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暗闇から手をのばせ、を観た

制作:2013
監督:戸田幸宏
撮影:はやしまこと
出演:小泉麻耶 ホーキング青山 津田寛治 モロ師岡

■あらすじと感想
一言でいうと、「障害」者専門のデリヘル嬢が見た社会を描いた映画。
大上段に構えると、「障害」者の【性の問題】が描かれている。
出てくるのは平均寿命30歳の進行性筋ジストロフィーの客、先天性多発性関節拘縮症、バイク事故での脊椎損傷による車いすの青年。

小泉麻耶演じるデリヘル嬢は、「障害」者と初めて関わる違和感を演じつつ、徐々に「障害」者ではなく「普通」の男と関わる嬢になっていく様子を、クールで陰のある小泉麻耶は見事に演じている。
彼女のクールな演技は、これまた大上段に表現すると「真実」を見たい、という「何かで傷ついた」女性の姿を演じ、映画を見る人の心を鷲掴みにする。

実際に映画で描かれているのは、「障害」者ではなく、「健常」者=「障害」者を取り巻く社会の姿。
「デリヘル嬢に纏わりつき殺人未遂まで犯す「健常」者のストーカー」「車椅子になった友人を哀れみ見物に来る「健常」者の友人」「部屋を訪ねたデリヘル嬢を「気持ち悪い」と見下す「健常」者の家族」「子供が車椅子「障害」者になり接し方がわからなくなり、遂には新興宗教にはまる「健常」者の母親…」

印象に残るカットは、車椅子の青年が海に落ちるカット、バックショットが際立ち、ドキッとしました。

「障害」者、「健常」者という境界線は、どこにあるのか?小泉麻耶がクールであればあるだけ、際立って僕に突き付ける。何故の仕事を受けたのか?脚本を読んだ時に何を感じたのか?小泉麻耶に聞いてみたいと思ってしまう作品です。

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