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社会人のための学び直し数学【高校数学三角関数編その2】

2.三角関数の定義

 まず,中学数学の内容である三平方の定理を思い出しましょう。

図1

図1のような直角三角形 ABC において $${\mathrm{AB}=c}$$,$${\mathrm{BC}=a}$$,$${\mathrm{CA}=b}$$ とすると $${a,b,c}$$ について

$$
a^2+b^2=c^2
$$

が成り立つという定理です。
90° をはさむ 2 辺それぞれの 2 乗の和が 90° と向かい合う辺(斜辺)の長さの 2 乗に等しいというものです。この三平方の定理を利用して以下の特別な直角三角形の 3 辺の長さの比が求められます。

図2

正三角形 ABC を頂点 A から辺 BC に下した垂線で切ったときにできる
直角三角形 ABM,
正方形 DEFG を対角線 DF で切ったときにできる
直角三角形 DEF。
これらの直角三角形の 3 辺の間には,今後も使うことになる重要な関係が見出せます。
直角三角形 ABM について,$${\mathrm{AB}=2}$$ とおくと点 M は辺 BC の中点なので
$${\mathrm{BM}=1}$$ です。そして $${\mathrm{AM}=h}$$ とすると,三平方の定理から
$${1^2+h^2=2^2}$$ よって,$${h^2=4-1=3}$$ より $${h=\sqrt{3}}$$ です。
直角三角形 DEF について,$${\mathrm{DE}=\mathrm{EF}=1}$$ とおき,$${\mathrm{DF}=g}$$ とすると,
三平方の定理から $${g^2=1^2+1^2}$$ よって,$${g=\sqrt{2}}$$ です。
ところで,どんな正三角形もどんな正方形も,もとの正三角形やもとの正方形にそれぞれ相似な図形といえます。
よって正三角形や正方形を半分に切る,上述と同様の考えから,内角が 30°,60°,90° となる直角三角形の 3 辺の長さの比はそれぞれの角に向かい合う辺の順に $${1:\sqrt{3}:2}$$ となり,
内角が 45°,45°,90° となる直角三角形の 3 辺の長さの比はそれぞれの角に向かい合う辺の順に $${1:1:\sqrt{2}}$$ となります。

図3

 次に,座標平面上で三平方の定理を応用してみましょう。
数直線上の 2 点 $${x_1,x_2}$$ 間の距離は $${|x_1-x_2|}$$ と書くことができます。

図4

なぜ絶対値の記号 | | が必要なのかというと,$${x_1}$$ と $${x_2}$$ の大小を気にする必要がないからです。
図4のように初めから $${x_1<x_2}$$ と決まっているなら $${|x_1-x_2|=x_2-x_1}$$ として構いません。要するに,絶対値の記号はひき算の答えを必ず正の数として返すという意味があります。
また絶対値の付いた値の平方(2 乗)は,$${|x_1-x_2|^2=(x_1-x_2)^2}$$ のように絶対値を使わない形にできます。実数は平方すると必ず正の数になるためです。
座標平面上の 2 点間の距離はどうなるでしょうか。

図5

図5で 2 点 $${\mathrm{A}(x_1,y_1)}$$,$${\mathrm{B}(x_2,y_2)}$$ 間の距離を求めましょう。
図のように,直角三角形 ABH をつくります。
このとき AH は $${x}$$ 方向の 2 点間の距離から $${\mathrm{AH}=|x_1-x_2|}$$,
BH は $${y}$$ 方向の 2 点間の距離から $${\mathrm{BH}=|y_1-y_2|}$$ であり,
直角三角形 ABH で三平方の定理から

$$
\mathrm{AB}^2=|x_1-x_2|^2+|y_1-y_2|^2
$$

よって,

$$
\mathrm{AB}=\sqrt{(x_1-x_2)^2+(y_1-y_2)^2}
$$

となります。
ここで,$${(x_1-x_2)^2,(y_1-y_2)^2}$$ はそれぞれ
$${(x_2-x_1)^2,(y_2-y_1)^2}$$ としても構いません。
平方することで必ず正の数になり符号の違いは問題にならなくなるためです。

 いよいよ,三角関数の定義です。
座標平面上に半径 1 の円,単位円を描きます。後々紛らわしくなるので,ここでは座標平面を $${uv}$$ 平面とします。すなわち,横軸が $${u}$$ 軸,縦軸が $${v}$$ 軸です。

図6

この単位円周上に任意の点 $${\mathrm{P}(u,v)}$$ をとり,$${u}$$ 軸の正の向きに原点から始線を引き,原点 O と点 P を結び動径とします。そして動径 OP が始線とつくる角を $${θ}$$ としたとき

$$
u=\mathrm{\cos} θ,v=\mathrm{\sin} θ
$$

と定義するのです。
要するに,単位円周上の点の座標が $${\mathrm{\cos} θ,\mathrm{\sin} θ}$$ だということです。よって,図6は描き直すと

図7

となります。
ところで,単位円周上の点と中心との距離は,円周上の点がどこにあっても必ず半径 1 と等しくなるので,

$$
\sqrt{(\mathrm{\cos} θ-0)^2+(\mathrm{\sin} θ-0)^2}=1
$$

すなわち

$$
\mathrm{\sin}^2 θ+\mathrm{\cos}^2 θ=1
$$

が成り立ちます。とても重要な関係式です。
また $${\mathrm{\sin} θ,\mathrm{\cos} θ}$$ は実数ですから,その平方は正または $${0}$$ となるので $${\mathrm{\cos}^2 θ=1-\mathrm{\sin}^2 θ≧0}$$ から

$$
-1≦\mathrm{\sin} θ≦1
$$

です。同様に

$$
-1≦\mathrm{\cos} θ≦1
$$

ですが,$${\mathrm{\sin} θ,\mathrm{\cos} θ}$$ が単位円周上の点の座標なので,図形的にも当然の結果です。

 それでは具体的に,$${\mathrm{\sin} \cfrac{π}{3},\mathrm{\cos} \cfrac{π}{3}}$$ の値を求めてみましょう。
単位円周上で $${u}$$ 軸の正の向きとなす角が $${\cfrac{π}{3}}$$ となるような点 Q の座標が

$$
\mathrm{Q} \left(\mathrm{\cos} \cfrac{π}{3},\mathrm{\sin} \cfrac{π}{3}\right)
$$

です。
すると原点 O,点 Q,点 Q から $${u}$$ 軸に下した垂線の足 H を結んで,図8の様な直角三角形 OHQ ができます。

図8

また,$${\cfrac{π}{3}=60°}$$ なので,先の特別な直角三角形の辺の比から

$$
\mathrm{\cos} \cfrac{π}{3}:1=1:2
$$

$$
\mathrm{\sin} \cfrac{π}{3}:1=\sqrt{3}:2
$$

が成り立つので,$${\mathrm{\cos} \cfrac{π}{3}=\cfrac{1}{2},\mathrm{\sin} \cfrac{π}{3}=\cfrac{\sqrt{3}}{2}}$$ と求められます。

 最後に,三角関数 $${y=\mathrm{\sin} x,y=\mathrm{\cos} x}$$ について再度その定義を整理しましょう。
座標平面上に原点 O を中心とする半径 1 の円(単位円)を考え,その円周上の点 P と原点 O を結んでできる動径と横軸の正の向きのなす角を $${x}$$ とする。このとき点 P の横軸の値が $${y}$$ なら $${y=\mathrm{\cos} x}$$ であり,点 P の縦軸の値が $${y}$$ なら $${y=\mathrm{\sin} x}$$ である。つまり角度 $${x}$$ の変化にともなう,円周上の点の横軸の値の変化の様子を表す関数が $${\mathrm{\cos} x}$$ であり,円周上の点の縦軸の値の変化の様子を表す関数が $${\mathrm{\sin} x}$$ であるということです。

練習問題 $${\mathrm{\sin} \cfrac{π}{4},\mathrm{\cos} \cfrac{π}{4}}$$ の値を求めよ。


【答】$${\mathrm{\sin} \cfrac{π}{4}=\cfrac{1}{\sqrt{2}},\mathrm{\cos} \cfrac{π}{4}=\cfrac{1}{\sqrt{2}}}$$


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