交差する時間軸が見どころな『ワンダーストラック』

全体の4割がサイレント映画な珍しい形式。

1927年に耳の聞こえない少女が、
1977年に事故で聴力を失った少年が、
親元を飛び出し、わずかな手がかりを頼りに、
自らの居場所を探す物語である。

その1927年は当時の状況も考慮し、
サイレント映画にしてあるため、音楽以外は無音である。

予告の時点で想像がつくと思うけど、
当然2つの時間軸は無関係ではなく、
それらが交差するところが一番の見どころである。

なので、大方オチは想像できたものの、
アートな感じのする映画で、綺麗なお話だなと感じた。
目新しさよりも、少年・少女時代の親への反発や、
自分の居場所について考え始める普遍的な心理を、
50年という時を超えながら、うまく描いていたと思う。

特に1927年の少女を演じたミリセント・シモンズは、
実際に耳が聞こえないようで、
それにも関わらず、いい演技をしていたなと感じた。

カナダ国際映画祭では絶賛だったようで、映画祭においては、
やっぱりこういうアートというか詩的な映画の方が、
アクションやSFのような大衆娯楽的な映画よりも、
高評価を得やすいんじゃないかなって気がした。

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