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地方無名企業の広報として働くときに後悔しないための10の心得

こんにちは!株式会社丸信グループで広報を担当する田中(@marusinofficial)です!最近、採用兼務となりましたが、引き続き、広報についてもがっつり携わっていきます。
弊社は、地方のBtoB企業なので、なかなか社名が表に出ない、全国的にも地元的にも無名企業。広報専任となって3年半が過ぎましたが、改めて地方の無名企業で広報をすることの難しさや注意点みたいなものを考えてみました。

1.記者クラブが遠い

地方都市の中でも県庁所在地にオフィスがある会社ならこの問題はありませんが、それ以外の町だと"記者クラブ遠い問題"はじわじわ効いてきます。
弊社のある久留米市にも市役所に記者クラブがありますが、記者が常駐していないタイプのクラブ。投げ込みを行う場合は、市長の定例会見で記者が集まる月初を狙うか、それ以外は記者が常駐する福岡市政記者クラブへ出向きます。
福岡市役所まで車で1時間、往復2時間。道が混んでないことと、近くのコインパーキングが空いていることを祈りながら、ハンドル握ってます。やっぱ遠いな〜。

2.記者と仲良くなりがち

元マスコミ人としては、記者と広報は一定の距離感を保つのが理想です。報道として中立・公正を保つためにも仲良くなり過ぎは禁物。
ただ、地方の企業は、情報発信頻度の差が大きく、広報活動をしていないところが圧倒的に多い中で、弊社のように些細な出来事まで何でもかんでも発信する企業の広報は、記者との接点が多くなり、どうしても記者と仲良くなりすぎる傾向に。関わる記者さんがみんな温かいのでそれにも甘えがち。
でも、そうなったとしても、企業側としては仲の良い記者のいるメディアだけでなく、どのメディアにも平等に情報発信することが求められます。

いつも仲良くしていただいてありがとうございます

3.地元メディアの影響力

新聞やテレビといったいわゆるオールドメディアの影響力が小さくなっていると叫ばれていますが、地方では地元紙・地元局の影響力はいまだに残っています。
発行部数やテレビ視聴者数は減ってはいるものの、地元有力紙や地域密着番組で会社が紹介されると、翌日には多くの取引先や関係者から「見たよ!」との反響があります。
最近では、テレビ放送を見た人から求人の応募があったり、デザインの引き合いにもつながりました。あとラジオも結構強い。

4.全国紙・キー局が遠い存在

プレスリリースなどメディアへの情報提供は主に所在地の県にあるメディアが対象。だから取り上げられたとしても基本的には地方紙や地方局どまり。
多くの企業広報が目指すWBSなど全国キー局などにアプローチする機会や術がなく、地方での発信にとどまっている以上、全国紙・キー局は日に日に遠い存在になってきた気が。いつの日か全国的に報道されることを願いながら、日々業務に励むのみ。
そろそろ出たいぞ。

物理的にも心理的にも広報的にも距離を感じる

5.守備力が養われない

大手企業や有名企業であれば、報道関係者の方から常にアプローチがあるため、一般的には守りの広報が大事だと言われています。守りの広報とは、会社や製品・サービス等に対してネガティブ報道をさせないための対策を取ったり、事故や不祥事による危機管理広報なども。
無名企業はそもそもスタート地点で認知度が極めて低いため、何もしなければメディアから注目されることはなく、ネガティブ報道になることもない。攻められないので守りようがない。よって守備力は養われません。
ボールポゼッションが高い強豪サッカーチームのGKと同じ気持ちでしょうか。

6.攻撃力が問われる

一方で、地方の無名企業の広報にとって大事なのが攻めの広報。何もしなければ、待っててもどこのメディアからも取材依頼が来ることはありません。
メディアが興味を持つネタを社内で探し出し、適切に情報を加工して発信していく。時には記者クラブや媒体社に突撃して熱く語ってみたり。これをひたすら繰り返すのみ。シュートを打って打って打ちまくる、この攻めの姿勢が地方無名企業の広報には必要。ここで遠慮したら地方無名企業の広報は務まりません。
ただ、打ったシュートはせめて枠内には飛ばしたいところ。

枠内に飛ばす=伝える、ということです

7.地域に広報専任がいない

じゃあ、攻撃力を学びに近所の会社へ! トントン、すみませーん、広報担当者いますか?と訪問したとしましょう。「広報?うちは社長かな???」「営業の〇〇さんが兼務?」「広報って何ですか?」--、そんな返答が聞こえてきそうなほど、地方で広報専任者を配置している企業は極めて少ないです。
だから広報担当者を集めた交流は難しく、人伝にリアルな広報ノウハウを学ぶこともできません。また、自分の広報活動が成功しているのか、それともう上手くいっていないのか、社内にも近所にもそれを判断できる人や指標がないのも悩みの種。

8.帰りに気軽に飲めない

地方の中でも県庁所在地以外は多くが車社会。車通勤で帰りに同僚たちと飲みに行こうとすると、《一旦帰宅してバスでお店に向かう》、《車でお店に行って代行やタクシーで帰り、翌日に車を取りに行く》、《会社に車を置いてお店に行き、翌日に家族に会社まで送ってもらう》など。つまり、そこそこ計画的でなければ飲みに行けないんです。
退勤時間がたまたま一緒になった同僚と「一杯どう?」みたいなノリで駅前のPRONTに行ってた電車通勤時代が懐かしい。
ただ、お酒は飲まなくても気軽に集まって小1時間交流するくらいのフットワークは持っていたい。

9.電車通勤には戻れない

20年来、片道1時間以上の電車通勤をしてきた人間が、突如、車通勤になり、しかも片道10分って。昼休みに帰宅できるので、子どもが夏休みとか強制帰宅。定時18時だけど19時まで残業しても帰宅は19時10分。車に毎日乗るのに近すぎてガソリン代が大したことない。
車通勤だと自ずと駅近に住む必要がなくなるので、家賃や地価が安いエリアに住むことも可能。そんな地の利を生かして、建屋と納屋と畑を備えた200坪以上の激安古民家に住んでる同僚がいたり。
通勤中に本を読んだりブログを書いたりできないけど、一度、この距離感を経験すると、二度と電車通勤には戻れません。

ご覧の通り車がないと生きていけない

10.自社だけでなく地域㏚も

これからも地方を本拠地としていく以上、今後の人材不足を見据えたとき、1社だけが生き残ることはありえず、地域全体が発展して、できることなら人口も増やしていかないと、会社にも地域にも未来はありません。
だから、地方企業の広報は自社の㏚だけでなく、地域イベントや観光スポットなど地域の㏚も行うことが求められます。会社だけでなく地域のことも好きな人、そして、それを積極的に発信できる人が、地方企業の広報としては適任です。
どうやら、私は地方企業の広報に向いてるようです、よかった。

以前書いた地域PR記事はこちら→ 救急車が日本一速い町!? グルメだけじゃない!「福岡県久留米市」が暮らしやすい理由(WANTEDLYストーリー)

会社の魅力とあわせて地域の魅力も発信

さいごに

都市部に比べて地方は広報発信力が弱いと言われていますが、裏を返すとメディアで取り上げられていない魅力がまだたくさん眠っているということ。これを一つずつ掘り起こしてメディアに提供していくことが、地方広報では大事ではないかと思います。
都市部に比べて不便なことも多いですが、そろそろ地元に帰ろうかな、とか、食べ物がおいしい福岡への移住ありかも、とか、都会生活に疲れたよ、とか少しでも頭を過った人は、広報という仕事に限らず、地方勤務や地方移住のご参考にされてください。

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