを見にきてくれたスタッフもニコニコしてたし、スムーズなプレゼンが出来た。
「どんな魔法を使ったの!見違えるほどの上達したじゃない!」
「一週間前と大違いだな!ビックリしたよ!羽が生えて自由に飛び回れるようになったように思えたよ。」
と前回の出来との違いを大変喜んでくれた。
最後の評価で嬉しいコメントを頂いた。
1回目のリハーサルでのあまりにも不甲斐なさにかなり落ち込んでいたが、何とか自信を取り戻すことができた。
「よかった・・・頑張った甲斐があった!」
後は、米陸軍の学生たちと一緒に3日後に迫った教育準備に備えた。
(次回に続く)
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