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ヨーロッパ旅行記13〜ウィーン観光③〜


国立歌劇場に着いた。ほんとは中に入って公演を聞きたかったけど1日予定を伸ばすだけでハンブルクに戻れなくなってしまう可能性があるので我慢する。またいつかヨーロッパに来た時には絶対に来ようと誓った。
歌劇場に近づいてみるとなにやら白いカツラを被った人の姿があちこちにある。なるほどドイツやオーストリアを代表する作曲家のコスプレをしながら観光客にチケットを売ろうということだ。モーツァルトはこの光景を見て何を思うだろうか。いや、どんな曲を作るだろうか。

もう少し近くで見たいなと思いさらに近づいてみると例のコスプレをしたおじさんが近づいてきた。なにやら英語で話しかけてくる。案の定チケットを売ろうとしてきた。昼の部と夜の部があるぞなんて言ってくる。僕はドイツ語で時間がないと答える。それでもしつこく学生料金もあるぞなんて言ってくる。そういう問題ではないのだ。この1時間後くらいに僕はもうウィーンを出発する電車に乗らなければならないのだ。だが、そんなことは知らないおじさんは若いアジア人というカモを逃すわけにはいかないとしつこく話を続けてくる。僕はもう逃げるようにその場を立ち去るしかなかった。

少し離れてからまた別の角度から近づこうとするが、すぐに他のコスプレおじさんが僕の方に向かってくる。それを察してまたすぐ離れるというのを何度か繰り返してもう近づくのはやめた。ウィーンはとてもいい街だったが、この体験には不快感を覚えてしまった。美しいクラシック音楽が完全にビジネスに使われてしまっている。嫌な世の中だ。

国立歌劇場を後にした僕はシェーンブルン城を目指した。どんなところかは知らないがマップに観光地として書いてあったのかネットのおすすめで出てきたのだろう。お城まで僕はどうやって行ったのかよく覚えていない。電車に乗ったのだが、ユーレイルパスではたぶん乗れない電車だと思うのでキセルをしたのかもしれない。ここに懺悔しよう。アーメン。

この電車内でもおもしろいというか不快なことがあった。この電車の車内にはアコーディオンを弾きながらチップをもらうパフォーマーがいた。なんとも音楽の街らしいパフォーマーである。ドイツにいる時にも、電車内でチップをもらいに車内を回っている子どもやホームレスの人の姿を見たし、駅前で楽器のパフォーマンスをしている人も見た。彼らは決まって若いアジア人には特に近づいてきた。ただ、僕は何度も述べている通り現金をそんなに持ち合わせていないし、チップ文化で育ったわけでもないのですべて無視していた。だいたいの場合、目を合わせなかったり、目の前で何か言われても無視したり首を横に振ればすぐにどこかへ行ってくれた。ただこの時のパフォーマーは少し違った。アコーディオンを弾きながらだんだんと僕のところへ近づいてくる。僕はこの時、電車のドアの前に立って乗車していた。彼は案の定、若いアジア人を見つけ僕に近づいてきた。僕は目を合わせない。それでもどこにも行かない。周りの乗客もこのアジア人はどうするんだろうかという目で僕を見ている。とうとうそのパフォーマーはチップをくれないかということを英語で言ってきた。僕は首を横に振りながらドイツ語でいいえと答えた。するとようやくどこかへ行ってくれた。周りの視線も僕から外れる。せっかくの旅だが、ヨーロッパではこういう人たちに気分を害されるということが本当に多かった。この記事を読んでいる人で海外へ行くことがあれば、将来の他の日本人のためにも払いたくないチップを請求された時ははっきりと拒否してほしい。少額だからと払ってしまうと、その国民に対して嫌なイメージがついてしまう。僕はこの度でアジア人や日本人に対するよくないイメージを体験することがたびたびあった。そのイメージがなくなればなと思う。

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14へ続く。


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