見出し画像

上の段も、下の段も、自分の好きなアイスだなんて贅沢。

有給休暇の夏休みを使って、家族で一泊二日の温泉旅行に行ってきた。

行き先は、家から車で3時間くらいの”昔ながらのリゾート地”。
この4月にリニューアルした旅館で、おいしいご飯に広い温泉、付近には子供が一日中遊べるテーマパークがある。

「日頃の仕事・家事・育児、その他もろもろの忙しさを忘れ、心ゆくまでのんびりできた」

…とはならないのが、お母さん!! なのです!!!

旅行となると、前日のうちに荷物の準備をしなくてはいけない。
1泊2日なら、予期せぬ事態を見据えて2泊分の衣服と下着をパッキングする。それも子供二人分+自分の分。

当日も、仕事が休みとはいえ家を出る時間はそんなに変わらないから、いつもの早起き+洗濯完了+お風呂洗い完了+朝ごはん完了してごみ処理まで完了、としなくてはいけない。
家のカギをかけ忘れないかの心配に加え、この時期だからクーラーの消し忘れの心配もある。出発まで気を抜けない。

行きの道でも、コンビニの看板が見えるたびに、子どもの飲み物やトイレの確認をする。運転している夫が眠くらないよう、適度な声掛けも忘れない。

テーマパークでは、兄妹のそれぞれ異なる要望を、夫と手分けして叶える。子供がショーをいい席で見られるよう、1時間前から場所取りをしたりもする。

一通り遊んだら、ホテルにチェックイン。夕ご飯の時間と朝ごはんの時間、大浴場の場所、チェックアウトの際の注意事項などを確認する。

部屋についたら、即寝転がりたいのをぐっとこらえ、バックに詰めて来た荷物を広げる。いつでもお風呂に行けるよう、下着とパジャマ、タオル、その他必要なアメニティを分類する。

大浴場に行ったら、娘が滑って転ばないよう気をつけて、のぼせないように注意しながら過ごす。一人で男湯に入っている息子は大丈夫だろうか、うっかり水風呂に落ちていないかなんて心配していたら、まだ日が沈む前、海の見える露天風呂に浸かっていても、あまりにも頭が空っぽにならなくて、逆にびっくりした。

夕ご飯のバイキング。自分の好きなものを取るのは程々にする。子供が取ってきたものを、「やっぱり食べられない」と言って残す可能性があるから、お腹に余裕を持っておく。最近は子供達も自分が食べられる量が分かってきたらしく、残すことが減った。ありがたいことだ。その日は最後にケーキを食べられてよかった。

いざ寝るとなったら、「誰がどこで寝るか論争」が勃発する。本当はどこでもいいだろうに、一度ムキになると息子も娘も譲らない。二人とも「ママの隣がいい」と言ってくれるのはうれしいが、更に酔っぱらった夫が、「俺は娘の隣がいい」とか言い出すから、収集がつかない。

朝起きたら、家族が起きる前に身支度を済ませる。私は洗面所を占領する時間が長いから、ここは仕方ないと思っている。
朝食のバイキングは時間が集中するから混む前に行きたいけど、自分一人じゃないからそうはいかない。予定より20分くらい遅れて向かうと、やっぱり混んでて案内されるまで少し待つ。バイキングでの心がけは、夕ご飯の時と同じ。だけど朝はおいしいコーヒーが好きなだけ飲めるから、ちょっとうれしい。

朝ごはんが終わったら、チェックアウトまでに荷物を詰める。忘れ物がないよう、トイレや洗面所、クローゼット、金庫の中のチェックもしなくてはいけない。汚れた衣服をビニールに詰めながら、帰ったらすぐ洗濯機を回さないといけないなと思う。

帰る日は、時間ギリギリまでホテルのプールで遊ぶ。チェックアウトを済ませ、追加料金を支払ってから、荷物を先に車に運び、パラソルのあるベンチを確保して座った時。

ふと、気が抜けた。

目の前のプールで、子ども達が楽しそうに泳いでいる。子供用の浅いプールだから、溺れる心配もなさそうだ。
隣で夫が本を読んでいる。帰りの運転はまたお願いすることになるけれど、二日酔いもなさそうで、眠そうでもない。

パラソルで直射日光を遮れば、海沿いの風が心地よい。

あぁ、私もゆっくりしよう。
旅行2日目の午前10時に、ようやく心からそう思った。

アイスが食べたくなって、夫に一声かけて、ホテルのカフェラウンジに行った。
「ダブルのワッフルコーンで、」と言った後、じっとショーケースの中のアイスを眺めた。ちょっと悩んで、ラムレーズンとクラシックティラミスを頼んだ。
どちらも、子供が食べないようなフレーバーだ。
だけど、私は食べたかった。
「ママちょうだい」と言われることを考えず、自分が好きなものを頼んだ。

受け取ったアイスを、プールサイドのベンチに座って食べた。
泳ぐのに夢中な子供たちは、私がアイスを食べているのなんて全然気にもしなかった。

ダブルのアイス、上の段も下の段も自分の好きな種類を選んで、一人で食べた。青空の下、海風に当たりながら。
「それだけ」と思われるかもしれないけれど、この旅行で最高に贅沢だと思った瞬間だった。

プールで一通り過ごしたら、「まだ遊びたい」とぐずる娘をなんとかなだめて、帰路に着く。帰りは子供たちはぐっすりで、夫には申し訳なかったけど、私も何度もウトウトしていた。

帰ってきたら、同じ敷地内に住んでいる義理の祖父母にお土産を渡す。
2日分の洗濯物を洗って干し、旅行バックを収納場所に戻し、寝室の畳に寝転がる。ようやく日常に戻った。

楽しかったと思う。また行きたいと思う。
だけどやっぱり、家の畳でゴロゴロする瞬間も素晴らしいな。







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?