会社にシニア人材が増えるとワーママも働きやすくなる

5年ぶりに仕事に復帰したら、会社の高齢化がさらに進んでいた。

知ってる顔ぶれを見て、この人まだ会社にいたのか!何歳だろう?と思って社員名簿をみたら再雇用の時給労働者であることに気づいた。いつのまにか定年となりシニア人材に切り替わっていたのだ。そしてそういう人がゴロゴロいる。

私が配置された部署は、40代後半の上司のもとで色んな年代の人が総勢30人くらいいて、女性社員が半数いることはもはや意外性はないのだけれど、若手社員と呼ばれる年代の人数より再雇用のシニア(60-64歳)の人数が多いことにはさすがに驚いた。これは日本の縮図なのか。

管理職はシニア採用の人たちへ仕事を与え、部門全体のチームワークも支え、そして人事考課もする必要がある。シニア採用は時給制だが、評価によって時給があがるようだ。彼ら彼女らの中には健康上の理由からフルリモートを希望している人も一部いる。(その人らと私は未だにZoom上でしか会っていない)シニアの方々は言うまでもなく、残業もしないしフレックスをよく活用している。老眼も進み、眼鏡又は老眼コンタクト(そんなものがあるとは知らなかった!)を付けて仕事をしているが、長時間は辛いと言っている。かつてワーママにマミートラックという言葉があったが、同じようにシニアにあてがわれる仕事は単純労働が昔は多かった。でもシニア人口は増えすぎて今は現役世代と同じ部署で同じくパソコンに向かった仕事をしている。少なくとも私の会社では。生産人口は不足の一途である。

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意外だったのがシニアであろうとプロフェッショナルに仕事をしていることだ。若手に頼ろうとはしてこないし、淡々と責務をこなしている。

正直、10年前の私のイメージでは50代の社員は全体的に苦手だった。役職がある人はバブリーな時代感覚で話が合わないし、役職のない人は仕事がとにかくできないので、若手はこき使われていた。なのに給料が年功序列で高いのが不満だった。うんざりしながら産休に入って、長期間育休を取った。
たかが5年、されど5年経ち、私が知らない間に日本もとい会社内も進化していた。
シニア再雇用組は謙虚で働き者だ。非正規雇用のような待遇だからクビにならないように必死なのだろうか?それとも若手社員に嫌われないように必死なのだろうか。現役時代に比べて1/3ほどの手取りだそうだが、それでこの働きぶりなら会社としては願ったりかなったりだろう。安月給で良いように使われるのは若い女性社員だけではなかったようだ。意欲のあるシニア人材は助かるし、意欲がなければ契約更新しなければいい。

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育休から仕事に戻るとき、「時短希望ですか?残業できますか?家族の協力はありますか?」と人事部との面談で聞かれてとても嫌な気持ちになった。これらは子供がいる男性は聞かれない質問で、育休明けの女性だけに「家族の協力は?」と質問するのはいかがなものかと思う。そもそも残業ありきの考え方なのがよくないし、働き方を考慮してほしいと思う女性は自ら言うだろうけど、会社側から聞いてくるのがなんとも胸糞悪い。子供がいようといなかろうと残業したくない人はいるし、有休だって本来は自由に取れるべきである。繁忙期でなければ理由も問われる義理もない。まずシニア採用に、似たようなことを聞いたのかい?

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2025年にはバブル時代に入社した人たちが60代へ突入するが、同年4月は法律で雇用延長が義務化される年でもある。つまり定年が延長されることになる。再雇用と違って給料が高いかもしれないが、嫌だなぁと思っていた上の世代がどんどん年を取っていることに気づかされ、あと4年もすれば、「フルタイム残業ありで意欲的に働ける」人材の方がマイノリティになってくるんじゃないかとすら思えてきた。そのころの管理職は、私と同年代の人になってくるのかもしれないが、きっと我々世代も好んで残業はしないだろう。

定年延長になると待遇が再雇用より多少良くなるだろうし、会社はお給料を出すために若手からまた搾り取るかもしれない。しかしお金はさておき、働き方改革にシルバーデモクラシーの「大きい声」は効果的ではないか。ワーママが何十年も泣き寝入りして諦めていた道が、意外な味方のもとで開かれたように思えた。「テレワークで回る仕事ならばなぜ出社する必要があるんだ」「(年寄りだからコロナ感染が心配なので)在宅にするよ」「こんな安い給料じゃ、残業なんてできないよ」「仕事以外に楽しみを見つけないと、老後大変だぞ」

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自分がマジョリティに属すると、気分がいい。自分が不満に思っていることはだれかしら代弁してくれる。おそるおそる助けを求める必要もない。堂々と権利を主張できる。

私は幸いにもテレワーク可、フレックス可の仕事なので、時短でなくフルタイム残業無で過ごしている。シニア採用の人と、仕事や管理職の愚痴を言うのも楽しい。

ワーママはついにマジョリティになった。