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【2021/10/23】全奇跡に謝りたい

わたしは空いた時間にウーバーの配達をしており、そのエピソードは、『ウ話』として書いている。今回もウーバーの話ではあるのだが『ウ話』の域を超えた出来事だった。

自宅からは少し離れているが、配達リクエスト(配達依頼)の比較的多い駅で活動することがある。単価が良かったり、効率よく動けたりするからである。その駅をウロウロしていたら予想通り、配達依頼の音が鳴った。わたしもよく行く某ステーキ店。料理をピックして依頼者への元へ向かう。

10分ほどで到着。駅近のきれいなマンション。オートロックで「ウーバーです」と告げ、中に入る。置き配(玄関や指定の場所に置く配達方法。配達員と直接顔を合わせずに済むので女性など選ぶ人が多い)だったので、料理をドアの前に置いて、写真を撮る。この依頼者も名前からして女性っぽかった。置き配の場合は、置いた場所を知らせるという目的もあり、料理の写真を撮って送るルールがある。それを持って、配達完了となる。写真を撮っていたら、依頼者からメッセージが届いた。料理を届ける直前と言うタイミングで連絡が来ることは珍しいので何事かと思った。クレームだったらやだなぁ…メッセージを開いた。

「違ってたら大変申し訳ないのですが、もしかして、福岡出身の方ですか…??」

ビックリした。この類のメッセージが来るなんて想定外だ。

頭をフル回転させる。

わたしのプロフィールに「福岡出身」とは書いていない。
確かに名前は特徴があるし、相手は写真も見ている......てことは知り合い?!
だとしたら誰??

依頼人は名前を好きに設定できる。防犯のために女性だけど男性の名前にしたり、イニシャルや記号にしていたりする人も多い。こちらからは誰なのか全く想像がつかない。

知り合いであることは間違いなさそうなので、

「はい!」

と返事した。

すると

「小学校で一緒だった〇〇です!!」と衝撃の返事が。

その名前はハッキリ覚えている。バレエをやっていた○○ちゃん。可愛いよりはキレイ系で大人びてた○○ちゃん。いつもコナンの園子みたいなカチューシャをしていた○○ちゃん。

「うそ!今ドアの前にいるよ!」とやや興奮気味に返すと、しばらくしてゆっくりとドアが開いた。

そこには大人になってはいるが、当時の面影のある○○ちゃんがいて、何だかお互い照れ臭くて、でもこの再会に驚いて、少し感動すら覚えていた。もちろんお互い東京に住んでるなんて知らなかったし、小学校以来会ったこともない。不思議な感覚だった。

これって、数値で表すとどのくらいの確率なんだろう…

小学校の同級生と偶然再会する確率
ウーバーイーツで知り合いの家に配達する確率
そもそもその依頼が舞い込んできて、自分が受ける確率

たぶん、めちゃめちゃ少ない。奇跡と言えるパーセンテージだろう。

ドラマや映画を見ていると「いやいやそんなん都合よすぎるって。現実にはないって」と思うようなシーンがたくさんある。男女の偶然の再会や別れたふたりを引き合わせるアクシデント、ご都合主義の展開を作り話だからと受け流していた。ドラマや映画だから、起こり得ると思っていた。ドキュメンタリーでさえ、自分の身に降りかかることはないと高を括っていた。

だがすべての有り得ないような出来事が「絶対にない」と言い切れないことを、今回の奇跡の再会を経験して、痛感した。

世の中にある、全奇跡に謝りたい。

その友達と玄関先であれやこれやと盛り上がった。話していると昔の記憶が蘇ってくる。多分数時間は余裕で話せる。だが配達した料理が冷めてしまうので、今度ゆっくりご飯でもと連絡先を交換して別れた。改めて会って話をするのがとても楽しみだ。

それがもし初恋の相手だったら、ドラマや映画のような展開になるかもしれない。

その奇跡が起こる確率は?

今のわたしはどんな奇跡も信じられる気がする。

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