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【19/20プレミアリーグ第2節】ウォルバーハンプトン・ワンダラーズVSマンチェスター・ユナイテッド マッチレビュー

こんにちはMasaユナイテッドです。開幕チェルシー戦を快勝で飾ったユナイテッド。いや~こんなにワクワクしたシーズンスタートはいつ振りでしょうか?第2節は天敵ウルブスとの対戦です!今シーズンのプレースタイルは狼さん達を脅かすことができたのか?ではいってみましょう!

前節のレビューはこちら

👿フォーメーション

ユナイテッドは4-2-3-1。ウルブスは3-5-2とお互いいつもの形。ユナイテッドはチェルシー戦から1枚変更。ペレイラに変わってジェームズが初スタメンに抜擢。今回もスモーリング、ジョーンズはベンチ外で、トゥアンゼベを入れているということはCBの3番手はトゥアンゼベだという事だろう。一方のウルブスはいつものスタメン。昨シーズンのユナイテッド戦との違いはジョニーの代わりにヴィナーグレが先発だったことだけ。ウルブスはミッドウィークにELプレーオフをトリノと戦い2-3で勝利しているが、ユナイテッド戦の先発メンバーでは、その内7人が先発出場していた。

【Substitutes】
ウルブス:トラオレ ネト クトローネ ギブス=ホワイト ラディ サイス ヴィナーグレ
ユナイテッド:トゥアンゼベ マタ ペレイラ ヤング ロメロ グリーンウッド マティッチ

👿前半~オーバーロード・アイソレーション~

昨シーズン、スールシャールが監督に就任してFAカップと33節のリーグ戦と2回対戦し、いずれもモリニュー・スタジアムでの試合だったが2敗を喫しているユナイテッド。まさに鬼門だが、今シーズンは開幕のチェルシー戦に快勝して意気揚々と乗り込み、「昨シーズンとは違うのだよ」というところを見せたい。

ユナイテッドの狙いはボールを奪ったら、とにかく早く縦に入れてウルブスの陣形が整う前に攻める事。さらにウルブスにカウンターを打たせないために、ロストしたらすぐに取り返す事も意識されていた。素早いネガティブ・トランジッションからのショートカウンターを狙ったユナイテッド。リンガードやジェームズのプレスバックは素晴らしかったが、引いて守るウルブスに効果的なショートカウンターは打てず。逆に縦に早くを意識するあまり、パスが雑になるシーンも見られた。

もう一つ、この試合のユナイテッドの戦術的肝だった、左サイドのオーバーロードと右サイドのアイソレーションについて取り上げたい。といっても攻撃が左に寄るのはいつものことなので、筆者の勘繰り過ぎで、勝手にそうなった可能性もある(笑)。オーバーロードとは「一定のゾーンに人数を集中させる事」で、オーバーロードの反対側は、相手人数が少なくなり、バランスが崩れるが、この状態をアイソレーションと言う。オーバーロードのメリットは細かいパスが繋ぎやすくなる事もあるが、ロストした際に回収のプレスが掛けやすいという点も、ユナイテッドの狙いと合致する。オーバーロード側から逆サイドのアイソレーション側に展開して、一気に局面を変える事も狙いだ。ユナイテッドは特に15分までは極端に左に人数を掛けていた。ショー、マクトミネイ、リンガード、ラッシュフォード、マルシャルの5人が左に寄り、中盤3枚はスライドするウルブスの守備を逆手にとり、手薄になった右サイドに展開し、ジェームズとワン=ビサカが突破しやすい状況を生み出そうとしているように見えた。

ウルブスの5バックを崩すには、ワイドな攻撃で幅を広げる必要があるが、ショーもワン=ビサカも前半は積極的に上がり、ワン=ビサカは開いたジェームズの内側に入り込むインナーランも見せていた。一方、左のラッシュフォードは大外に開くよりも、1レーン内側に入り、大外はショーが上がるシーンが多かった。マルシャルはチェルシー戦よりも、より9番のタスクが与えられていたようで、最前線で3CBとの駆け引きに時間を使う事が多かった。ビルドアップに関しては、今回もマクトミネイが左CBに下がって組立るシーンが何度かあったので、やはり今シーズンの形なのだろう。

一方のウルブスの狙いは、まず前半は無失点で終える事。5-3-2のシステムで守り、カウンターを狙ういつもの形。ゲームメイカーのモウチーニョは、プレスを掛けながらも、ウルブスボールになった時に、カウンターの起点になるために、フリーになれるポジショニングにいるという流石のセンスを発揮。ウルブスはユナイテッドのワイドな攻撃にも、全く動じる事無く、非常に完成度の高いゾーンディフェンスで、マークの受け渡しも完璧だった。特に、ドハティーとジョニーの両WBは、対峙したショーとジェームズをそれぞれ良く抑え、攻撃時にはしっかり上がっていた。この組織力は、トラウマレベルで、見ていてもどうやったら崩せるのか、どこにギャップがあるのか全くわからなく絶望感に襲われる(笑)。

なかなかファイナルサードの崩しまで行けないユナイテッドに対してウルブスは15分になって、前からプレスにいき、ラインを押し上げる。しかし18分、バックラインを上げたのにも関わらず、一瞬前線がプレスを掛けなかった。ボールを持ったポグバはフリーで前を向き、裏へ走り出したラッシュフォードへパス。これをラッシュフォードが華麗な切り返しからクロスを上げ、マルシャルが飛び込むビッグチャンスを迎える。

その後すぐ、ジョタが一列下がり、守備時には5-4-1の形に変更。中盤の3枚(モウチーニョ、ネベス、デンドンケル)は、ボールサイドにスライドするディフェンスをするが、ジョタを下げたのはユナイテッドのオーバーロード戦術への対応だと思われる。この辺りの修正の速さは流石ヌーノ・サント監督だ。

しかし、26分ユナイテッドはその左サイドを崩してマルシャルが左足でゴール!先制に成功する。このシーンはまずラッシュフォードがインナーレーンへ入り、リンガードが1列外へ、その内側をショーが走り込み、混乱したネベスはマークを見失った。ラッシュフォードがフリーになりラストパス、ショーのランが囮になる形で裏へ回り込んだマルシャルがシュートした。まさにオーバーロード戦術が実ったゴールだった。0対1で後半へ。

【前半スタッツ 左ウルブス/右ユナイテッド】(SofaScore参考)

👿後半~鉄壁のウルブス~

ホームで負けるわけにいかないウルブスは、後半開始から右WBのドハティーに代えて、アダマ・トラオレを投入。こんなに筋肉隆々だが、何気にバルサのカンテラ出身(笑)。点を取りにいくためウルブスは攻撃モードへ。ラインを上げ、ユナイテッドのビルドアップにプレスを開始する。トラオレは、右WBのポジションに入ったが高い位置を取り、シンプルに縦へ抜けてクロスを送ってきた。さらにDAZNの解説、粕谷さんがおっしゃっていた通り後半からウルブスはショートコーナーに変更。マグワイアとの勝負は放棄した。ハーフタイムでこれだけ手を打ってくれれば選手もやり易いだろう。

しかし51分には、ユナイテッドのポゼッションから、ワン=ビサカからリンガードへラストパスを送るチャンスシーンがあった。今シーズンのユナイテッドはポゼッションで押し込んだ時に前線が「W」の形に並ぶが、このシーンは、左からマルシャル、ラッシュフォード、リンガード、ポグバ、ジェームズが「W」に並び、偽SBでボランチの位置にいたワン=ビサカが上がってきてラストパスを送った。このポジションチェンジにウルブスは付いて行けず、リンガードはフリーになった。先制のシーンもそうだが、こういったポジションチェンジがウルブス攻略の鍵だろう。

その直後、トラオレの仕掛けを再三喰らい、ショートコーナーから、ルベン・ネベスにゴラッソを決められ同点に。ショートコーナーであの位置からのミドルはあり得るので、少々マークが甘かった気もするが、コースは見事だった。素直にネベスを称賛しよう。

失点後も動かなかったスールシャール監督だか、68分にはポグバがPKを失敗。自分で得たPKを自分で蹴りたい気持ちはわかるが、やはりキッカーは固定しておくべきだと思う。特にポグバの成功率(63%)を考えると、どうしても決めなければならない場面でポグバに任せるのはリスクが高い。

ようやく81分になり、リンガードに変えてマタを投入するまで動かなかったユナイテッド陣営だが、最後までウルブスの堅守を崩す事が出来なかった。

ウルブスの堅守の理由はそのシステムにある。ウルブスの3-5-2システムを5レーンに分けて考えると、当然大外のレーンにはWB1枚しかいない。守備時にはCBと同じ高さまで下り、攻撃時には高い位置まで上がって行かなければならない。運動量が求められる上に、4-3-2-1や4-3-3、4-4-2などのチームとの対戦では大外のレーンの2人に対応しなければならず、いくら豊富なスタミナを誇るジョニーやドハティーでも1人で見るのは難易度が高い。ウルブスの左サイドの守備を例で見てみると、左CBのボリーが大外のレーンもケアする事が多く、また、状況によっては左IHのモウチーニョも加勢。前半などはジョタまで大外をケアするなど、サイドで数的不利にならないように徹底されていた。しかもその動きが組織的で連動性が高く、とても訓練されているので、ユナイテッドのようなワイドな攻撃をするチームに対してはとても有効で、いつも数的優位が得られず崩せないというアリ地獄にはまっていく事になる。もちろん、外に人数を掛けるので、中や逆サイドは薄くなるのだが、プレッシングの質や中盤のスライドの守備、またベネットやデンドンケルはそれぞれ2人を兼任で見ることで綻びが出ないようになっている。

ウルブスは終了間際に、ネトとクトローネの新加入選手を使う余裕の采配。引分けでOKという事だろう。ユナイテッドは88分にペレイラとグリーンウッドを入れるという何の意味もない交代を行なって、ドローのまま終了。

【後半スタッツ 左ウルブス/右ユナイテッド】(SofaScore参考)

👿まとめ~長所と短所~

苦手な相手にアウェーで勝ち点1は悪くないのかもしれないが、戦術の引出しの少なさと修正力の欠如が勝ち点2を落とした要因だ。ハッキリ言って、戦う前からファイナルサードの崩しが問題になるのはわかっていた人が多いと思う。そこに対しては何のプランも見られず、個の判断任せなのは相変わらずで、カウンターが決まらなければ、どうにもならないというのが現状だ。オーバーロードや縦に速い攻撃を用意したのは良かったが、突破出来ないジェームズや、単発的なポジションチェンジ、チャンネルランの質など攻撃面でのクオリティの低さが改めて浮き彫りになった。

後半の修正がなされなかったのも大きな問題で、選手交代の遅さ、トラオレに対する対策の無さ、フォーメーションチェンジなどで流れを変える工夫などが見られなかったのは残念。後半途中までシュート2本。こういった状況でのPK失敗は確かに痛恨だった。ポグバに全責任を押し付ける気は無いが、ポグバクラスにはこの場面では当然決める事が求められるだろう。しかも自分から蹴ると言ったのだから。ガリー・ネビルが言った、“公園サッカーではない”というのは一理ある。

厳しい事ばかり書いたが、昨シーズントップ6は、ウルブスに対して苦戦を強いられている。どのチームもこの組織された5バックを崩すのには苦労している。この早い段階でウルブス戦を勝ち点1で消化できたのはラッキーとも言える。攻撃面ではプレス強度とカウンターの鋭さはレベルが上がっている。今節はなんと右からのアタックの方が多くなっており、ワイドに攻撃もできている。今後もっとクオリティを上げていって欲しい。そして守備陣はチャンスらしいチャンスはほとんど与えなかった。ゴール期待値からも、少ないチャンスをスーパーゴールで決められたと言える。

いずれにせよ、次節のパレス戦は必勝だ。引いてブロックを敷いてくるのは明らかだが、ウルブスほど整備されていないだけに、何処かでリスクを冒して前へ出れば得点は取れるだろう。どういう戦いになるか注目だ。

【ゴール期待値「xG」】(understat.com参照)

【ポジショナル・レポート 左ウルブス/右ユナイテッド】

【トータルスタッツ】(プレミア公式参照)

👿プレーヤー評価

MOMはワン=ビサカ だ。タックル成功数9は素晴らしい。安心して見ていられる。攻撃面でもワイドな攻撃の一端を担った。アタッキングサードでのパスは最多の38本(内27本成功)だった。あとはクロスの精度を上げたい。

筆者の推しメン、マクトミネイはミスが多く、展開力も鳴りを潜めた。うーんどうした?ラッシュフォードもスペースがない状況で存在感を発揮出来ず。もう少し自由に動いても良かったのでは?と思う。リンガードは、決定機の空振りなどもあり評価が低いが、プレスバックの頻度や、スペースメイクする動きの部分は一番マシだったので、課せられたタスクはこなせたと思う。

ジェームズはこれからに期待。積極的な仕掛けとプレスは好印象だったがやっぱり左の方が良さそうだ…。後半はラッシュとサイドを変えて欲しかったかな。

マグワイア!強い!頼もしい!パス本数もポグバに次ぐ88本で成功率も90%は立派。次あたりヘディングでのゴールが見たいぞ!

次節は8月24日(土)オールド・トラッフォードでのクリスタル・パレス戦 23:00キックオフ。勝つしかないでしょ!カモン・ユナイテッド!

 









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