「あれ？ギターなんて弾くの？」
初めて家に連れてきたケイジ君に聞かれて
何気なく置いていた前の彼氏のハル君が置き忘れていったギターの存在を思い出した

高校時代の学祭の夜
皆で行った打ち上げのカラオケ屋さんのトイレの前の
「学祭も終わったし、付き合う？」って
ロマンティックもクソもない適当な告白に
当時の私はときめいてしまった。

それからなんだかんだで3年間
楽しい事、辛いこともあったけど
最後はハル君の浮気で喧嘩になり
私の「出ていけ！」のひと言で
呆気なく別れた。

置いていった荷物を着払いで送れと言われたが
ギターだけは箱には入らず
送るのも面倒くさいのと
もしかしたら

もしかしたら、取りに来るかも
会いに来てくれるかも。と想いながら
2年が経つ頃
ギターの存在を認知した。

もうすっかり昔の思い出になっていた
はずなのに
ふとしたきっかけで思い出した記憶が
ダムのように溢れ出て
いつの間にか涙が溢れていた。

「春ギター」

春くん。元気でいてね。幸せに。

おしまい(410文字)

コチラの企画に先週から参加してます。
どーやってまとめようか考えるのが
とても楽しいです。
誰かのお気に入りの記事になれるよう
拙い文章ですが楽しく描いてます
宜しくお願いいたします