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ビビッと来ても、それは必ずしも運命じゃない。

みなさんはビビッと来たことがあるだろうか。
そしてそのビビッと来た人とどうにかなったことが。

わたしはある。
人生で一度だけ、ビビッときた。


全く知らない人で、タイプでもなかった。共通の知人に紹介されて、その人から差し出された手を握ったとき、その手から脳に、電流みたいな指令が流れた。電流というよりも血流が太くなる感じ。しかしその時は恋愛どうこうではなかった。そもそも紹介と言っても「あなたにどうかしら」の類いのものではなく、仕事関係の人だったから紹介されただけだった。

でも、ビビッと来た感覚はずっと脳に残っていて、なにかあるのかなぁ、と漠然と思っていたら、その人から連絡が来た。その1週間後にお茶をして、それから毎日のように連絡を取り合うようになった。

運命だ。


そうも思った。たぶんわたしはビビッと来た瞬間から、その人のことが好きだった。絶対にうまくいく。どう転んでも。だって、ビビッと来たし、運命感じちゃってるんだから。

なかなか都合が合わなくて、デートというものが出来たのは2ヶ月くらい後だった。世代が近いのもあってか、一緒にいると楽だったし、楽しかった。たぶん、相手も楽しんでいるだろうと感じていた、肌感で。

9回表で10対0のリード。あとは敵の攻撃を残すのみ。こちらは抑えのピッチャーを投入。もうほぼ勝利を収めたような、そんな気持ちになっていた。

お別れの時。改札にて。何にもなく、サラっと送り出された。まぁ告白には早すぎるか、そうか、そうだよね。「またね」は言ったし言ってくれたと思う。名残惜しかったけれど、初デートだし、誠実な人なのね、笑顔でサヨナラした。


それから。


連絡が減った。


会おうとしても予定が合わない(と言われる)。


そして、いつぞや、連絡が途絶えた。


え、あたし何かした??


ちょっとしゃべりすぎたかもしれないけど、ちょっとはしゃぎすぎたかもしれないけど、ちょっと食べすぎたかもしれないけど、俯瞰で見ると楽しかったんちゃうん?
なんかおかしなことしてたとしたら教えてほしい。マジで。


ビビッと来たのは、あたしだけ?


運命の出会いになる流れ、完璧だったんじゃないの?


だから、ビビッと来ても喜んじゃいけない。それは必ずしも運命であるとは限らないから。ビビッとの勘違いもあるらしい。

いや。お互いビビッと来ていたのに、わたしが消滅させてしまったのか。その答えは永久に出ない。でもわたしはもうビビッと来ても信じない。今思えば、ただ腕が痙攣しただけだったかもしれない。ただ静電気が起きていただけかもしれない。人間の感覚ほど曖昧で頼りないものはない。ないのだから。

ええ、ただの失恋の話ですけど、なにか。

トップ画像:東京の空
夏の空は良い。清々しくも切なくも見える。デートをした日の天気もこんなんだったなぁ。切ない。切ないけれど、いい思い出。きっと勘違いじゃないほうのビビッとがいつか来ると信じている。そんなわたしはやっぱり乙女。

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