見出し画像

子供が小学1年生になったら、国語辞典を買おう

オンラインで情報が得られる時代に、紙の辞典にこだわる理由

 中学生・高校生も電子辞書全盛期、スマホやタブレットのアプリでも辞書が引ける時代。「辞書を引く」ということを意識しなくても、検索エンジンに言葉を入れるだけで、言葉の意味や英訳が出てくる便利さは、私も享受しています。

 それでも子供の小学校入学と同時に、私は本屋さんで子供の使う『国語辞典』を買いました。理由の一つは、分からない言葉があった時に子供に自分で調べてほしい(分からないことがあった時に調べることを習慣にしてほしい、分からないことの調べ方を知ってほしい)という思いがありました。

 辞典で言葉を調べると、一緒に前後に書いている言葉も目にするんですよね。日々調べる習慣の中で意識せずに、知っている言葉の数(語彙力)を増してほしい、そんな思いもありました。小学生向けの辞典はそのあたりをよく分かっていて、似たような言葉の使い分けや、類義語・対義語をコラムとして挿入していたりします。

(私自身、論文を読むときなど不明な単語はインターネット上で調べがちなのですが、英文を書く力に結びついてないことを実感していて、英和辞典を探しているところです。)

自分(親)の辞典があっても、子供用に新しい辞典を買う理由

 辞典は通常の本よりも分厚くて重い物。と言っても全世代をカバーするような辞典にしようとすると「広辞苑」のように相当に分厚くなります。(広辞苑は国語辞典+百科事典の2つの役割があるので分厚いという理由がありますが)そのため通常の辞典はある程度対象年齢や利用目的を区切って展開されています。ですので私は小学校入学時の子供には、やはり小学生向けの辞典を買うのがよいのでは、と考えています。

 小学校入学時点の子供は「ひらがなが読める」かどうかという状況にある子がほとんどだと思います。そうすると、辞書で引いた言葉に「ふりがな」が打っていないとまだ漢字を読めない子は自分一人では意味が分からないのですよね。ふりがなの分、スペースが圧迫されるので、掲載語数は大人の辞書より少なくなります。私の見立てでは、中学校入学と共に買い替えもあるのかもなと思っています。それでも6年間フルに使ってくれればヨシと思っています。

 日本語という言葉も少しずつ変化しています。「広辞苑」はこの30年(1991年以降)で4回大改訂(改版)をしています。(第4版:1991年11月、第5版:1998年11月、第6版:2008年1月、第7版:2018年1月)

 小学校の学習指導要領もこの30年(1989年以降)で6回改訂されています。(以下いずれも改訂年であり、実際に実施されるまで数年のインターバルがあります。1989年「生活科」や隔週学校5日制導入、1998年完全学校5日制導入・「ゆとり」の中で生きる力を育む、2003年一部改正、2008年授業時数の増加・外国語活動の導入、2015年道徳の「特別の教科」化、2017年情報活用能力の充実、主体的な学び(こちらが今話題の2020年から始まった外国語教育やプログラミング教育の導入です)

 自分の子供時代に使っていた辞典よりを使うよりも、思い切って今の時代の言葉そして小学校での学習内容に合っている、今販売されている辞典を使った方が、学校での学びにも生かされるのではないかと考えています。

夏休み前に、漢字辞典を追加しよう

 標準的な進度で、小学校で漢字を学ぶのは秋くらいから。(進展の早い学校もあると思いますが、概ね、入学後にひらがな→カタカナ→漢字と進んでいくと思います)

 国語辞典でも漢字を調べることもできるのですが、学校で習う漢字に細かく筆順が書かれていて、音読み・訓読みも沢山書かれている『漢字辞典』を使った方が、漢字の学習はスムーズと感じています。(個人的にびっくりしたのは、自分が無意識に使っていた「漢和辞典」という用語は、漢和辞典が漢文を調べることがベースになっているため、小学生が使う辞典の名称としてはあまり出てこないんですね。)

 学習指導要領が変わると、漢字を習う学年が変わってしまうので、学年別に漢字を並べている辞典は普遍的に使えないこと、また自分の学年で使う漢字しか普段ページをめくる中で目にしなくなることから、通常の部首別に並んでいる漢字辞典の方が好ましいと個人的には考えています。

 ちなみに現行(2020年以降)の小学校学習指導要領では辞典を調べるのは小学校3年生で習う事項です。漢字辞典の部首引きは小学校低学年では難しいと思いますので、国語辞典と同じ読み(音訓)での引き方を教えました。少しずつ音訓索引の隣にある、総画(画数)での引き方にも興味を持ってきたようです。

最後に、早く身に着けるのがいいんじゃない。焦らなくていいんだよ

 早期教育が流行っていると感じています。このnoteを読んでくれた未就学児の親の方は、早く買い揃えて早期に国語力を身に付けてもらいたい!と思う人もいるかもしれません。ですが、大人になるまでに「読む力」を身に付けていくことを目的とすると、早い時期に身に付けるのがいいことなのではないとも感じています。(図書館などでお子さん自ら興味を持たれる場合は良いと思います)

 年長のうちに鉛筆を正しく持つことが出来る。(鉛筆の握り方、紙への力の掛け方、手先のコントロールなど)この時点ではひらがな50音でなくてもいいと思います。個人的にはくもんのドリルがよかったです。

↑ 2・3・4歳と書かれているのが焦りをかきたてるかもしれませんが…あくまで目安ですので年齢で選ばないことが肝心だと思います。

↑ もう一つ前の段階の鉛筆の動かし方の練習にはこちらがおすすめです。

 ドリルが1冊終わったら、最初のページから親子でふり返って子供の運筆の向上を喜んでいました。多くの通信教育教材は年長のうちにひらがな50音(時にはカタカナすら)読める/書けるように導いているので、そんな風に出来る周りの子に、親としては正直焦ったこともありましたが…。小学校入学後数か月で差は感じなくなりました。

 入学前(入学前の1~3月頃)になったら、自分の名前はひらがなで書ける/読めるようにする。(入学後は子供が自分で名前を書く機会がたくさんあるので、これだけはできておくと入学後スムーズかもしれません)

 ですので、入学後で構いません。春休みやゴールデンウイークにでも、お子さんと一緒に本屋さんの辞書コーナーに行って、今どきの辞書を知り、お子さんの気に入った一冊を購入してみてはいかがでしょうか。

 我が家は三省堂の小学国語辞典と小学漢字辞典を使っています。教科書にも使われているUD(ユニバーサルデザイン)の書体で読みやすく、小学校の6年間普遍的に使えそうなところが気に入りました。(2021年1月時点で国語辞典、漢字辞典ともにカバーデザインが2種ありますが、中身は同じです)


(参考)岩波書店:広辞苑ホームページ



このnoteでは社会人大学院での研究経験、そして技術職・研究職として働く日々から生まれた、子どもと科学へのまなざしを綴っていきます。 サポート頂いた気持ちは、私の研究やアウトリーチ活動を広めていくための学びに使わせていただきます。