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スクラム・OKR・ホラクラシーによるデータサイエンスチームの運営方法

Ubieの2020アドベントカレンダー5日目の枠です。Ubieのデータサイエンスチームの取り組みについてご紹介できればと思います。

イントロ

Ubieのデータサイエンスチームは、2020年に社員が2人から8人へと増えました。チームとしてデータサイエンスのプロジェクトを進めていく上で、目標管理にOKR、開発プロセスにスクラム、フラットな組織実現のためにホラクラシーを導入して試行錯誤しながら生産性をあげようとしています。チームにマネージャーは存在しておらず、メンバー一人一人がアイディアを出し合って運営方法を改善しています。この記事で紹介する内容もチームで取り組んできたものになります。
この記事では、具体例を交えつつどのようにデータサイエンスチームがプロジェクトに取り組んでいるかを失敗談を含めご紹介できればと思います。この記事が、データサイエンスの業務に関わるエンジニアやPOの方にとって、何かしら1つでも、日々の業務に役立てば幸いです。

Ubieのデータサイエンス業務

Ubieは、ユーザーの持っている症状を深掘りし、そこから病気を提示する技術を用いて、「世界中の人々を適切な医療に案内する」というミッション達成を目指しているスタートアップです。データサイエンスチームは、医師・機械学習エンジニア・データエンジニアと3つのロールのメンバーで構成されています。OKRを用いた目標の立て方、スクラムやホラクラシーでの開発やチーム運営について解説していきます。

OKR

OKRとは

OKRは「Objectives and Key Results」の略称で、達成目標(Objectives)と主要な結果(Key Results)を定めたものです。会社内のあらゆる組織が最も重要な課題にフォーカスして全力で取り組めるようにするための目標管理方法の1つです。
Ubieでは、全社OKR、チームOKR、個人OKRを各期ごとに策定してます。各チームがボトムアップ的にチームのOKRを作った後に、経営陣とアラインしています。
Measure What Mattersを参考に「Objectivesが多すぎない」や「Key Resultsが測定可能」などのチェックリストを作成しており、OKRを作るときにはそれを確認しています。

データサイエンスチームでのOKR

データサイエンスチームでは、まずメンバー1人1人が来期のOKRの案を作成して、それを持ち寄ってOKRを定めています。
例えば、今期のOKRの1つは「△△の精度を〇〇%以上にする」というものです。Ubieでは、独自のOKR管理ツールを内製しており、毎週そのツールを見ながら進捗を確認しています。Key Resultsは計測可能な目標にしているため、達成度が△△%という数値で確認ができます。進捗が芳しくないときは、その原因を議論したり、計画を見直したりしています。

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また、毎月1回、OKR運用が上手くいっているかのプロセスチェックもしています。メンバーに対して、「OKRがあることで、本当に今やるべきことに集中することが促されますか?」や「OKRがあることで、チームの活動が全社の目標にも貢献できていることが感じられますか?」などをアンケートで聞くことで、OKRが正しく機能しているかを確認し、問題があれば改善していくようにしています。

過去の失敗では、Objectivesが多すぎて、集中ができずに、どのObjectivesの進捗もよくありませんでした。他にも、他チームの結果に依存するようなObjectivesにしてしまったことで、自チームでやるべきタスクがなかなか生まれず、進捗を加速させられませんでした。

試行錯誤しながらOKRを運用していますが、全社員の目線が同じ方向に向いていて、適切なタスクが生み出されて、着実に進んでいることを実感でき、日々OKRの良さを感じています。

スクラム

スクラムとは

価値の高いプロダクトを生産的かつ創造的に届けるためのプロセスフレームワークです。チーム内の約束事を定めた「ワーキングアグリメント」の策定や、デイリースクラム(朝会)、スプリントプランニング(計画)、スプリントレビュー、レトロスペクティブ(振り返り)などのイベントを実施します。

データサイエンスチームでのスクラム

データサイエンスチームでは下記のようなワーキングアグリメントを策定しています。

1. 心理的安全性
- 推奨される具体の行動
    - 提案をしたり、良いコードを書いたら、みんなで褒め合う。
    - 常に相手に敬意を払う。メンバーに興味を持つ。
    - Slack や Pull Request で攻撃的な言葉は使わない。常にポジティブ。
    - 専門分野に限らず、事業や経営などなんでも気づいたことを率直に言い合う。
- 理由
    - 皆気持ちよく働けるようにするため

2. ATI(圧倒的当事者意識)
- 推奨される具体の行動
    - 自分のタスクには必ず自分の意見を持ち、「こうしようと思うけどどう思う?」というコミュニケーションをとる。
    - 粛々と作業を行うだけにはならない。問題や改善点を積極的に見つけ、タスク/PBI/エピックを作る。
    - 疑問や問題を呈することはウェルカムだが、その問題をどう解決するかもセットで表明する。解決策がわからない場合はその旨を表明し、一緒に案を募る。
- 理由
    - 個々人が枠に囚われずプロダクトを発展させる行動がとれれば価値向上のスピードも上がるから

3. 適切にリスクを取ろう
- 推奨される具体の行動
    - 新しい技術に大きなリターンがありそうならば、不確実性を受け入れる
    - 常にGiantLeapにつながる機会がないか思考する
    - 失敗やミスを積極的に共有する
- 理由
    - GiantLeapは適切にリスクをとることによって成しうる

カンバンの管理は、Zenhubを使っています。先月までは、Jiraを使っていたのですが、チーム内ではGithub Issuesで作業ログを残していることも多く、検証的にZenhubを試しています。

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バックログリファインメント

リファインメントでは、タスク内容の詳細化をします。このタスクの背景、やることを明確にすることで、チームメンバー全員の認識が揃います。データサイエンスのタスクでは、不確実性が大きいことが多いので、まずは調査タスクというものを作っています。また、各タスクに対して、プランニングポーカーをすることで、各メンバーが考えている見積もりの認識を揃えています。見積もり時間に大きな開きがあるときは、アウトプットイメージや用いる手法の認識に乖離があることが多いです。

スプリントプランニング(計画) 

データサイエンスチームでは、1スプリントを1週間で回しています。スプリントプランニングでは、スプリント内でやるタスクを整理します。このときに、OKRを意識しながらプランニングをしてます。各タスクにOKRのタグが付いているので、各OKRにおいて過不足なくやるべきタスクがちゃんとあるかを確認しています。

デイリースクラム

毎日13:30にデイリースクラムをしています。昨日やったこと、今日やること、困っていることなどを簡単に共有します。

スプリントレビュー

予定していたゴールを達成できたかを確認します。また、このときにOKRの目標値も合わせて確認しています。

レトロスペクティブ(振り返り)

今週の良かったことや悪かったことを共有することで、チームの生産性を上げるようなアイデアを出していきます。Retriumというツールを使って、簡単なKPTを行っています。

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初期の頃は、スクラムとOKRの結びつけが上手く行かず、作業はたくさんしているけど、OKRの進捗があんまりないこともありました。また、スクラムイベントのミーティング時間が増えて、作業時間が取れなかったり、チームのベロシティが安定しなかったりしました。レトロスペクティブで、このような課題について議論して、1つずつ解決するようにしていました。他にも、短期的なタスクではなく新しいアルゴリズムの開発のようなスケジュールの切りにくい実験的取り組みにも試行錯誤しています。

ホラクラシー

ホラクラシーとは

フラットな組織を実現するための権限移譲システムで、Ubie全社で導入しています。誰が何をやっているかの役割が明確化され、そのロールに書かれていることは誰かに相談することなく進めることができます。

データサイエンスチームでのホラクラシー

データサイエンスチームは、「データによる価値最大化」というサークルに紐付いています。このサークル内に、「開発チーム」「機械学習エンジニア」「データエンジニア」などのロールが存在しています。

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各ロールには、Accountabilitiesとしてそのロールで果たすべき責務が明記されています。Accountabilitiesは要求されたらやらなければならないものです。

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Ubieでは今年になってホラクラシー導入のPOCをスタートしました。権限移譲が進むことで合意を取ることが減り、各種の意思決定が速まっているように感じています。また、新しいロールの作成や組織構造の変更も非同期的に提案することができ、あるべきチーム体制に移行するのもスムーズになっているように思います。
データサイエンスチームではスクラムと組み合わせながら試行錯誤しています。スクラムではプロダクトに関する話題、ホラクラシーではチーム体制や組織に関する話題を取り扱うことが多いです。(まさに今試行錯誤中で、知見がたまったらそのときにまた別記事でご紹介したいと思います。)

まとめ

スクラム・OKR・ホラクラシーによるデータサイエンスチームの運営方法についてご紹介しました。OKRを用いて目標を立て、各Key ResultsごとにEpicを作成し、スクラムではそのEpicに紐付けて各Key Resultsごとにタスクを管理しています。実際にこれらをチーム運営に適用するときには、そのチームに合うようにカスタマイズする必要があります。その際に、この記事が少しでも参考になれば幸いです。


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