みく

初音ミクに歌ってもらったことがない生涯でした。将来的にはカメラがそういう感じで擬人化しないものか。するんではないか。それぞれのカメラロイドの目線から見えた世界を、鮮やかに切り出してみせる、といった風に。

私たち生身の人間の眼は、この何とも冴えない日常生活と人生から切り離すことができないので、どこまでおしゃれなカメラとアプリを全力で駆使しても、撮られた写真は私達であることから抜けきらない。

デザインやアートの教育を受け、技術を身に付けた人は、その呪いのような「私」から自由になれるが、もっと思いきって、完全に別の身体をもった「パートナー」的存在に眼を委ねてシャッターを切ってもらうと面白いかも知れません。撮影者は誰なのか、カメラロイドに指示して撮らせた写真は誰のものか、それを「作品」と呼べるのか、といった議論がお約束で起きますが、まあいい祭りになるでしょう。

ミクはよいデザインの結晶でした。企業がなだれこんできて、消費した結果、あっという間に見なくなった。民が手元でわいわい遊んでいる時代が最も幸せです。



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