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【わざと赤字にして節税】そんなことしてたら会社は強くならない

私より二回りほど年上の経営者の方々は、法人税を嫌う傾向がある。
法人税を払うくらいなら、個人の所得にした方が良い。
つまり、役員報酬を限界まで高くするということだ。

たしかに、会社に多くの資産を残すと相続の時に高利率の相続税が掛かってしまう。
そんなことになるくらいなら、役員報酬を高くした方が良いという考え方はある。
年収1000万を超えた辺りからは、個人の所得税の方が税率は高いのだが、、、。
まぁ、今回はこの件は割愛する。

私がどうしても違和感を覚える経営者の言葉はこれだ。
「税金を払いたくないから意図的に赤字にしている」というヤツだ。
このセリフは、決まって「経営や財務に自信があるように思える顔」で発せられる。
しかし、有識者には「自分が無知であることをお知らせするセリフ」と認識される。

もちろん、一時的な経営状況で赤字を受け入れるという判断はある。
ただし、稀のことだ。
赤字の会社は基本的に毎年赤字であることが多い。
逆に、黒字の会社は基本的に毎年黒字であることが多い。
普段は黒字の会社が赤字になった時に「欠損金の繰戻し」を申請して、払った税金が還付されるのは魅力的だが、そればかり狙っていては、赤字と黒字を右往左往するだけで意味がない。

節税対策をして赤字をつくれるのか?
答えはノーだ。
経営セーフティー共済のような節税対策に有効なものは数も金額も限られており、黒字が連続する企業はすぐにその枠を使い果たす。

決算前に大量の経費を使って赤字をつくれるのか?
答えはノーだ。
耐用年数合わせた減価償却をしなければならない、決算期内に消化しなければならない、その他そうそう簡単に損金としてその期の経費にはさせてくれない。

そもそも節税対策をするためには、現金が必要となる。
現金を使うと、会社の持っている現金は減る。
現金が足らないから、銀行から借りる。
節税をし続けるには、これしかない。
基本的には、税金を払ってでも現金を会社に持ち越さないと会社の資産はマイナスになる。
価値の少ないものを節税対策で買い込み、会社の現金を減らすなど、目先の税金に目が眩んでいるとしか思えない

要約すると以下の通り。
「黒字体質の会社が正しい経営判断をすれば、どうやっても赤字にはなれない」

逆に「意図的に赤字にして税金を避けている」という人が経営している会社は、そもそも赤字体質なのだろうと推測される。
そして、おそらく厳密で正しい会計処理をしていないだろうと推測される。


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