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霊能者が語る 妻とのあの世日記 第30回 「妻の霊を連れ帰れるのか?」

妻との対話、という感じで話が進むところですが、特に山も谷もない話なので物語としてはかなり希薄な感じがありますが。
会話はいつものバラ園で、アフタヌーンティーセットが目の前に並んで、メイドさんと執事のような人が背後に立ってお世話してくれる空間で話をしてるイメージです。
メイドさんと執事のような人はヘルパーというかエキストラというか、妻のイメージする「お茶を出してくれる人たち」の姿を模している、肉体を持ったことのないあの世の住人の人たちです。


「イザナギイザナミとかダンテの新曲みたいにもっと盛り上がりはないのかね?」
「死んだ妻を迎えに行ったら色々事件が起こる系の話?オルフェウスみたいになりたいの?」
「酒の席でバラバラ殺人事件にはなりたくないね、そもそもなぜにああいう話は振りかえったらいけない、って話になってると思う?」
「なんでそんな話するのよ」
「普通、後ろから妻が来てないかと心配して振り返るやろ」
「それを見越して黄泉の国の人が罠を仕掛けたんでしょう」
「ああいう話は死んだ身としてはどう思う?」
「その話重要?」
「いや、割と興味深いと思うけど」
「あなたの興味深いは多くの人からは「どうでもいい」話が多いのよ」
「多くの人の興味を惹く話とかより、自分の好奇心のが大事やが。大体薄くて軽い話はたくさん世の中に出回ってるけど、マニアが求めるのはディープな部分やが」
「マニアにしか受けないと自覚してるのね」
「一般受けは諦めた。で、もしも僕が迎えにきて連れて帰るという形で展開する場合は実際どうなん?」
「連れ帰るつもり?」
「可能ならね」
「無理よ、骨になってるじゃない」
「妻が小学生になって帰ってきた漫画知らない?」
「知らない」
「なんか無料で読める期間があったのでちょっと数冊読んでみたけど、あんな感じで近い人の中に入ってくるとか」
「外見違うじゃない。それに、その入れ物になってる人はどうするの」
「よくある転生ものとか、なろうである異世界転生とかだとその肉体の持ち主は既に一度死んでいて、という話になるね」
「だったら、その人の魂戻してあげた方がいいんじゃないの。知らない人の魂とか入っても体が受け付けないし」
「あ、そういうもんなん」
「霊体は体に食い込んでる感じなのは知ってるでしょう?骨になってもそこに繋がってるのも」
「エーテル体、と人には話すけど肉体との強いつながりを持った状態で霊体は存在してて、死後は肉体の重石がなくなるので軽くなって自由になる、そんなイメージかね。
記憶も個人情報もデータと考えるとその霊体がデータを持ってて、肉体は iPhoneとかスマホみたいなもので。iCloudみたいにあの世の霊体がその人のデータ持ってるから合うスマホ持ってきたらデータ入れて復活できそうな気がするけどね」
「型番が合わないと難しいでしょう」
「iPhone3GとiPhone14の違いみたいなもんかね」
「今のアプリ昔のじゃ使えないでしょう?今持ってる昔のiPodで今のと同じように使える?」
「容量がまず足りんし使えんし、サポートが終わっとる」
「それと同じよ。霊体連れ帰ってきて、合いそうな体に突っ込んでもうまく動かなくて余計に変なことになるわ」
「つまりあの世から妻の霊体を連れて帰ってきて、合うからだに入ってもらうという計画は難しいというわけね」
「最初からそういうの考えてないでしょう」
「中身が一緒でも見た目が違うならねぇ。でも憑依してそれっぽくするのはできるんやろ?」
「できないことはないけど、そこまでする必要ある?」
「僕はないけど、ほら霊的に感覚が薄い人とかの場合」
「誰かの体を借りて私の言葉を伝えるというやつね、それはやるかも」
「完全コントロールではないんだ」
「その人に隙がないと、あと相性もある」
「じゃあお姉さんとか近しい人だとどうなん?」
「他人よりしやすいかも」
「カモってことはやったことはない」
「まだそんな必要ないし」
「大体があまり身内の今後とか考えてないやろ」
「普通に心配してるわよ、あなたと違って。ちょくちょく出向いてる話してるでしょう」
「それらはiCloudからアプリのバックアップを落とし込んでるような感じなんやろ?本体はあの世クラウドに存在してるという感じで。
そう考えると、イザナギイザナミの話もオルフェウスも、本人じゃなくてコピー情報を持ち帰るという話にしてたら成功した可能性もあるわけか」
「そんなの昔の人の概念にないわよ」
「さっきの話で考えるなら、本人の霊体コピー情報を合う肉体に入れ込むのは難しいと言われたけど、その一部をたとえばiPadとかiPhoneとかに入れることはできるんかね?」
「私の霊体を電話にくっつけるってこと?できないことはないかもしれないけど、なんの意味があるの」
「たとえば、霊界通信をしたいと一般の人が思うとするやん、その時にいわゆる霊能者を通じてしかなんか通信できんやろ?
でもその霊体を地上の人間の霊体を使ってコピペしてこの世の人間に繋がることやってるなら、その霊体をスマホの霊体にくっつけてしまえば、そのスマホを持ってる状態になったらあの世の身内に繋がりやすくなるとか、そういうのできそうじゃない?
あと霊界通信がたまにくるとか」
「それ怖くない?」
「まあ夜中に急にスマホが鳴って、相手が死んだ人だったら怖いかね」
「じゃあやる意味ないじゃない」
「ただ、理屈がわかるなら、それを応用してもっとあの世の人との繋がりを一般の人ができる方法、とか作れるんじゃないかと思うけどね」
「それがデジタル機器なんだ」
「霊的な波長とデジタルは相性いいからね」
「それあなたの意見でしょう?」
「見えない世界からの情報は割と迷惑メールとかからやってくるから、デジタルデータを通じての霊界通信的なものができればいいなと思ってるよ」
「それらは黄泉の国から妻を連れ出そうとするオルフェウスの現代版みたいな話になるのね」
「で、なんで振り返ったらいけないのか、そこがわかると理屈的にうまくいけそうな気がするんだよね」
「信じてないから、じゃないの?」
「信じてない」
「振り返らなくても確認しなくても「確実についてくる」が信じられてたら振り返らないことない?たとえば私と観光地行った時に、私がついてきてないかと何度も振り返ったりする?」
「しない、大体前歩いとるがな」
「たとえばよ」
「来てるのが当たり前、と思うと振り返らないかな?」
「その辺の気持ちじゃないの?相手が来ることが信じられる状態が必要とか?」
「うーむ、そうなると、このデジタル機器に妻の霊体を繋げてみようプロジェクトの場合は、それが確実に可能であるという僕の信念が重要ということか」
「そんなとこじゃない?でも物語的には失敗した方が盛り上がるわよ」
「そういうのは求めてないし。うーむちょっと面白そうなのでイザナギ計画かオルフェウスプログラムか、そんな名前つけて取り組んでみると面白そうやね」
「どっちも失敗してるじゃない」
「そうだった。名前考えないと」

ということで、あの世からこの世に繋がる手法について、いくつか妻からの話を聞いてきてるので。
その辺を応用することで何かあの世との霊的なルートを拡張するやり方などもできそうな気がしますところ。
デジタル機器に封入するのは半分冗談ですが、デジタル機器を使ったあの世とのルート作りについては、過去には仏壇や墓参りということで行っていたことをスマホに置き換える形になりますかね。
そうなると、アプリ作ると繋がれるのでは、とか怪しい方向にどんどん展開しますが、ちょっとこの辺はまだ妻とのあの世探索を進めた上で考えてみたいところです。
しかし、怪しい話になってきておりますが。

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