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タレントのサブスク

ここ数年「タレントのサブスク」の営業メールが多い。
最初は2社程度だったタレントサブスク会社が最近では随分増えたように思える。

一度、話を聞いてみたことがある。
金額は年間数百万。
たしか、300万くらいを提示された記憶がある。
ここだけ見ると、たしかに安い。

しかし、自由な企画、自由な構図で撮影した写真を使えるわけではない。
あらかじめ用意されたタレントの写真素材を提供されるようだ。

中小企業にとっては、使いやすいかもしれない。
乱雑にまとめると「低価格でタレントの写真を使う権利を買う」というものだ。

実際、ネット上で名の知れない会社がタレントの写真を採用していることが増えた。
そのタレントの写真を見て、好感を持つユーザーも多いのかもしれない。
「莫大な広告費を使える会社」のように見せかけることができるのかもしれない。

とにかく、中小企業で積極的に活用している会社が爆増中だ。

ところで、そのサブスクの中に登場するタレント側はどのような気持ちなのだろうか?

――― タレントの安売り?

そう捉えてしまう人は、私だけはないはずだ。
タレント自身にもそう捉えてしまう人は一定数いるはずだ。
タレント事務所の戦略であれば、ノーと言えないかもしれないが。

実際には、タレントのサブスクは、タレントにとっても利益は大きいはずだ。
一度にまとめて撮影した写真の利用権を複数の会社に販売するからだ。
しかし、従来は「高く売る」というのがセオリーであったのが「薄利多売」な方向へ舵を切ったことは間違いない。

おそらく、タレントと言う職業の人たちは、今、激動的な時代の中にいるのではないかと推測している。
もちろん、ネット、特にSNSの影響だ。
テレビCMとは世界腺の異なる「広告市場」が膨れ上がり、予算の出所が変わってしまった。

インフルエンサーと呼ばれる人たちは、動きが軽い。
最初は個人芸能事務所レベルからはじまった。
しかし、やがてインフルエンサーが集まる事務所が出現する。
そして、従来の広告市場を主戦場としている人が苦しんでいる。

タレントも芸能事務所も変わることができる。
優秀な人たちは、とっくに動き出している。
その一つが「タレントのサブスク」だろう。

しかし、気になることがある。

――― テレビ局はどうする?

テレビ番組を少し見るだけで、確実に番組予算は減っていることが分かる。
タレントも他の仕事に流出しがちだ。
大手動画ストリーミングサービスの体制は、完全に整っている。
ここから巻き返すのは、想像を絶する偉業と言える。

残念ながら、最近のテレビ局は不祥事が多い。
正確に言うと、不祥事を隠し切れなくなってきている。
これは完全にある種の力が衰えていることを意味する。

さらに気になることがある。

――― 地上波はどうなる?

テレビ局というシステムが成り立たなくなった後、地上波というインフラはどこに行くのだろうか?
誰が、どのように使うのだろうか?

私はこの点が気になっている。
まずは、ラジオ局の行く末から見守るべきか。


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