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”8番”リバプール×ボーンマス レビュー 23-24プレミアリーグ 第2節


先発3トップが全員得点し、逆転勝利!


ボーンマスの右WGブルックス→セメンヨを除き、両チーム前節と同じメンバーを起用。
セメンヨはフィジカルを活かした突破や競り合いで存在感を見せていた。


■プレビュー記事


■レビュー

✓攻撃 ”ドミニク・ソボスライ”

最初の20分少々はDFラインからのボール回しが全然うまくいかなかった。
ボーンマスは下の図のやり方で、数的不利にも関わらず、効果的なプレスを行っていた。

サイドへのスライド守備を行うものの、この守備の肝は中央封鎖だ。
特にマカリスターは29番のビリングにほぼマンマーク対応された。ファン・ダイクなどが鋭い縦パスをつけられても激しい圧力を受け、余裕を持ってボールを運べる時間は新10番にはほとんどなかった。
しかし、20分を過ぎたあたりから、相手が守備の圧力を弱めたこと、アーノルドがサイドへ流れる場面(24:58など)が増えたことにより、ボール保持の時間が増え、試合終了までリバプールペースで試合は進んでいく。


前の5人は見せ場や持ち味をそれぞれ見せることができた。
左サイドはガクポIHの影響もあるだろうが連携面がイマイチで、ディアスの単騎突破に頼る機会が多かった。マカリスターの起用を楽しみにしたい。
右サイドは昨季に比べ明らかな改善が見られた。主なポイントは以下2点。

アーノルドが幅をとる機会が増えた
ソボスライの気の利いたポジショニング(特にサイドへの位置取り)

①が続くかどうか。アーノルドは11:44のシーンのように中央でのプレーに固執し、ツイートした通り、4人縦並びになってしまった。


そして右サイドを輝かせた功労者はまぎれもなく、ドミニク・ソボスライ。

サラーやアーノルドの位置を見ながら、空いているエリアにポジションを取り直す。特に全盛期ヘンド以降未解決の「サラーに中でプレーしてもらうためにSBかIHに幅をとり、攻撃の脅威になってほしい」問題。昨季アーノルドが放棄してしまったため、そのタスクをできるIHが求められていたが、これ以上ないような選手がこの港町にやってきてくれた。
ソボスライはミドルやドリブルなどこれまで中盤に足りなかった武器を持っており、「彼が出るから試合を見たい」と思わせてくれる。


アタッカー陣に目を向けると、「点を取りたければジョタを見ろ」と言いたくなるほど、彼が今最も頼りになるFWであると主張したい。
ビルドアップに苦戦していたのも要因のひとつだが、中盤あたりまでおりてボールを引き取ったり、WGとポジションを入れ替えサイドに流れたり、ドリブルでの中央突破などでチャンスメイクをしたかと思えば、ボールが来なかったもののエリア内でフリーになっている場面が数多くあった。

退場者を出した後、ジョタWG&サラーCFにしたクロップは賢い。ジョタのWGでの守備能力は、これまでも、そしてこれからも素晴らしい。


攻撃面で最後に言及したいのが、セットプレー。
昨季こんなことしてたっけ?



✓守備 ”3人のキャプテン”

ピッチが滑りやすくなっているようにも見え、それが要因かもしれないが、それを除いても単純にフィジカル負け→ドリブル突破を結構許していた。
特に目立ったセメンヨは今季中に名の知れたアタッカーになるのだろうか。

名前を上げたいのはサラーと再びソボスライ
昨シーズンから片鱗を見せていたが、サラーは今季も守備意識を十分に見せてくれている。何分のシーンだったか記録を忘れたが、自分がロストした直後に猛烈なプレスバックで最終ラインに入り、献身的な姿勢を見せた。
ソボスライについては46:57からの保持→ロスト→即時奪回の一連の場面。コナテとサラーの間をつなぐ位置にポジションをとりボール循環に貢献し、鋭い振りからガクポへ素晴らしいクサビ。タッチが乱れたため、相手ボールになったのだが、見事な予測を見せ相手のカウンターを摘むアクション。結果ディアスと被ってしまい回収は果たせなかったが、この間動きを止めておらず、連続して気の利いたプレーを披露した。


途中出場して約30分プレーした遠藤は攻守において持ち味を見せた。練習をほとんどしていない中、十分なパフォーマンスだった。
結城さんのツイートがわかりやすいが、通用した点とそうでない点がはっきり出た。

ボーンマスの山のような中盤の選手たちとの空中戦では、なぜか遠藤がことごとく勝っているように見えた。彼は空中戦のたびに高くジャンプしていた。



✓CL圏を目指すなら、アンカーとCB両方必須。

遠藤を獲得してもなお、安心して中盤底のレギュラーを任せられる選手はいない。バイチェテッチと2人でプレミア中堅相手ならやれるかもしれないが、BIG6相手となるとそうはいかない。


ファン・ダイクとコナテの開幕2戦のパフォーマンスは見事だった。しかし、片方でも離脱した瞬間、守備だけに限らず攻撃も機能不全になるだろう。


残りの非HG枠が1つのみのため、獲るとしても一方のみになる可能性が高いが、マティプなど放出はあるのか、高額でHG選手をとるのか、はたして。



■スタッツ

【Liverpool】
・ジョタ
がチーム最高評価点(WhoScored 8.1、Sofascore 8.2)
・遠藤航
がチームワーストの2度のドリブル突破を許す。
・ファン・ダイク
が空中戦勝利数/インターセプト数/クリア数でチームトップを記録。(すべて5回)
・ソボスライ
はパス成功率93%でDF陣を除くチームトップを記録。
・サラー
がクラブ史上初、ホームで10試合連続スコアポイント(ゴールかアシスト)達成。
・サラー
がプレミアリーグで通算スコアポイントが200に。歴代12位。
・公式戦4試合連続失点。
・レッドカードで退場者を出したのは昨季2節パレス戦のヌニェス以来。

【Bournemouth】
・GKネト
両チーム通じて最高評価点を獲得。(WhoScored/Sofascoreともに8.3)
・セメンヨとトラオレ(途中出場)
がドリブル突破3回でチームトップを記録。


■感想

カウンターはもちろん、相手を押し込んでからの攻めについても心配いらないほどにアタッカー+IHの個人能力が素晴らしい。
本職アンカーがスタメンに収まり、マカリスターとガクポが適正ポジションに戻れば、破壊力はさらに増すはずだ。ソボスライはわずか2試合で最も頼りになるIHの地位を確立した。

問題なのは「相手を押し込むまでのビルドアップ」と「中盤エリアでの守備」にある。ともに選手のアドリブに任せている感があり、

・ビルドアップ→DF陣による突破orスーパーな縦パス頼み
・中盤守備→連動する場面が少なく、1人剥がされると一気に前進される

という構造をクロップとコーチが放置している。
カイセド騒動のさなか、移籍マーケットでの振る舞いを反省する発言があったクロップ。上記の問題に気づいているはずなので、同様に改善してほしい。(前から起きていることなので、期待はできないが)


■次節は8/28(月) AWAY ニューカッスル戦


■Full Highlight


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