2020年4月3日天声人語に自動車の社会的費用が引用されました。

父の書いた『自動車の社会的費用』が2020年4月3日の天声人語で引用されていました。供述弱者の話の冒頭です。

人の命はお金に変えられない

そんな当たり前のことを経済学で考えようとした変人です。

経済成長において忘れられがちな弱者から視線を外すことがありませんでした。
1974年に発刊されたのですが、数年前に中国や韓国で翻訳もされています。
とても根源的なことにアプローチしているので、古びれないのだと思います。

1970年代の日本といえば高度成長期の真っ只中。
三種の神器の一つが自動車であった時代です。
そんな中、自動車が社会に与えるメリットも大きいけれど、デメリットは忘れてはいけないと警鐘を鳴らした本です。

交通事故で亡くなる方が年間何人いて、その人の経済価値はどれくらいだから、経済的負荷はいくらになるなんていう計算で出された、自動車のデメリットは一台につき年間10万円ぐらいでした。

いやそうではない!
人がなくなるっていうことは、金銭的なものに換算してはいけない。
その人は帰っては来ない。
周りの人々の悲しみは決してお金で埋められるものではない。
怪我で後遺症を負った方だってそうです。

ではどうするか。
交通事故が起こらないような道路設計をする。
例えば、中央分離帯、車道と歩行者を適切に分ける
(ガードレール なんで内側、人が歩く方が尖っているんだ!って怒ってました。)
周囲の騒音対策
遊び場や社交の場であった道路が車に奪われてしまったのだから、子どもの遊び場などの整備。

そんなものをひっくるめて考えると車一台につき年間200万円ぐらいは負担をしなければならない。そう試算したのがこの本です。
車から恩恵を受ける我々が分担しなければならない社会的費用を明確にしています。

経済成長のためには多少の犠牲はしようがない
自動車を優先すると流通の利便性が上がるから
なんとなく納得しがちなことでも違うんです。
いつだって被害が大きいのは弱者なんです。
今回のコロナ感染症でもそうならないように。

コロナ感染症で厳戒態勢が続く中、武漢在住の作家 方方さんが発信していたブログの中一節が、心に響きます。

『一つの国が文明国家であるかどうかの基準は、高層ビルが多いとか、クルマが疾走しているとか、武器が進んでいるとか、軍隊が強いとか、科学技術が発達しているとか、芸術が多彩とか、さらに、派手なイベントができるとか、花火が豪華絢爛とか、おカネの力で世界を豪遊し、世界中のものを買いあさるとか、決してそうしたことがすべてではない。基準はただ一つしかない、それは弱者に接する態度である』

天声人語のリンクはこちら

https://digital.asahi.com/articles/DA3S14427800.html


自動車の社会的費用 https://www.amazon.co.jp/自動車の社会的費用-岩波新書-青版-B-47-宇沢/dp/4004110475?fbclid=IwAR04SsmLOhYqwBXSFg-VNambJtOprwK4o_2FTBJ1g5zeHmZPMO-tvCLdyTk


方方さんの記事


https://diamond.jp/articles/-/230922

https://toyokeizai.net/articles/-/340144

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