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マルタ政府のブロックチェーン、及びICO精査の取り組みに関して

今回は11月1日から11月2日にかけて開催されるマルタブロックチェーンサミットのプレイベントとして開催されていた、Government Blockchain Association MaltaOxford Blockchain Foundationが共同で運営している会にGovernment Blockchain Association東京として参加させてもらい、一部政府関係者と情報交換をしてきたので今後のマルタの取り組み等も含めて紹介したいと思います。

注意:文書の内容は筆者の解釈の内容が入っており、法的なアドバイスを含むものではありません。

始めはマルタ・デジタル・イノベーション当局からのプレゼンテーション。11月1日の本イベントで本アップデートを紹介するということでしたが、今回はプレイベントということで全体の方向性の話です。

今回、Stephen McCarthy氏(Chief Executive Officer - Malta Digital Innovation Authority)から発表があったのは主に上記の3つの法に関して。

・Malta Digital Innovation Authority ACT(マルタ・デジタル・イノベーション法 MDIA)

・Innovative Technology Arrangement and Services ACT(ITAS)

・Visual Financial Asset ACT(VFA)

主にブロックチェーン、仮想通貨に関しては新しい法律の中のうちの一つという考え方で、全体としてデジタル化を進めていこうという姿勢が非常に強いのが現在のマルタ政府の考え方ということです。

次に各法に対してMDIA(マルタ・デジタル・イノベーション当局)が今後どのように関わっていくのかという姿勢の話がありました、これは法として今後どのようにデジタル化を推し進めていくのかに関する全体のガイドラインを示していくという役割が大きく、ブロックチェーンや仮想通貨に限定せずデジタルに関連する取り組みは、他分野との連携も含めて支援していくということ。

マルタ・デジタル・イノベーション当局としては主に4つの項目を重点内容として挙げていて、技術のデザイン、及びその技術を加速させていくような連携の話を重点的に多なっていくということ。

合わせて国際スタンダード(主にISO)の規格の取り組みなども連携して行なっていくというのが今後政府としての取り組み姿勢の一つになりそうです。

Innovative Technology Arrangement and Services ACT(ITAS)に関してプレゼンテーションの中でも触れられていたので紹介します。サンドボックスのような取り組みに関しての話は特になかったのですが、国として技術を精査していく取り組みや仕組み、及び組織を作っていくというのが大きな方向性で、その中で可能性のある技術や連携はどんどん取り入れていくということです。

特にAuditorの仕組みなどは、直接民間の技術者と国人間がやり取りする機能として強化していくということ。

Auditで実際に担当する人間のスキルに関しては6つに定義されていて、

・ICTや情報セキュリティに関してMQF(Malta Qualifications Framework)が6以上の人間

・ITリスク、セキュリティマネジメントの資格保有者

・ISAE3000などの監査等の経験者

・過去3年以内に2年以上のITA分野における監査経験

・マルタに必要なコネクションのある人間

・今後さらに監査を強化する場合に必要なスキルを有するもの

以上のようにAuditorにも求めるスキルを明確化、プロジェクトや技術精査において一定のラインを設けていくというのが今後の考え方です。

システムに関わる監査の人間の役割としては以下の4つに集約され、

・監査役としての意見の提供

・専門家としての対象の定義

・2年間の登録申請許可

・CPE(教育機会の提供)

ということです。

システムの監査においては以下の5つの項目を重点的に行うということで話をしており、技術の精査を総合的にどういったレベルのものなのかで審査していくというところがポイントです。

追加でポイントになるのが国として証明を提供する際に、登録された事業者側は管理者を設定し国の人間との定期的なやりとりを行なっていく必要があるということです。

ICOの文脈でいくつか質問が出たのですが、技術的にプロジェクトのレポーティングを行なっていく際に、管理者は国側に通知を行う必要があり、特に初期の仕様と大幅に変更が出るものなどに関しては十分な説明責任を必要とするものです。これは技術精査の観点と、技術の信頼性の観点から重要視しているということで今後具体的にどう進められていくのかには注目したいです。

ITAの方向性として主に5つのテーマを元に技術の判断をしていくということで、法の解釈に加え、コンプライアンスや透明性など様々な観点から技術の良し悪しを仕組みとして精査し、その中で連携できるものは連携していくという考え方でした。

最後にICOに関連した立ち位置に関して発表がありました。主に以下の内容です。(画像がブレていて申し訳ありません)

1、Visual Financial Asset ACT(VFA)などの観点から精査する場合はMFSA(マルタ金融庁)から証明を発行してもらう必要がある

2、MFSA(マルタ金融庁)が証明を発行する際にITAのような技術的に精査ができる機関と連携しICO自体の評価を共同で行う

3、MFSA(マルタ金融庁)は技術的な証明が必要な際には、マルタ・デジタル・イノベーション当局での証明発行等の依頼も行う

4、マルタ・デジタル・イノベーション当局では同じシステム監査のリソースを活用し、Visual Financial Asset ACT(VFA)がどの評価項目にも該当しない場合さらなる精査を行う

ということです。

加えてマルタ金融庁のChristopher Buttigieg氏から金融庁としての仮想通貨の取り組みやICO含めた今後の展開に関する説明がありました。

彼のプレゼンテーションは特にスライドはなかったのですが、特にマネーロンダリングに関わる法規制やルールに関する話を非常に強調していて、プレゼン後に情報交換する機会を頂きました。日本を含めた各省庁との連携に関しても現在模索しているということで、ICOの法規制に加えた取り組みや技術精査の部分のみならず協力できる分野は今後ブリッジできればと考えております。

今回注目したいのが、主に金融的な側面と技術的な側面が連携してプロジェクトの評価を行なっていくという視点です。政府としては技術の発展を後押ししていきたい部分と、技術の標準化やルールづくりで先導していきたいという観点から、今後の監査基準を判断していくということです。

本日具体的なアップデートに関しては公表されるということですので、その辺りは今後も注目していきたいと思います。

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