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週刊文春の存在価値

松本人志の件にからんで、週刊文春そのものも話題になっている。
「これによって結局得をするのは、文春側だけだ」
「人をそこまで追い詰める権利があるのか」
「人の人生を狂わせて平気なのか」
概ね、文春そのものについて語る人には否定的な意見が目立つだろうか。
僕も、いわゆる「文春砲」の放つ記事の内容で、これはそこまでやらんでもと思うものあるし、不倫報道などは、こんなん家庭の問題やからどうでもええやんとも思う。

また、今回告発した女性に対して、
「なぜ新聞社やテレビ局に行かずに、文春なんかに行ったんだ」
そんな意見も見られる。

そんな中で、そもそも新聞やテレビ以外に、文春の存在価値とはなんなのか。

MeToo運動のきっかけのひとつが、映画プロデューサー、ワインスタインの犯罪だが、そのワインスタインの犯罪を最初に報道したのは、ニューヨーク・タイムズだった。
ニューヨーク・タイムズといえば、1851年創刊のいわゆる高級新聞だ。
日本でいえば、朝日、読売、毎日、産経、日経あたりだろうか。

では今回の件で、被害に遭ったとする女性たちが日本の新聞社に駆け込んだとして、そのようなことを果たして報道するだろうか。
当時すでに芸能界を席巻していたジャニーズ事務所の社長が、未成年に対して性加害を行っていたと裁判で認定されても、ほとんど報道しなかった新聞だ。
これについては、テレビ局も然りだ。

警察に行ったとしても、既に時効かもしれないことに取り合ってくれるだろうか。

であれば、今回のことは文春でしか報道し得なかった事案ではなかったかと思うのだ。
そこに、文春の存在意義は、少なくとも今の日本の報道の環境の中においては、あるのではないか。

これは、不倫などというスキャンダルではない。
事実であるとするならば、たとえ時効であったとしても犯罪なのだ。
しかし、ことここに至ってなお、各新聞社が取材をしている形跡はない。
テレビも、文春の掲載内容を垂れ流すだけ。
テレビなんかは、「私たちは普段は面白動画を垂れ流しているだけのように思われるでしょうが、その素顔はれっきとした報道機関なのです」と名乗りをあげているのだから、自分たちで取材をすればいいのにと思うが、今のところ、表の顔しか見せていない。

新聞社にしてみれば、
「芸能人のスキャンダルなんて、社会面の片隅に載せておけばいいんだよ。性犯罪?しったこっちゃねえ」
テレビ局は、
「まあ、わたしたちは報道機関とは言うものの、みんなコタツで仕事してますからね。文春さんのおかげでわたしたちの番組も成り立っているわけで。それに、天下の吉本さんが白だって言ってるんですから。わたしたちの姿勢は、ジャニーさんの時でおわかりでしょ、何をいまさら」
志らくが、「自分は人情で話をするので、松本さんを信じます」みたいなことを言っていたが、多分テレビ局も人情家の集まりなのだろう。

件の女性たちが駆け込む先は、ますます文春しかなくなる。
それだけでも、文春の存在価値はある。

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