おばあちゃんシック

小学生のころ、夏休みには必ず北海道の祖母の家に行っていた。
毎年子供だけで飛行機に乗り、観光地で商売を営んでいるのでお店の手伝いをしたり、毎日温泉に入ったり、水族館やゲームセンター、水風船など、とにかく沢山遊んで食べて、一回り大きくなって家へ帰るのだ。

おばあちゃんは誰よりもテキパキ働き、ご飯は美味しく、いつも笑っていて怖いもの知らず。
夏の心霊番組を見ているとき、みんながキャーキャー怯えている中、何故か涙ぐんでいるおばあちゃん。
「ちゃんと成仏できなくてかわいそうだね…」
怖くないのかと問えば
「一番怖いのは生きている人間だよ」
なるほど
今になって少しだけ理解できる年齢になっていた。
そうして帰るころにはホームシックならぬおばあちゃんシックになってしまうのだ。
家に帰って電話越しに声を聴き、しくしく泣いてしまったこともある。

そんなおばあちゃんがはるばるうちに遊びに来てくれた。
何とも言えない安心感。
身長は追い抜かしてしまったけどあのころと変わらず、とんでもなくおいしいご飯を山ほど作ってくれた。
そして、帰るころには懐かしい感情が襲い掛かってきてしまった。
また、北海道に行くからね。元気でいてね。

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