焦げかけのトーストをかじっても胸がときめかない『ママレード・ボーイ』

返してください。僕の青春を。。。
もうね、コレジャナイ感しかなかった。。。

『ママレード・ボーイ』は、
小学生の頃、毎朝日曜日にテレビアニメを見ていて、
好きな人といっしょに暮らせるとかうらやましすぎて、
あの設定とかメッチャ好きで、
松浦遊みたいなお兄ちゃんが欲しくて、
最近、ちゃんと原作コミック読んで、
いまだに「だっけっど、気になる~♪」なんて口ずさんだりして、
すごく好きな作品なのだ。

それだけに、とっても残念。。。

え、漫画の実写映画ってこんななの??
今までそんなひどいと思ったことあんまりなかったんだけど。。。
ここ最近は、邦画でよくある
高校生の青春純愛映画は一通り見るようになって、
中には割と面白いなってのもあったんだけど、
実はそのすべてが、原作漫画まったく読んでなくて、
もしかしたら、原作を知らずに映画だけを見ていたから、
あんまりひどいと思わなかったのかもしれない。。。
今回は、原作ファンだからなあ、俺。。。

『ママレード・ボーイ』って、
いろんな人がいろんな想いを抱えながら、
猪突猛進していく物語のはずなんだけど、
今回の映画はそのよさが、ほとんどそぎ落とされていた。

もちろん、2時間の中に収める関係上、
原作とは異なる形になるのは仕方ないにせよ、
いろんなエピソードをちょっとずついろいろ盛り込んでいったら、
味のまったくしない幕の内弁当みたいな感じになってしまっていた。

映画は、光希と遊の恋物語だけに焦点を当てて、
その障害となるものが遊の出生の秘密のみなので、
他の要素がすべてカットされているんだ。
ここから先はネタバレもあるので、
知りたくない人はそっ閉じしていただければ。

原作では初対面から光希は遊にドキドキしているけど、
そんな描写は序盤では一切なし。
これから巻き起こる恋の予感すらない。。。

光希を巡る銀太と遊の関係もここでは無視され、
ほとんど絡みのないクラスメイト同士でしかなかった。
銀太もあの不器用でなりふり構わないところがよかったのに、
そんなキャラは微塵もなかった。。。

秋月茗子と名村先生の扱いもあっさりしすぎており、
2人の禁断の恋感ゼロ。。。
別れのシーンとかもっとグッと来るはずなのに、
まったく感情移入できず。。。

亜梨実さんなんてハーフの子がやってて、
もはや原作と設定違いすぎだろと思いつつ、
存在自体がないも同然なぐらいチョイ役。
彼女がいろいろかき乱すんだろうが!!

三輪さんなんて、何を考えているかわからない雰囲気が魅力だったのに、
原作の古着屋の店長みたいな風貌で、ただの怪しい人に。。。

両親Sはキャストは豪華だったのに、
あのぶっとんだ陽気な感じは一切なくなり、
かなり寂しかった。。。

不必要な要素をカットしすぎたのではないかって思うけど、
全部入れたら2時間に入りきらないし、
かといってまったくなしにすると漫画のよさも出ないと考えると、
この漫画は2時間の映画よりは、連ドラにして、
各エピソードをもう少し深く掘り下げた方がいいのかなって思った。

でも、桜井日奈子と吉沢亮の演技は割とよくて、話し方やセリフは、
そのままアニメ版の國府田マリ子と置鮎龍太郎に置き換えても
そんなに違和感なさそうだなって思った。
吉沢亮は、現実に松浦遊がいたら、
あれぐらいのかっこよさかもしれないって素直に思える。
ただ、桜井日奈子は光希をやるには、ちょっと顔がぷくっとしてるかなと。
あと少し背が高いせいか、光希と遊の身長差があんまりないように感じた。
いや、あれは吉沢亮がちょっと低いのかな(笑)
原作の身長差に慣れてしまっているので、そこに違和感はあったなあ。
そもそも、光希役は茗子役の優希美青の方が合ってるような気もする。
もう少し目がパッチリしている方がいいかなって。

やっぱり銀太は竹内涼真、茗子は中条あやみ、亜梨実さんは山本舞香、
三輪さんは高杉真宙、名村先生は鈴木浩介にやって欲しかったな(笑)

原作と比べて、あれが違うこれが違うって偉そうに言ってしまったけれど、
それぐらい『ママレード・ボーイ』は大好きな作品であるが故に、
かなり色眼鏡で見てしまったというのはある。
もちろん作っている現場の人たちが
この実写化の難しさを一番痛感しているはずなので、
きちんと形にしていただけたことは尊敬するけれども、
ただやっぱり、この実写映画版はかなりがっかりなので、
これから見る人はあまり期待せずに(笑)

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