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なめらかなデジタル社会基盤

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本マガジンでは、現在のWEBの構造的な課題にスポットライトを当てながら、未来のウェブのあり方、プライバシー意識の変化と高まり、分散型IDのコンセプトや技術解説・導入事例などの幅広… もっと読む
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2019年9月の記事一覧

農業とブロックチェーンで何ができるようになるのか?

農業分野でのブロックチェーン活用は徐々に進みつつあります。 具体的にどのような事例が進んでいるのかを整理してみたいと思います。 アリペイサービスを提供するアントフィナンシャルは医薬品大手のバイエルサイエンスのモンサントと連携して食品、穀物分野でのブロックチェーン活用を進めていきます。 アントフィナンシャルはハイパーレジャー技術を活用し、ブロックチェーンのアプリケーション標準化を進めるとともに、独自プラットフォームとハイパーレジャーFabricと連携させていきます。 農

適切な広告配信をブロックチェーンで実現できるのか?

広告業界でのブロックチェーン活用は試験利用から結果が徐々に出てきています。 今後どのように変化していくかに注目です。 日用品大手のユニリーバーのメディアトップはブロックチェーンを活用して広告を効率的に運用できるなりつつあると発表しています。 試験的な取り組みを通じて広告主との契約にかかっていたコストを削減し、適切に広告を提供する仕組みがシステム上で可能になると伝えています。 2019年のAd TransparencyレポートによるとLucidityというブロックチェー

デジタルIDとブロックチェーンが実現する新たな世界観とは?

デジタルIDとブロックチェーンの話は最近になって活発に議論が始まってきています。 今後を読み解く上でもいくつかトレンドを整理することも大切です。 ブロックチェーン技術を活用したID開発を行うEvernymはOverstockの子会社Medici Venturesから2億円以上の調達を発表しています。 Medici VenturesはEvernymと株式取得略式契約スキーム(SAFE)というスキームで出資を行なっています。 プライバシーをデザインするソリューションという

自動車とブロックチェーンによって何が生まれるのか?

オートモービルに関連したブロックチェーン活用事例も徐々に広がりを見せてきています。 今回はその中でもいくつか気になるトピックを紹介します。 自動車大手のダイムラーはマルコポーロと呼ばれるトレードファイナンスのネットワーク上で始めて取引に成功しています。 試験運用に関してはDürr社との間での取引での合意文書で活用が行われる予定です。 ダイムラーとバーデン・ヴュルテンベルク州立銀行との間での取引の成功はこれまでの紙取引を代替する新たな方法として期待されています。 ブロ

考えられるIoTとブロックチェーンの可能性は?

IoTとブロックチェーンで何ができるのかと疑問に思われている方も多いかと思います。 この分野は取り組みが幅広く進んでいる領域でもあるので、いくつか参考事例を紹介したいと思います。 IoTスタートアップのHeliumは仮想通貨のマイニングモデムを発表し、テキサスのユーザーに向けて提供をスタートしています。 最終的にはアメリカの263の地域まで拡大していく計画です。 家に設置したHeliumホットスポットから達成したタスクに応じてトークンを活動に応じて受け取れるようになり

ブロックチェーンと教育分野の相性は?

教育の分野でもブロックチェーンを活用した取り組みは徐々に注目されつつあります。 その中でいくつか気になる取り組みを紹介します。 マレーシアの教育の証明サービスE-SkrolはNEMブロックチェーンと呼ばれる技術を活用して唯一の証明書発行を行っています。 マレーシアの教育学位の承認をブロックチェーン上で行い、複数の大学への展開も行なって行く予定です。 教育省では誰もがマレーシアの大学卒業学位を認証でき、名前や卒業年、受講クラスなどの情報をQRコードを通じて確認できる仕組

初心者でもできるブロックチェーンビジネス思考を身に付ける方法を紹介します!

最近大手企業の新規事業担当の方とお話しさせて頂くと、 「ブロックチェーンには興味あるのですが、どこから学べばいいのでしょうか?」 という質問をよく頂きます。 私自身同じ悩みを抱えていたので痛いほどわかります。 今ではこうやってnoteに記事を書けるくらいまで成長しましたが(完璧にはまだまだ程遠いと思っています)、これまでは試行錯誤の連続でした。 実は4年ほど前からブロックチェーンという言葉は知っていたのですが、自分がエンジニアではないという事もあり悶々と2年間過ごし

ブロックチェーン活用で法律は変化するのか?

法律関連のブロックチェーンの取り組みは新たに進み始めている領域の一つです。 今後どのように進展して行くかにも注目です。 韓国のコングロマリットCJは音楽の知的財産権の分野でブロックチェーンの開発を進めています。 デジタル知的財産権の情報をブロックチェーンに保存する事で、適切に処理される仕組みを構築していきます。 アマゾンが提供するブロックチェーンサービスのAWSをベースとして権利者に適切に支払いが行われるようになります。 ヴォルタース・クルーワーのブログによると、

JPモルガンが進めるブロックチェーンの可能性とは?

JPモルガンは銀行系の中でトップクラスにブロックチェーン活用を進めてきています。 囲い込みの戦略含めていくつか動きを紹介します。 JPモルガンが展開するペイメントプラットフォームは新たにシンガポールベースのOCBCをメンバーに加えています。 資産ベースで東南アジア第二位の銀行を取り込み、 JPモルガンのインターバンクネットワーク(IIN)は全世界で345行まで拡大しています。 Quorumと呼ばれるイーサリアムベースのブロックチェーン技術を開発し、ネットワーク上での提

企業が進めるブロックチェーン特許の展望とは?

ブロックチェーンに纏わる特許の話は様々な領域で広がりつつあります。 一方で申請が通る事例はまだまだ少ないので今後の展開にも注目です。 通信大手のベライゾンはブロックチェーンネットワークを既存のSIMとは別のバーチャルSIMへの応用で特許活用を検討しています。 ネットワークのデバイスはvSIMと呼ばれるネットワークと識別番号を含んだ証明書を発行し、全てのユーザーの番号を設定します。 vSIMの証明書はユーザーのアカウントに紐づけられており、クライアントのモバイルデバイ

ブロックチェーンと国の政策がどのように関わって行くのか?

国を挙げて技術を活用した取り組みを増やして行く流れは徐々に広がりつつあります。 その中でも幾つか気になった取り組みを紹介します。 アラブ首長国連邦の保健予防省はブロックチェーン技術を活用したヘルスケアデータのシェアリングエコシステムの開発を進めています。 データを改ざんできない特性を生かして、サービス従事者が適切な意思決定と、電子化、顧客や従業員との連携を効果的に行うことができる仕組みの開発を進めていきます。 国でのブロックチェーン活用の取り組みは現在初期段階ではあり

ステーブルコインが描く未来とは?

ステーブルコインは誕生以来数多くのプロジェクトが誕生しています。 その中でもいくつか新しいトレンドが動きつつあります。 Opolisと呼ばれる分散型の専門家ネットワークを展開する企業は、MakerDAOというステーブルコイン開発企業と協力して専門家への支払いネットワークを構築する予定です。 登録メンバーはステーブルコインを活用し、健康保険や税金の徴収などフリーランスとして働く際に発生する支払いサービスをカバーできる仕組みを提供予定です。 2017当初よりステーブルコイ

ブロックチェーンで取り組む社会的インパクトとは?

私たちが生活する環境での社会問題は年々深刻になりつつあります。 ブロックチェーン技術を活用する事で一体どのようなメリットが発生するのかを見ていきたいと思います。 オランダのWaste2Wearはプラスティックから開発したリサイクルの布をブロックチェーン技術でトラッキングするという取り組みを始めています。 リサイクル素材の取引を実際に辿って証明する事が狙いです。 上海近郊の小島エリアからプラスティックの流通経路の記録を行います。 現地の政府と協力してWaste2Wea

ブロックチェーンでのプライバシー問題は?

データを取り扱う上でプライバシーの問題は非常に重要です。 ブロックチェーンに関してもプライバシーにどのように取り組むかは一つの大きなポイントになります。 Consensysというブロックチェーンスタジオが提供するKaleidoが提供するブロックチェーン向けのソフトウェアサービスはプライバシーを強化した連携をスタートします。 QEDITと呼ばれる企業向けのブロックチェーンソリューションプロバイダーと提供し、マーケットプレイスでトークンの取引が行われる際にゼロ知識証明という