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”選手が成し遂げた大きな「1勝」”リバプール × マンチェスターユナイテッド レビュー 【22-23プレミアリーグ 第26節 】

■結果、メンバー、フォーメーション

【レフェリー】
Referee:Andy Madley
VAR:David Coote

■プレビュー記事

■試合経過

90分イケイケでボロボロだったユナイテッド。

カラバオ杯、FA杯、ELと今季参加しているすべてのカップ戦でいまだに勝ち残っているユナイテッド。おそらく世界でも最も過酷な日程で戦っているクラブだろう。疲労は溜まっているはずだが、それでも直近の公式戦は見事な成績(公式戦11戦無敗)で今節を迎えた。


結果は知っての通りだが、大きなビハインドを追っても前からのプレスはやっていたし、自分たちのセットプレー時の守備はダロト1人のみを後ろに残すなど、なかなかのリスクのとりよう。
宿敵とのビッグゲームとういうことで、テンハグは最後まで攻撃的な姿勢を崩したくなかったのかもしれない。


そんな姿勢のユナイテッドに対し、相手のプレスにハマり続け、自分たちの前からのプレスは空転するリバプールだったが、選手たちの力で完全に捻り潰してしまった。
画面を通しても気合が入りまくっているのが伝わってきたし、アンフィールドのファンも試合開始直後からテンション爆上がりだった。



準備したテンハグと修正しないクロップ。

はめられていたユナイテッドのプレスだが、

・ベグホルスト✗ファビーニョ
・フレジ✗ヘンダーソン
・カゼミロ✗エリオット

といった組合せで、互いの中盤がマークし合っていて、中は使いにくい。


そうなると出し手のCBはサイドか前線が供給先になるが、
右SHアントニー、CFラッシュフォード、左SHのB・フェルナンデスは全員が中間ポジションをとっていて、例えばファン・ダイクからアーノルドへボールが渡ったとしてもすぐにブルーノにマークされてしまう。
ロバートソンは賢く位置取りできていたのか、浮いている局面がそれなりにあり、アリソンからのフィードから前進する場面をつくれていたが、全体としては前線へのロングボールが多くなり、回収される展開が多かった。
28分のシーンでは出し先に困ったコナテが両手で不満を表していたが、監督やコーチから修正が施されることは90分間見られなかった。


ユナイテッドのビルドアップ時も構造はほぼ同じ。フレッジが前に位置取りカゼミロがアンカーぎみの4-3-3。対するリバプールのプレスは2種類

・デヘアからのビルドアップ含めボールが中央にある時はガクポがカゼミロへのパスコースを塞ぐ位置にいるため、ダイヤモンド型の4-4-2になり、ボールがサイドへ移動すると、4-3-3に変わり3トップが中間ポジションに。
・エリオットが前線まであがり、フラットな4-4-2。

展開は上の段落だと、「アリソンからのフィードから前進する場面をつくれていた」までは同じなのだが、ユナイテッドはダロトの個人での打開や後ろからの縦パスが入る場面もあり、中央からの前進も見られた印象。
そしてサイドはSBとSHが全員、良質なクロス(特にダロト)を上げていて、悪い振る舞いが印象に残ったブルーノ・アントニーの両サイドハーフだったが、前半のパフォーマンスは決して悪くなかった。  


チームとしてユナイテッドの方が準備されていて、リバプールは修正をしないまま試合は進んでいったが、結果的にトランジションとカウンターで相手を叩きのめしてしまった。個人の質で殴り勝ったのだ。



選手が皆良かった。

11人全員が良く攻めてよく守った。よく走った。
失点に直結しかねないミスも何度かあったが、カバー仕切った。


17:57のコナテ持ち上がり。
復帰直前まで代わりを務めたゴメスもできるプレーだが、より優れているのはマティプと同様、細かいタッチができる点だ。CBがハーフウェイラインを超えてくれるとアタッカーはフィニッシュに専念しやすい。


22:19のチャンスではガクポがエリア内でヌニェスの位置を確認、キーパー前のスペースを譲り、自分はマイナスで待機した。これまで試合中にスイッチする場面もあり、いいコンビになりそうだ。
両アタッカーともに動き直しのできるタイプだが、このオランダ代表は偽9番の役割を数ヶ月である程度モノにできるほど器用で、周りがよく見える。ヌニェスはより本能的で、献身的に爆速プレスバックをしてくれる。
25:36の大ピンチではロバートソンとの間を締めきれておらず、裏をとられた。FWに求める守備ではないが、偉大な先輩マネを超えるために成長を期待したい。


これまで気にしてこなったが、エリオットは首振りが良くできている。
振った結果、状況が認知できていることこそが重要なのだが、少なくとも19歳で前段階まではクリアできている。27:32のシーンではロバートソンからボールを受け取る前までに前と後ろからアーノルドが上がってきているかを確認している。
ロングボールの予測など、ルーズボールの局面でも目立っていた。スピードも技術も現状あまりに不十分なので、やはりIHでキャプテンを完全に追い越すレベルには飛躍してほしい。


今季アリソンと並んで最もプレーに安定感があり、チームMVP筆頭と言えるロバートソンはビッグゲームでも相変わらずのクオリティを披露。1点目のアシストが今季6つ目。
37:52ではファンを熱くさせるチェイス。WGのヌニェスも同じタイプで来夏の補強でファイタータイプのIHが加入したらアンフィールドの芝は毎試合張り替えないといけないかもしれない。(実際してるかもだけど。)


最後にアーノルド。
21:39の内からの"ランニング"はすごく良かった。
内に"位置どって"ビルドアップに絡むプレーはほとんど効果的だった試しがない。司令塔的なプレーがやりたいのかもしれないが、走ってやってくれ。デ・ブライネだってやってるんだから。
そして背後を守れない守備は相変わらずだった。25:36にブルーノにフリーでヘディングシュートを打たれており、直後にアリソンとファン・ダイクに叱られている。
24:28は裏のスペースのケアだが、アーノルドはもっと内にしぼるべきだった。背後にいるショーが気になっただろうが、ゴールに近い方を潰すのが最優先だ。フレッジがサイドのパスを選択したため救われたが、エリクセンがいたらどうなっていたか分からない。 



■こんな試合は2度とない。

・アンフィールド
・宿敵とのビッグゲームで7-0

はもちろんだが、

・相手のプレーメーカー(エリクセン)が不在
・相手は過密日程でで疲れている
※ユナイテッド:直近1ヶ月8試合、今季公式戦42試合目
※リバプール:直近1ヶ月6試合、今季公式戦37試合目

で戦える大一番もそう多くない。・・・と思ったけど、そうでもない?
シティが過密日程でデ・ブライネ不在とかあるよね?


まぁ自分が言いたいのは、ただの大きな1勝くらいに思わないとってこと。
シティとアーセナルにはまだ及ばないし、数年前の栄光の時代は過ぎ去って、フロントやメディカルなどクラブ全体で課題がまだ残ってる。
再び浮上するためにはお金が必要→CL圏が必須。
次で勝点を落としたら意味がなくなる。一戦必勝!



■次節は3/11(土)AWAYボーンマス戦



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