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"キマリゴト"の制作背景

先日の記事にも挙げた新曲、"キマリゴト" がようやく完成した。


そんなわけで今日はこの曲についてもう少し語っていこう。主にボーカルミックスやマスタリングの話が主体になってくる。


ボーカルミックスで参考にした動画

あの記事の段階では、あとボーカルだけ録れば終わりというところまできていて、この前の3連休で歌ってみてボーカルミックスをやった。

ボーカルミックスをやる上でも、やはりゼロカラカンパニーの動画が参考になった。その動画がこちら。

前半、後半と分かれており、前半が主にメインボーカル。そして後半がコーラスとダブルの処理を解説している。

メインボーカルのコンプ

メインボーカルのコンプでメインとなるのは、やはりUniversal AudioのLA-2A。

一時期このコンプが無償で配布されている期間があって、それを狙ってきっちりもらっておいたのだ。

実際派手にかけてみてもいやらしさを感じないし、スッキリして聞こえる。本当にもらっといてよかったと想う。

歌の環境は人それぞれ


歌に関しては、ドラム音源と違ってやっぱ人それぞれ違う。その人の声の質であったり、録音環境、使ってるマイクなど様々な要因が重なり合っているから、個性がはっきり出るところ。

なので、ゼロカラカンパニーの動画でやっていることと結構違うことをしていた。

彼の動画が分かりにくいと言ってるのではなく、彼の処理を一度試した上で試行錯誤したという話であるので、そこだけは誤解のないよう願いたい。

例えばメインボーカルのトラックに関して。動画ではPultec EQで3キロHz付近を上げたり、APIの550 Aで10キロHz以上のハイフィルターを持ち上げたりなど結構高音をブーストしていた。

メインボーカルのEQ

ここでオレであれば、SSLの4000 Eを用いて高音あたりをブーストしていたと思われる。しかし、実際やってみて納得できる音が出せなかった。

んで何気なくキルヒホッフのEQで高音域カットしたらなんかスッキリ聴こえたような気がした。

試しに4kHzまで残すイメージでローパスかけてみたら結構いい感じになった。あとはモコモコしてる800Hzらへんを少しだけカットして。

カットメイン。


自分の声の波形を見てみると200Hzあたりは結構出てたから、それより低音の100Hzあたりや2kHzあたりをbrainworksのSSL 4000 eというコンソールのEQ部分で持ち上げた。

ブーストメイン。

そう、最近こんな風にEQ毎にブースト用とカット用を分けている。

キルヒホッフの方が原音に忠実なプラグインなので、カット方向に。一方でSSLの味付けが好きなのでブースト方向に使うと言った形で。

メインとコーラスのマイクの使い分け

コーラスはね、撮り音を確認する段階で一つ気付いたことがあった。まずオレの持ってるマイクは2種類あり、

・Audio-TechnicaのAT4050(コンデンサー)
・SHUREの58BETA(ダイナミック)

である。それぞれのマイクでメインとコーラスの合計4種類の音源を録ってた。

んで、メインボーカルはオーテクのコンデンサーマイクの音源を採用したのだが、コーラスの方は58betaのダイナミックマイクの方がいいかなぁって思った。

というのも、なんかコンデンサーマイクのコーラス音源だと遠くから聞こえるので、何歌ってるのか今ひとつ分かりにくいように感じた。

その点、ダイナミックマイクなら至近距離で歌ってるので、比較的何歌ってるのかはっきりしていた。

コーラスってただでさえ音量下げるんで、なおさらダイナミックマイクの音源の方がいいなぁって思った。

ということで、今回の曲の特徴の一つとして、メインとコーラスでマイクを使い分けてるということが挙げられる。ここは新たな発見だと思った。

コーラス音源の処理

さて、コーラス音源のミックスに移ろうか。この動画でCubase付属のStereoDelayというモノに出会って試したんだけどめっちゃいいコレ。

要はコレ、一本のコーラス音源を左右に広げるものなのだが、使ってみて心地良く聞こえたのである。

コーラスってDTM始めたての頃とな1ミリも入れてなかったし今でもついつい忘れそうになりがちだが、やはり大切だなぁって実感させられる。

基本的にEQはメインボーカルの帯域と喧嘩しないように、メインボーカルと逆の設定をした。

Vocal Doublerの使い方


そしてダブル。ここが今でも難しいところだが、今回のでちょっとだけわかった気がする。

オレは基本的にizotopeの無料プラグイン、Vocal Doublerというものを使っているが、今までよくわかんなかった。

ただ、改めてゼロカラカンパニーの動画を見てると、なんとなく要領が掴めたと思う。

あの人はWavesのVitaminで声をメインの後ろに下げた。そしてWavesのDoublerでコーラスで言うステレオディレイのように広げていた。


これで声をメインの後ろ側に。
これで左右に広げる。


んで、オレの使ってるizotope のやつの、AmountっていうつまみがおそらくVitaminのように声を後ろにする度合い。

そしてSeparationがDoubler2のステレオ効果を出しているんかなって思った。オレが聴いた感覚だが。

これを解説動画に当てはめてみた。


この感覚さえ掴めたら、曲によってはいい感じに加工できるんじゃないかな?って気づいた。ちなみにもう一個、Variationっていうツマミがあるんだけど、これは正直よくわかんない。

まぁとにかく僕の持ってるダブラーの使い方がちょっとだけわかったのがでかいと思った!

とはいえオレの場合生演奏のロックバンドっぽい曲を主体にして作るので、あんまりこう加工感マシマシにしたくない。

なのでダブルのトラックを作ったとて、思い切り混ぜるようなことはしない。混ぜたところで違和感もあったので、本当に少し変わったな程度で済ませている。

マスタリングのむずかしさ

さてようやくマスタリングだが、やっぱり難しい...。

いまだに思うのが、周りの人あげすぎじゃない??ってこと。なんでこんなに上げてんのにいい音なん?っていう気持ち。

オレもマキシマイザーで一生懸命持ち上げてインテグレイティッドLUFS値を8くらいにしても、なんかまだ周りの音楽仲間の曲の音量負けてるような気がする。


もちろん音量や音圧で曲のクォリティが決まるわけじゃないけれど、やっぱり昔の音源とか聴いてるといかに自分の音量小さいか実感してしまう。

なので結構いまだにマスタリングにかんしてシビアに考えてしまう。

スピッツのひみつスタジオとか見っけ、あとはくるりの愛の太陽など最近の音源聴いてると、この音量でこのミックスの聴きやすさすごいな...って実感させられる。

よほどマスタリングエンジニアがすごかったんだろう。マスタリングの外注の重要さがわかった気がする。

Ozoneに頼らず自分の力で学びたい...

それならOzoneに頼ったらええやんけっていう意見もあるだろう。

まぁ高いし、それにそういうのって自分でやりたい。そうやってマスタリングの原理とか学んでいきたいっていうアナログ思考な自分なので。笑

そんなわけで紆余曲折を経て完成した新曲。やっぱり出来上がってみるとテンション上がる。

次にアルバムいつ出すかなんてわからないけれど、それでもこんなふうに作りたい曲を1曲ずつ作っていこうと思う。

ヒビロック