トレンドの流れが明確になる普通の平均足の普通じゃない完全解説
「平均足」なるものについてきっちり解説していきたいと思います。
一応この記事は、株価やFXなどのチャートを分析するための類のものですので悪しからず。
まえがき:私がTradingViewで開発した平均足(改) (Heikinashi_improved)の使い方を説明するためにゆるく書き始めた記事なのですが、普通の平均足についてちゃんと解説してないのに改モノなど語ってなるものか、、と思って書き始めてしまったのがキッカケです。でわ9千文字をご堪能あれ。
平均足とは何なのか。
平均足というのは、どうも日本古来からあるチャート型の一つらしいのですが、歴史的な細かいことに私はそれほど詳しくありませんので正直割愛しますが、要は、ローソク足の描画ルールに変更を加えた描画バリエーションです。平均足の他にも、練行足、新値足、カギ足などあります。そして、その中でもこの平均足というチャートは、価格のトレンドを明確に表示するために用いられるのが一般的です。私も実際そう思っているのですがその物語はこの下を読んで行ってください。
ところで、今をときめく(たまに物凄く忌々しさを感じてしまう)TradingView上では、下の画像のように、足の種類を選ぶペインから、平均足をローソク足の代替として描画することが可能です。
TradingViewの足の種類を選択するところで、デフォルトで表示できるようになっていますので、まずはものの試しでやってみましょう〜😄
それでは平均足を見てみましょう。
平均足チャートを見れば視覚的に分かる通り、平均足というのは普通のローソク足と比べると、緑の期間(陽線)や赤の期間(陰線)がかなりの確率で連続しているのが分かりますね。
つまり、陽線と陰線の期間が綺麗に分かれやすいという傾向にあります。
なので、上昇トレンドがある期間には、陽線を保持しやすく、下落トレンドがある場合は陰線を保持しやすいというのがパッと見ですぐ分かります。だから平均足というのは、価格のトレンドを明確に表示する事に使い、単純に平均足が陽線を示しているのか陰線なのかで判断をするというのが、初めの
一歩であり、逆から言えば、平均足の陰陽が反転したらトレンド転換だ、という(バカ一択の)考えになります。
実際にはこんな単純なわけ無いのですが、ここではそういう事で話を進めます。
平均足の仕組みは?
でもなぜ、そもそも平均足はこんな風になるのでしょうか?
そこで、考えていくべきスタート地点は、陽線と陰線についてです。
(それ以外に話の進め方を考えることができません)
そもそもですが、ローソク足に立ち戻りますけれども、
陽線になるのか?陰線になるのか?を決める要素は単純です。
『陽線と陰線は、始値と終値の大小だけで決まりますよね?』
つまりローソク足では、
「始値<終値」の時に陽線 で、「始値>終値」の時に陰線 です。
そこで平均足の始値と終値を、H始値とH終値と置きましょう。これから山ほど出てくる言葉である「平均足の〜」を省くためです。
そうすると平均足では、
「H始値<H終値」の時に陽線 で、「H始値>H終値」の時に陰線 です。
ということで、平均足では、この陽線や陰線が一旦反転すると、色が続きやすいように始値と終値が改良されているのかも?!
と考える事ができたのなら素晴らしいですね。
ではいよいよ平均足というものは、一体どのような計算式で作られているものなのでしょう?
そして、平均足をどのように使ったら良いのかも考えていきたいと思います。
平均足の始値と終値の計算式
平均足も、普通のローソク足と同じ様に4本値(始値、高値、安値、終値)で描画しますが、「始値」と「終値」においては、通常のローソク足と異なります。
平均足の始値
には、「直前の平均足の始値と終値の平均値」を使用します。
つまり、どの位置から始値がスタートするかというと、チャートを見ればすぐ分かるのですが、平均足は必ず前の足の実体の中心から描画されます。
計算式で書くとこのように書くことできますね。
※以降「n 個前の」という表現に数字の添字 n を置いて書いてゆきます。
平均足の終値
には、「現在のローソク足の四本値の平均値」を用います。
始値と終値の数式の形をよく理解しておいてください。
後で、これに手を加えることで、平均足の深い所まで詳しく紐解いていきたいと思います。
平均足の高値、安値
には、「ローソク足の高値か安値、またはH始値」のうち該当する方を用います。
ローソク足でもそうですが、高値と安値というのは、ヒゲと大きく関わりがありますよね。なので、平均足のヒゲと高安値について詳しく見ていきます。
平均足のヒゲ
に着目してみましょう。
平均足には、陽線は上ヒゲがあり、陰線は下ヒゲが、必ずあるのです。
値動きが全くない横棒一本の足以外は、100%ヒゲが終値方向にある!という事を言っております。
更に傾向としては、強い上昇傾向にある時には、陰線に下ヒゲが無くなり連続した傾向が出てきます。強い下落傾向にある時には逆に上ヒゲが無くなります。これは100%ではありませんが、そういう傾向にあるんだよ、という事です。
一方、強弱がはっきりしない時には、上ヒゲと下ヒゲが両方出るような形になる傾向があります。
売買が存在しないのにヤツはそこにいる
H始値は、機械的に1個前の平均足の始値と終値の中間で描写をしてしまいます。
そのお陰で、平均足の実体は、実際のローソク足のチャートでの高値〜安値の範囲を大きく逸脱して、全く売買が存在していない価格にも、平均足の実体が伸びてきてしまっている場合があります。
図は、ローソク足の代わりにバーチャート(黒)と、平均足を重ねたチャートです。バーチャートの高値から安値まではというのは、実際に市場で、売買が実際に成立している価格ですよね。
こんな当たり前の事は語る必要もない事なのですが、この当たり前の事が、平均足になると事情が異なります。チャートを見ると、全く売買が存在しないところにもH始値が伸びていますね。
チャートを見ると、必ずしも全ての足でH始値がぶっ飛ぶわけではないのだなぁ、という事もわかったりしますね。
H始値が出現する共通点というのは、強い上昇や下落があったりした時に特に集中して出てきます。一個前の足の実体の中間値で計算されるH始値だけが、過去を引き摺って、実際のローソク足の値段から置いて行かれたような格好が分かりますね。つまりです。
トレンドが出現した時に、H始値が置いてけぼりにされて、結果的に陽線や陰線が出やすくなる、というのが平均足の見た目の綺麗さというか、陰陽が継続する正体なのです。
一方で、上下両方にヒゲが存在するということは、上下幅でローソク足と平均足は一致するので、その価格の中では基本的に上から下まで実際に市場で売買されている事実を教えてくれます。ただし始値と終値は全く違うものになるので、実体の幅と陰陽がローソク足と違うものになっているのですね。
見た目がローソク足と同じフォーマットで出力される特性上、同じもののように見てしまうと錯覚して見誤ってしまいますから、十分に気をつけなければいけません。
平均足が反転する時を科学する
では、どういう時に陰線から陽線に反転となるのでしょう?平均足の色が反転する時を計算式を交えて考えてみようと思います。
陰陽線が反転するということは、以下の左の状態(陰線)から、右の状態(陽線)に変化することですよね。
H始値0>H終値0 → H始値0<H終値0
まず、H始値の定義から、
H始値0 = ( H始値1 + H終値1 ) ➗2 ・・・①
でした。
①式は、一個前の平均足の実体の真ん中だよという事を言っているのですが、別の見方もできます。これは、始値に関して漸化式になっています。
つまりですね、今から結果的にやりたい事というのは、
『このH始値0を、実際のローソク足の情報で書き換えられないかなぁ?』
という思いを実現してゆくことです。
式の中の、H終値については、現在値のローソク足で表せています。
H終値0 = ( 始値0 + 高値0 + 安値0 + 終値0 ) ➗4
なので、H終値1 は、上の0が1になって、
H終値1 = ( 始値1 + 高値1 + 安値1 + 終値1 ) ➗4
と書くことができます。
さて問題は、①式のH始値1をどう書いていくかですが、漸化式なので、H始値1は、H始値2で書けるし、H始値3で書いてゆく事ができますよね?(うわー面倒臭いなぁって思ったかもしれませんがこれが突破口です。)
ではやっていきましょう。少し丁寧に展開していきますね。
H始値0 =( H始値1 + H終値1 ) ➗2
= ( H終値1 + H始値1 ) ➗2
= H終値1/2 + ( ( H終値2 + H始値2 )➗2 ) ➗2
= H終値1/2 + H終値2/4 + H始値2/4
= H終値1/2 + H終値2/4 + ( ( H終値3 + H始値3 )➗2 ) /4
…….この流れでずーっと展開していくと、
= H終値1 /2 + H終値2 /4 + H終値3 /8 + H終値4 /16 + H終値5 /32 + …
という形に展開できました。数式っぽく書くとこうです(萌)
$$
HOpen(0) = \sum_{n=1}^{\infty} HClose(n)\frac{1}{2^n}
$$
ローソク足の値で書き直したらこうなります。
$$
HOpen(0) = \sum_{n=1}^{\infty} [Open(n)+High(n)+Low(n)+Close(n)]\frac{1}{2^{n+2}}
$$
平均足の始値というのは、「ローソク足のH終値(つまり4本値平均値)を、どんどん半分の重みをつけていって足し上げていったもの」ということが実体として分かってきます。
ちなみに、7つ前まで足し上げると99.21875%となり、ほぼほぼ全部の寄与になってきて、7つ前の分は、1%の寄与もないということが分かります。
まぁ、こんな事考えなくてもざっくり、前日の平均足実体の中間なんだからそれを見れば良くない?って思うかもしれません。
でも重要なことは、実際に市場で取引されいてるのは平均足じゃなくて、ローソク足(バー足)なのであって、それをベースに考えられないとダメです。錯覚に陥ります。
別にね、この数学を披露して、おーーーーって言ってもらいたいわけじゃなくて、最初に立ち返ると、どういう時に陰線から陽線に反転となるのでしょう?を知りたいわけです。
だから、どういう時に?って言った時、市場で取引されているローソク足の動き方が本物(でH始値は偽物のただの計算)なんだから、それを意識しなきゃダメなんじゃないの?って事ですね。
さて、というわけで、ここまで来てようやくわかってきた事があります。
平均足の始値というのは、ざっくり言えば、特に1本目、続いて2本目、まぁあと3本目程度で、近い方から倍の重みを乗せた4本値の平均値の位置にあるんだよ!ということ。
はい!そこで思い出してください。反転とはどんな時なのか?!
上昇反転なら、、、H終値がH始値を超えた時ですよね!!!!!
H終値がH始値を反転する時
平均足で、色が反転する場所というのは、ローソク足(バーチャート)を見るとどういう所なのかが分かります。既にあなたは基礎知識として、平均足の始値は、直近の1本、2本せいぜい3本目程度から影響を受けているという事を知っています。
反転の場所を見ていくと、その直近せいぜい3本分くらいの水準に対して、上にブレイクして陽転、下にブレイクして陰転というのがポイントです。
揉み合っている時の平均足
上で分かった事として、せいぜい前の3本程度の下値や上値をブレイクすると反転しやすいという事がわかりました。
そこでこの仕組みがうまくいくケースとうまくいかないケースが出てきます。下のチャートを見てみましょう。平均足とバーチャートです。
揉み合い期間では、上位に上昇トレンドがあるなしに関わらず、陽転でロングや陰転でショートを入れていたらうまくいかないですね。
よく見ると、ショートで取れそうな部分もありそうですね。それはなぜかというと、赤の平均足の連続が5本以上続いているものに限られます。ロングで取れそうな所もやはり5本以上続いていないと難しそうだなというのがわかります。
つまり、やはりですね。平均足の反転には3本程度のローソク足に対してブレイク後に、ブレイク方向にさらに2足分くらいは上がってくれないと利益が取れないという事です。
そのため、上昇と下落の波動が一方向に3足分くらいしか行かずに再反転してしまうのが連続で来るような相場には完全に合ってないという事がわかります。
だいたい3本分という目安が平均足にとってとても重要なパワーキーワードである事が分かっていただけましたでしょうか?
平均足の得意な流れ
は、押し目や戻り目に対して、陰陽転換した後に5足以上続くトレンドの進行波が来るときに効果を発揮します。その条件に適しているのはより大きな流れとしてのトレンドが後押ししてくれている事象が十分ある時といえるのです。
逆に言うと、陰陽転換した後に、3足程度で天井底ができてしまう狭いもみ合い相場の時に負けやすいです。その条件に合致しやすいのが、特にトレンドに逆張りする調整派が来ている時、横ばい揉み合い相場です。揉み合いであっても3足ではなく5足以上の割と大きなうねりがある時には広めのレンジの中でうまくいくケースもあるかもしれません。どうトレードするかによりますが。
平均足のデメリット
現値が分からない
平均足は、「実際に、今いくらなのか?」に答えることが全くできません。うちは現在値やってないから他当たってくんな!って言われちゃいます。ラーメン屋さんに行ってスパゲティが食べられないことにブーブーいう客は出てけっです。
なので、ローソク足を見ずに平均足だけ見ている人はいますか?それはやめた方がいいです。普段ローソク足を見ている感覚で、ローソク足を全く見ずに代替として平均足を見てしまったりすると、大きな間違いを引き起こす原因になります。
平均足で描画している「H始値」と「H終値」は、実際の売買が行われいてるローソク足の始値と終値とは全く違います。特にローソク足の直近の足の終値は今動いている現在値でもあるので、もし平均足だけを見ていたら、たとえば今の瞬間に暴落や暴騰していても、平均足のH終値は、現在の4本値の平均値になってしまって丸められてしまうのでよく分かりません。ヒゲが伸びている事で気付くかもしれませんが、きっと遅くなってしまいます。
なので、言える事はこれです。
平均足はインジケーターとして使おう。
というわけで、一番最初に紹介しましたが、TradingViewでローソク足の代わりに平均足を表示する方法というのは、簡単だし、一見するとすごく良さそうに見えるのですが、このようなデメリットがあるのを十分わかって使いましょう。というか、それならばローソク足やバーチャートや終値ラインを重ねても別チャートでも何でもいいですから同時に出力した方がいいです。平均足はインジケーターとして、ローソク足はちゃんと同時に確認しながら利用するべきというのが私の見解です。
しかしながら平均足をインジケーターとして重ねて一緒に見るとなると、またもやデメリットが発生します。
ローソク足と平均足が被って見辛い問題
平均足って、別にローソク足じゃなくても良くない?と気づいちゃいますよね。こんな事を言うとかつて平均足を開発した生糸相場で大儲けした謎の相場師の幽霊に後ろからハリセンでぶっ叩かれそうで怖いですけど。
という事を今書いてて思いましたが、平均足の始値と終値でラインを引けば良くないですか?後で平均足(改)の機能追加として開発しようとおもいますのでファンの皆さんは待っててくださいね。
平均足をアップグレードして改良するポイント
昔々、平均足の仕組みを自分なりに変更しちゃうというぶっ飛んだ事を考えた人がいました。そして私もその列に並んだ一人です。
いくつかポイントがあると思いますが、ポイントとしては、平均足の始値と終値の計算式をどう変更するかという点が全てかと思います。
あとは、どう見せ方を工夫するかですかね。
というわけで、私が開発した、「めがにゃん式の平均足(改)※TradingViewでの英語名:Heikinashi_improved」は、お陰様でファンの皆様に非常に良くしていただいております😉
平均足(改)のコアシステム
私の平均足(改)は、平均足のコアシステムの部分、H終値の定義をだいぶ変更しています。
H始値の定義については、1個前の足の分を半分の重みをつけて繰り込んでいく仕組みは秀逸で、ここを変更してしまうとそもそも平均足ではなくなってしまいそうなので、江戸時代の生糸相場師のおじさんに感謝しつつ合掌です。
終値の仕組みには、もう少し平均的に緩やかにする部分と直近の変化で反応する部分を両方入れたような形になっており、なるべく騙しを少なくするよう変更しています。(ごめんね〜ここまでしか言えません)
使い方としては、普通の平均足と変わらないですので、上につらつら書いた平均足の基礎をしっかり頭に叩き込んで使ってください。
見た目に関しては、ローソク足(またはバーチャートなど)との位置が計算値的に見やすい位置にずれています。
平均足は結局のところ、
上位のトレンドの流れがある方向に転換した時が効果的だよ
という結論になったと思います。(あんなたくさん文章を書いたのに簡単に書くと、これで済んじゃうのが納得いかない)
ここからは、
Heikinashi_improved の使い方講座
にいきなり突入です。
2種類の平均足(改)をデフォルトで実装
パラメーター変更の設定変更ウィンドウをご覧ください。
HA_improved 1
と書いてあるもので、パラメーターに「1」が入っていると普通の平均足(改)になります。デフォでは、陰線が赤、陽線は緑になってます。
HA_improved 2
と書いてあるものは、デフォで、ピンクが陰線、水色が陽線の平均足(改)をパラメーターの値(デフォでは「20」)で平均化したものになっています。使い方としては、より上位のトレンドの流れだよというイメージです。
だったら、代わりに20EMAとかでもいいんじゃないの?と思うかもしれませんが、
平均足にとって重要なパーツは、平均足「実体の陰陽(色)」と「実体の長さ」なのですよね。
トレンドが終了間際になると、平均足の実体の長さが短くなって、その後すぐに反転しているのがわかるかと思います。その辺も大事な情報の一つとなっています。
あとはデフォルトで、ヒゲは消す方向に設定しています。同時にローソク足やバーを出すなら、それで済むからです。
背景色とかヒゲとか位置とか
背景色が、青のところとピンクのところが見えていると思います。これなんなん?という事ですが、HA1とHA2、それと実際のローソク足の位置、この3つが上昇パーフェクトオーダーになっているときに、赤い背景色になります。
逆に、3つが下落パーフェクトオーダーになっている時には青い背景色です。
というわけで、こんなふうに使う事ができます。
実際のトレードの入れ方に関してはここでは割愛しますが、もう十分説明したのであとは、個別に聞いてください。
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