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翔んで埼玉、を観た!

制作:2019年
監督:武内英樹
撮影:谷川創平
主演:二階堂ふみ GACKT ブラザートム 麻生久美子 島崎遥香

■あらすじと感想
今は昔、東京では埼玉への迫害が続いていた。埼玉県人は東京に入るときは通行手形が必要で、虐げられ抑圧された生活をしていた。卒業すれば東京に住めるかもしれないと掘立て小屋に住み学校に通う子ども。春日部、浦和、熊谷など地名を聞いて倒れる東京の生徒たち。遊びに行けば埼玉狩りで逮捕される。千葉と埼玉の周辺地同士のいがみ合い。信じられないぐらい辺境に描かれる群馬、茨木。そんな奇怪な時代に埼玉解放を闘う伝説の人物の愛の物語。

■設定のバカバカしさを真面目に映画として見せてくる監督と役者に敬意を払います。出演のブラザートムはアメリカ生まれの熊谷育ち。島崎遥香も埼玉出身。麻生久美子は千葉など出身地など役柄と出身は原則守られているようだが、肝心の主人公の二階堂ふみとGACKTは沖縄出身なのは何故か?この二人ほど際立つ演技派の美男美女は埼玉出身者には居ない、という皮肉なのか。真面目に疑問に思った。神木隆之介ではダメだったのか?少し弱いか。神木は好きだが、この現実と非現実の境目にあるバカバカしさはGACKTかもしれない。

とんで埼玉 (3)

■二階堂ふみはやはり凄い役者と感じます。男としての配役だが、恋に落ちるときの気持ちの変わり目にグッと惹きつけられるものがあった。この映画は場面場面に応じた二階堂ふみの切り替えが支配していると感じた。彼女は、綺麗な役、悪役、妖艶な役、狂った役など、どんな役でも役作りが本当にうまい。ホントにどんな人なのだろう、と好奇心が沸く役者である。そして意外に良かったのは島崎遥香。東京暮らしに憧れる埼玉女子を演じているが毒っ気がいい。麻生久美子はいつ見ても飽きない女優である。変幻自在のさり気なさが素晴らしい女優である。

とんで埼玉3 (3)

■それにしても埼玉の懐の深さは一体何だろう。これだけボロカス描かれてもそれを受け止める力。埼玉県知事が「悪名は無名に勝る」と言ったとか、「埼玉県人にはそこら辺の草でも食わせておけ!」というセリフから春日部には「そこら辺の草天丼」が有るとか無いとか。同じ関東圏でも栃木県があまり出てこないことが少し気になり、取り上げてもらえない悲しさを感じるほど物語の完成度は高い。

■この映画のカメラマンの谷川創平さんはヒミズや転々、日々ロックなどコラムで取り上げた作品のカメラマンで、絵作りが秀逸なカメラマン。この映画では風景ではなく二階堂ふみの映像は素晴らしいです。感動したカットは、二階堂ふみがキスを求めるシーン。映像に愛を感じます。どんな方か分かりませんが頷きながら撮影しているような気がしました。そんな谷川カメラマンも埼玉出身だったのですね。映像も懐も深い筈です。
ではでは。

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