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民度を測るモノサシ

 日本の危機である。正確には日本の秩序と良識の危機である。今 観光地に行くと多くの観光客に会う。イヤ、会うなんてもんじゃなく、ひしめいているという表現こそ当てはまることも多い。当然旅行者は宿泊先が必要であるため、ホテルに滞在することになる。我が大阪にも幾多のホテルがあるが、今回は大阪駅からもほど近い立地にある 堂々たる5つ星ホテルの話だ。

 そのホテルに私は宿泊したことはないが、お茶をしたりこれまでに幾度か食事をしたことがある。私がホテルの『格』を感じる場所、それはトイレだ。ズバリ、良いホテルはトイレがきれいなのだ。しかし高級ホテルのトイレがきれいなのは、決して掃除をする人が多い訳でも10分に1回掃除しているわけでもないのだと思っている。良識ある人が使うことで美しく保たれているだけなのである。

 先週そのホテルのトイレを使って驚いた。ここは駅の公衆トイレか? はたまた荒れた高校の男子便所か? 床に散らばったペーパーと小便器の中に転がるタバコの吸い殻は、使った人の民度をリアルに表していた。その日そのホテルで見かけた多くの旅行者は、ロビーのフロアに自分たちの荷物を中心にして輪になって座り、大きな声で笑い 話していた。子供はジュースの缶を口に咥えゲームをしている。

 そこには かつての我が国が誇るべき 周囲を慮る公衆道徳は欠片も見えない。もちろんこんなことを外国人に限って指摘するのは失礼だ。日本人でも民族の誇りを捨てたような輩も実在する。しかし京都や奈良には自宅から比較的近いので時折足を運ぶが、私だけだろうか コロナ明けで円安の今、タガの外れた多くの旅行者によって街の質は間違いなく下がっているように感じるのだ。


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