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【不登校問題】娘のためだけに、学校がおひとり卒業式を演出してくれた話。

これは先月3月20日のこと。
娘が通う小学校の卒業式でした。

その数日前。
担任の先生から「卒業式はどうしますか?」という連絡が。
卒業式にはでないと話はしていたので、この日に個別に卒業証書を渡すことを提案してくれました。

娘はもうとっくに小学校を卒業したような気分でいたので、正直そこまでのことをしてくださらなくても…と感じていたんですが、先生方が娘のことを思って提案してくれていたので、卒業式が開催される同日の午後2時に小学校へ行くことになったのです。

そして当日。
娘はちゃんと行くかしら…と半信半疑でしたが、意外と乗気な様子。
中学校の制服を購入した特典で、卒業式用のレンタル服も借りていたことから「せっかくだし、着てみる?」と提案してみたところ、「可愛い♡」とこれもいい反応。

「え?、体育館でやるとかないよね?」
「どんな感じなんだろう、ドキドキする」
と、娘から質問攻めされましたが、私も不登校児の卒業式なんて参加したことないので「え~、分かんない。校長室で校長先生から卒業証書受け取るだけなんじゃないのかなぁ」と二人してソワソワしながら学校へ。

学校へ到着すると6年の先生4人が袴姿、モーニング姿のまま「いらっしゃい!卒業おめでとう!!」とお出迎え。
午前中に開催された卒業式はとっくに終わっているのに、着替えずに担任の先生以外の先生までもそのまま待っていてくれたのです。

校長室に案内されるとそこにはミニ卒業式の会場がセッティングされていました。卒業証書授与用の机、校旗、娘のための椅子、花も添えられています。司会は教務主任。校長先生、教頭先生、6年の先生4人が横並びに。

「ただいまより、令和4年度〇〇小学校卒業証書授与式を開催します!」
「卒業証書授与」…
校長先生に渡されるだけだと思っていた卒業証書も、本番の式さながらに授与されました。

そして、感動だったのが校長先生の花向けの言葉。
うちの娘のためだけに、丁寧にしてくださいました。
その中に校長先生が大好きな中島みゆきさんの「糸」の曲の話が。
なんと、そのワンフレーズを超美声で小さな校長室のミニ卒業式で熱唱してくれたのです。ゆっくりと、丁寧に。
心がこもったその花向けの言葉に、涙なしではいられませんでした。

式のあと「校長先生、今日何回歌ったのかね?」と娘と苦笑いしがら帰宅しました。

同級生のママ友に「卒業式で校長先生、糸歌った?」と聞いてみたところ、
「え?糸?歌ってないよ。なんの曲か忘れたけどオカリナ吹いてた。ちょっと下手くそだったのがほっこりしたw」と。

同じ言葉ではなかったんだ。
うちの娘のためにだけの言葉だったんだ。

改めて心に染みたのと、下手くそなオカリナ吹いた校長先生を想像して私もほっこりしました。
どんな言葉よりも、印象に残る内容。
愛情あふれていて、素晴らしいなと思ったのです。

ちょっと落ち込むことが続いた頃でしたが、校長先生の糸を聞いて「前を向いて進もう!」と私も気持ちが上向きになりました、この日。

夜。
帰宅した夫におひとり卒業式の一部始終を録画した動画をみせたところ、
「これは全世界に発信するレベルだ!」
と、日ごろクールな夫が興奮するほど。

娘が学校へ行かない選択をしなければ、この感動を味わうことができなかった。これはこれで有難い経験でした。


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