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【19/20プレミアリーグ第10節】ノリッジ・シティVSマンチェスター・ユナイテッド マッチレビュー

こんにちはMasaユナイテッドです。今節は昇格チームのノリッジ・シティと対戦です。開幕リバプール戦で善戦し、第5節ではマンチェスター・シティから勝利を奪うなど注目のチームの1つですね。ドルトムントIIでの監督経験のあるダニエル・ファルケ監督を指揮官に有し、ブンデス経験者が多く在籍しています。開幕から10試合で6ゴールを挙げるエースのプッキもかつてシャルケでプレーしていた記憶があります。ドイツ仕込みのゲーゲンプレス戦術にユナイテッドは苦手アウェーでどのような戦いを繰り広げたのか。ではいってみましょう!

前節のレビューはこちら

👿ラインナップ

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前節リバプール戦とELパルチザン戦は3バックで臨んだユナイテッドだが、この試合は4-2-3-1に戻してきた。マルシャルが本格復帰ペレイラが今節もトップ下に入る。負傷離脱しているポグバだが、復帰までまだ時間が掛かる様で、指揮官は12月まで戻ってこれないと示唆した。パルチザン戦で、スールシャールから称賛されたウィリアムズは今日もベンチ入り。対するノリッジも怪我人が多く、CB3人が負傷離脱中だ。その為、本来中盤のアマドゥがCBに入ってシーズンを戦っている。シティを破り躍進も期待されたノリッジだったが、怪我人もあって徐々にパフォーマンスが低下。現在19位と下位に沈んでいる。ちなみに、CBのゴッドフライと右SBのアーロンズは今夏ユナイテッド移籍が報じられた逸材だ。

【Substitutes】
ノリッジ:マクガヴァン バイラム トライブル  シュティパーマン  エルナンデス  ドルミッチ  シュルベニー
ユナイテッド:ロメロ ウィリアムズ ロホ ガーナー  マタ リンガード  グリーンウッド

👿前半~マルシャルのポジショニング~

開始から積極的に前からプレスを掛けたのはホームのノリッジ。ファルケ監督仕込みのゲーゲンプレスだ。ユナイテッドの低い位置からの組立てに対して、プッキとライトナーがボールホルダーにプレスを仕掛け、逆にマクレーンが少し下がってバランスを取り4-4-2気味に。前節から採用されているらしいノリッジの4-1-4-1システムの2列目の中盤4枚は結構流動的で、ボール保持時はカントウェルがバイタル付近に侵入する事が多く、前半は積極的にシュートも放っていた。ライトナー、ブエンディアも攻撃時は果敢に前へ出て、プッキを孤立させないという決意は感じられた。

一方のユナイテッドは立ち上がりは余り積極的にいかず、またいつものアウェーモードかと心配になる入り。ポゼッションしながら①左サイドのオーバーロード②ワン=ビサカの上り③マクトミネイが高い位置まで上がるなどで押し込もうとするが、ノリッジも引いて4-5-1のブロックを作り中には入れさせない。ユナイテッドはサイドでボールを回す事が多くなる。

ただ今日の試合のユナイテッドはいつもと違う要素が1つあった。マルシャルの存在だ。長らく怪我で離脱していたが、ELパルチザン戦に続いて本格復帰となったマルシャルの存在が、ラッシュフォード、ジェームズの2人にもポジティブに作用し、特にラッシュフォードはイキイキと輝くことになる。そのマルシャルは動きに関して、この試合徹底していたことが1つあった。ノリッジのボール保持時と、ユナイテッドの組み立て時、マルシャルは必ずボールサイドにポジショニングしていた。そこにポジションを取ることで、カウンター時のボールの預け所として、また組み立てから縦の楔を入れるポイントとしての役割を担った。最前線でポイントを作ることで、フィニッシャーとしてだけでなく、チャンスメイカーとしての振る舞いが目立ったマルシャルは、18分には斜めに走りこんだラッシュフォードへラストパス。ビッグチャンスを演出する。

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その後のコーナーキックからラッシュフォードが胸パスをマルシャルに送り再び決定機を迎えるがクルルに阻まれる。しかし、直後のコーナーキックの流れから、カントウェルのトラップを後ろからかっさらったマクトミネイがシュート!先制に成功する!

24分にはルイスのパスミスを奪ったマルシャルがボックス内へ侵入したジェームズへラストパス。ジェームズがゴッドフレイに倒されVAR判定でPKを獲得する。このシーンもマルシャルがチャンスメイカーとして振る舞い、ラッシュフォードとジェームズの2人がボックス内へ走り込むことでできたチャンスだった。ラッシュフォードのPKはPKストッパーとして定評のあるクルルに止められてしまうのだが…。

PKを止められ嫌なムードになるかと思われたが、直後の30分、ディフェンスラインでボールを奪ったユナイテッドは、楔をマルシャルへ入れて、落としをジェームズが受ける。これをジェームズがラッシュフォードへ素晴らしいロングパス。完全にディフェンスラインの背後に抜けたラッシュフォードがクルルの股を抜いてシュートを決め、な、な、なんと追加点を奪う!!このシーンもポイントはマルシャルのポジションだ。先述したように、ボールサイドで待っていたマルシャルに楔が入り、落としたことでジャームズが前向きでボールを持てたことが大きかった。(レイオフというらしい)

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ユナイテッドの狙いが決まった一方で、ノリッジのビルドアップに少々問題があるように思える。ノリッジは簡単にロングボールを入れるチームではなく、低い位置からボールを繋いで組み立てるチームだが、両CBをワイドに開かせ、両SBを高い位置に上げる方法を取る。どちらか一方ではなく、両SBを同時に上げる上にCB同士の距離も遠くなっているので、後ろには結構なスペースができているシーンが目立った。2失点目はユナイテッドにここを突かれた形だ。

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2点目を取ったユナイテッドは気分が良くなったのか、ノリッジのビルドアップに対して前からプレスを掛け始める。このようにメンタル面がモロにプレーに現れるのも、ヤング・ユナイテッドの特徴だ(笑)。40分にはフレッジのシュートがVARでハンドの判定になるも、マルシャルまでクルルに止められ失敗。前半を0対2で折り返す

【前半スタッツ 左ノリッジ/右ユナイテッド】(SofaScore参考)

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👿後半~エルナンデスVSワン=ビサカ

ホームで意地を見せたいノリッジは後半からカントウェルとライトナーに代えてエルナンデスとシュティパーマンを投入する。エルナンデスは左サイドからの仕掛けを担当。シュティパーマンは高い位置を取り、ユナイテッドのCBにプレスを掛ける役割を担った。後半のノリッジの布陣は4-4-2を基本にブエンディアが攻撃時は中に絞り、開けた大外を右SBのアーロンズが上がりクロスを上げる。その右サイドのカバーをマクレーンが担う形が多かった。

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後半の立ち上がりペースを握ったのはノリッジの方。代わって入ったエルナンデスにボールを集め、彼が積極的に仕掛け、左サイドからチャンスメイクしようと奮闘する。ただ、ユナイテッドは相対するワン=ビサカが、持ち前の守備力を発揮。突破を許さない。エルナンデスは左サイドはできなかったのだろうか?この手のタイプにヤングが狙われるとかなり厄介になっていたと思う。もしかしたら、1枚イエローを貰っていたのでワン=ビサカとマッチアップさせたのかもしれない。

若干ノリッジの圧に押され重心が下がったユナイテッドだったが、いつものように消極的に撤退したというよりは、球際は激しくいってボールを奪い、(ヤングは粕谷さんに怒られていたが(笑))そこからのカウンターを狙った。ワン=ビサカ、マクトミネイ、フレッジ辺りの守備はかなり効いていたと思う。52分のカウンターは2点目と同じ形。ペレイラがマルシャルへ縦パスを入れ、ワンタッチで叩いてジェームズへ。ジェームズから長いクロスをゴール前のマルシャルへ送りシュートまでいった。

お互いにデュエルの局面が激しく、ファールも多くなってきた60分に、スールシャール監督は落ち着くようにジェスチャーで伝える。そこからユナイテッドは攻め急がず、ボールを大事にしポゼッションするように少しだけなったかな?(笑)。72分の3点目はマルシャルとラッシュフォードのコンビネーションが素晴らしかった。ショートカウンターからの得点だったが、今日の2人の息はピッタリだった。勝負がほぼ決まった感のあった74分、マルシャルに代えてグリーンウッドを投入したユナイテッド。怪我明けのマルシャルを早めに下げて温存できる試合展開になった事はホントに朗報だ。

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3得点目のシーンでノリッジCBのアマドゥが負傷。その後ブエンディアも負傷する。球際が激しかった事もあるが、ファルケ監督の嗜好するハードワーク主体のプレースタイルが影響しているかもしれない。怪我人が多く、これでCBがいなくなってしまった。この負傷者の数は痛いだろう。その後、アマドゥはプレーできなくなり、交代枠も使い切っていた為、アマドゥを最前線に上げ実質10人でのプレーを強いられる事になった。

ユナイテッドは80分にリンガードを右サイドで入れ、82分にはガーナーを入れ、フレッジを1列上げた布陣に変更。このまま完封で終わりたかったが、マクトミネイのボールロストからエルナンデスに決められ1点返される。ロストしたマクトミネイの追い方が緩かったのは、流石の私もがっかり。そこはポグバを見習っちゃいかん!ルーニーが恋しくなった瞬間だった。最後まであきらめなかったノリッジだったが1対3でユナイテッドが開幕チェルシー戦以来の複数得点での勝利をあげた。

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【Substitution】
46分 ノリッジ ライトナー⇔シュティパーマン 
46分 ノリッジ カントウェル⇔エルナンデス
66分 ノリッジ ルイス⇔バイラム
75分 ユナイテッド マルシャル⇔グリーンウッド
80分 ユナイテッド ジェームズ⇔リンガード
82分 ユナイテッド ペレイラ⇔ガーナー

【後半スタッツ 左ノリッジ/右ユナイテッド】(SofaScore参考)

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👿まとめ〜快勝の裏に課題あり〜

2/27のクリスタル・パレス戦以来のリーグ戦アウェーでの勝利となったユナイテッド。複数得点も開幕4点とったチェルシー戦以来となる。ゴール期待値4.51、シュート総数21本、枠内シュート11本とこれまでの不調が嘘のような出来。フィニッシュの局面でのクオリティが急に上がった事が数字から伺える。その要因はマルシャルの復帰だろう。これまでマルシャルの離脱中は1人で全てやろうとしてきたラッシュフォードだが、マルシャルの復帰のおかげで肩の力が抜け、シュートもパスもドリブルもとてもスムースに動けていた。また、マルシャルはチャンスメイクも上手くなった印象で、相手DFは、マルシャル、ラッシュフォード、ジェームズと複数の選択肢を突き付けられ対応に苦労した。

試合の流れとしては、最初のPK失敗での嫌な流れを、すぐに2点目を奪って断ち切れたことが大きかった。それで落ち着きを取り戻して、守備の場面でも集中力と自信を維持できた。2本のPK失敗は大いに反省すべきだ。勝てたから良いようなものの、もしドローか負けていれば大きな痛手となったであろう。あと課題はセットプレーだ。最近はペレイラが蹴ることが多くなったが、まだセットプレーでの得点がない。折角マグワイアを獲得したのに、活かせていない現状をどう打破するのか。ノリッジ戦ではコーナーが10本あった。成功したのは3本だが、得点に結びつけることができなかった。課題のもう1つはひ弱なメンタル面。リードしている場面、失点した直後、攻め急ぐ時、ポゼッションする時など、場面ごとにゲームをコントロールできる選手がいない。若いチームだからというエクスキューズはあるが、もう少し試合巧者になる必要があるだろう。

たった1勝しただけで14位から一気に7位にジャンプアップしたユナイテッド。久々のアウェーでの快勝で、気分は良いが決して油断してはいけない。次節は現在9位につける難敵ボーンマスとのアウェー戦が待っている。

【ゴール期待値「xG」】(understat.com参照)

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【ポジショナル・レポート 左ノリッジ/右ユナイテッド】

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【トータルスタッツ】(プレミア公式参照)

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👿選手評価

この試合はパフォーマンスの良かった選手が多かったが、ワン=ビサカの守備面での貢献は素晴らしかった。タックルはもちろん最多の11回(内10回成功)。インターセプトも最多の4回と持ち味を存分に発揮。エルナンデスの果敢な仕掛けに対して粘り強い守備で決定的な仕事をさせなかった。

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ラッシュフォードとマルシャルは再三書いたが、ユニットとして完璧に近い働きを披露。自信に溢れた姿勢を示したラッシュフォードはこのまま調子を上げていって欲しい。ジェームズ、ペレイラも攻撃面で貢献。ペレイラはリバプール戦に続いてトップ下だったが、ボールの受け方が上手く、キック精度もあるので中盤と前線の繋ぎ役割に向いている。相手アンカーにプレスを掛ける仕事も良くこなすので、現スカッドでは一番10番のポジションに適していると思う。ただ、クロスやアタッキングサードでのパス本数が多い割に、成功数が少ないので、前線との連携をもっと深める必要がある。

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マクトミネイはユナイテッド通算2000ゴールとなる先制点を奪う活躍があった一方、守備の場面で追うのを怠るなど、頂けない場面も見られた。本来はハードワーク出来る選手なので、慢心から来ているとは思いたくないが、ポグバ、マティッチが離脱中である為、代えが効かない選手になっているのは事実。スールシャールには危機意識を無くさないように指導してもらいたい。

途中出場のガーナーは中盤でのボール捌きに才能を感じられた。いつでもボールを受けられる様に常に首を振って状況把握できており、意表を突く縦パスを入れてアクセントを付けられる。ユースの試合ではミドルも決めている印象がある。トップチームでの出場が今後増えるだろう。

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次回はカラバオ・カップ チェルシー戦を挟んでプレミアリーグ第11節 11月2日(土)ヴァイタリティ・スタジアムでのボーンマス戦 21:30キックオフ。カモン!ユナイテッド!!

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