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【コント】無人の餃子販売店にて

半年ぶりのnote更新はまさかのコントネタ。

車の窓から餃子の無人販売所が見えて、その時に思いつきました。
はじめて書いてみます。

万が一使いたいと思う人がいたらお知らせください。(いねぇよ)

登場人物

【犯人】

リストラされてお腹が空いていたけどお金がない。
無人の餃子販売店から餃子を盗もうとする。
地味色のパーカーやスウェット。

【店長】

無人の餃子販売店の店長。初老の男性で長髪と髭を蓄えている。
エプロン姿。

・・・・・・・・・・・・・・・

深夜の無人餃子販売店に1人の男(=犯人)がやってくる。

犯人「リストラされて半年…とうとう俺もここまで落ちぶれてしまったか。しかし、この空腹には耐えられん…。」

犯人は辺りを見回し人がいないことを確認しながら店内に入り、冷蔵庫を物色し、餃子の箱を数箱取る。
店内の監視カメラを素早くチラ見(場所を確認する程度)した犯人は、ゴソゴソと料金箱に料金を入れるふりをする。

すると、けたたましいサイレンとともに赤色灯のようなライトが点灯し店内が真っ赤になる。

犯人「え!?わ!!なんだ!!!何これ!?やばいやばいやばい!!」

すると店の奥からエプロンをした初老の男性が笑みを浮かべながら登場する。

店長「あなた!」
犯人「はい!!すみません!申し訳ありません!つい、出来心で」
店長「お待ちしておりましたよ。」
犯人「え?」
店長「お待ちしておりました。」
犯人「すみません、こちらはお返ししますんで、何も見なかったことに」
店長「あなたのような方をお待ちしておりましたよ!!」
犯人「はぁ…!?」

犯人がしばし唖然とした後に店長が

店長「すみません、申し遅れました。私、無人餃子店”悪魔のいけにえ”の店長・カワハギと申します。」
犯人「名前怖いな!」

店長「無人餃子店に店長がいるっておかしいですよね。びっくりなさったでしょう?(てへぺろ)」
犯人「で、で、ですよねぇ。びっくりした。えと、たまたま集金に来ていたタイミングとかですか?本当に本当にすみません!」

店長「待ってたんですよ。」
犯人「え?」
店長「だからあなたのような方を待っていたんですよ。15年間。」
犯人「15年間!?」

店長「私、ずっと見てたんですよ。実は会社をリストラされてねぇ、この店を始めたんです…。あ、立ち話もなんですから餃子でも焼きましょうか?」
犯人「あ、いや結構です、お構いなく、お構いなくってのも変だけど。」

店長「実は勤めていた会社をリストラされた後に始めたのが、この無人餃子店”悪魔のいけにえ”だったんです。」
犯人「そうだったんですね…?」
店長「最初は僕の作った餃子が本当に売れるのかな?って不安でした。でも少しずつお客さんが増えて、料金箱の中の金額が増えていく度に少しずつ自信に変わっていったんです。」
犯人「うまく軌道に乗り始めたんですね…。(自分と比べて少々ため息まじりに)」

店長「でもね?うちのお客さんはとても良い人たちばかりで、全員が餃子のお代を料金箱にきちんと入れてくれるんです。」
犯人「すみません(小声で)」
店長「つまらないんですよ!!!!!!!!つまらないんですよ全然!!!!!善良な客ばっかりでつまらないんですよ!!!クソつまらないんですよおおっ!」

店長「毎日毎日善良な客ばかり!そこで僕は15年も無人餃子店と偽り!奥のバックヤードに潜んでモニターで監視カメラを確認していた!!!」
犯人「15年も!?もはや無人餃子店じゃない!」

店長「そう!!!ここは無人餃子店ではない。だけど善良で平和ボケした客たちは餃子のことばかり見て私のことなんか気づかない!」
犯人「バックヤードにいればな!客層めちゃ良いのに平和ボケんなんていうなよ。」
店長「退屈な日々を送っていた私…!しかし15年目にしてあなたが、あなたが現れたのです!私の退屈な日々をぶち壊してくれる人が!」
犯人「少女マンガのヒロインかよ!」

店長「あなた、監視カメラをチラ見してくれましたよね…(ドキドキ)」
犯人「してくれましたよねというか、見るでしょ!死角とか。」
店長「…はじめて目が合った…(トゥンク…)。はじめて私に気づいてくれた!」
犯人「少女みたいなおじさん嫌だ〜!」
店長「そして!さらに!料金箱にお金を入れるふりをして餃子を盗もうとするスリルを私に与えてくれた〜!!退屈な毎日よサヨウナラ〜!」
犯人「それは本当にすみませんでした!もう逆に何されるかコワイ!」
店長「餃子焼きましょうか?」
犯人「いえ、いりませんて!」

店長「しかし困りましたね。残念ですがあのサイレンと赤色灯が発動すると自動的に警察に通報が行くようになっています。」
犯人「ってことは。」
店長「私とあなたの楽しい時間はもうすぐ終わりです。(切ない目)」
犯人「(床にへたり込んで)俺の人生本当にここで終わるのか…。」

店長「…餃子、焼きます?」
犯人「…結構です…。」

店長「リストラ…されたんでしょ?僕と同じですね。」
犯人「本当に、本当に、お腹が空いていて、貯金も底をついて、お金もなくて…うう。出来心だったんです。」
店長「(犯人の肩を叩く)。」

遠くからパトカーのサイレンが聞こえてくる。

犯人「本当に、本当にすみませんでした。」
店長「…あなた、店長やりませんか?」
犯人「え?」
店長「あなたにはまだ未来がある。私は妻に先立たれ子供はいない独り身です。私を自由にしてください。(エプロンを外して犯人につけてあげる。)」
犯人「ちょっと店長さん、言っている意味が…。自由って?」

店長「(パトカーが到着し、店の外の方を見る)時間ですね…。」
犯人「店長さん…!?」
店長「店長はあなたです…。(両手を差し出して自首する仕草)私がやりました。」
犯人「あ、ううう。」

店長は犯人に全てを託し、満足げな表情を見せて警察に連行される。

犯人「…店長か。しっかり、しっかりしなきゃ。」

犯人は奥のバックヤードへ入り扉を強く閉めると「ガチャン!」と大きく鍵の閉まる音がする。

犯人「(声だけ)ああああああああああああああああああ!」

END

・・・・・・・・・・・・・・・

MEMO

無人の餃子販売所のセキュリティ対策ってどうなってるんだろうね?という旦那との会話から生まれたので取り急ぎ形にしてみました。
面白いかどうかは別にして、我ながらアイデアは良いのかなと思います。

善意とか良心とか日本人のことを信頼しまくっているからできる商売だけど、商品が入った冷蔵庫が簡単に開くのはガバガバだなぁと思ったり。

犯人がバックヤードで何をみたのか、鍵が閉まったのか、次いつ出て来れるかは内緒です。

素人が作ったので諸々の荒さには目を瞑ってください。
ではまた会う日まで。

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