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現代アート「My fair prisoners!?2」における「創造」さんの調書とエッセイ

           RECORD

NO.20034181458

NAME:創造

SEX: 男

BIRTH DAY: 1947・7・11

IMPRISONMENT: 57 YEARS

BORN: 浜名郡鷲津町

MUSICIAN: 小原(クラシックギター)、タレルガ

MUSIC: アルハンブラ宮殿の思い出

MOVIE: 海底二万マイル

PASTIME: 学生の時、近くにあったイチゴ畑へ昼間偵察に行き、夜忍び込んで洗面器一杯にして一人で食べて腹を壊した

HAPPY: 目的達成

MAD: アメリカ

SAD:  家族

FUN: 大成功

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「創造」さんのエッセイ

 今現在「創造」は会社を経営している。一昨年の12月6日、大動脈乖離という難病を患った。医者に大病だといわれベット上での生活をしばらくの間送ることになる。同じ病室で懇意にしていた人たちが、次々とこの世を去ってゆく。自分も近い将来同じように去ってゆくのか?改めて死を思い返した。臨死体験の話などからある結論に至る。例え肉体が朽ちようが、自我の痕跡はかならずどこかに残るのではないだろうか?空間になんらかの作用を及ぼすのではないだろうか?

 国家的な宗教規律の薄い日本では、宗教という言葉自体が曲解されているような気がする。宗教観とは『死生観、死という決して免れることの出来ない事実の受け止め方』だと思う。

 しかし一番最初に頭に浮かんだことは、自分自身に降りかかった死の恐怖よりも家族のことだった。息子が結婚しオーストラリアへ行くことが決まっている。もし自分がこの世を去ることになったら仕事を引き継いで欲しい、たとえ拒否されてもその思いだけは伝えたかった。その息子の奥さんとなる人は香港女性。入院する数ヶ月前に日本で白無垢を着て、今度は香港で民族衣装を着る予定だった。しかし自分が入院してしまったために、それをやることができなくなってしまった。その申し訳なさから、自分の思いを素直に伝えられずにいる。死から脱した今、そのことが一番気にかかっている。

その日がいつになるのか。彼は今新たな何かを『創造』している。

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以上「創造」さんの場合でした。

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